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消滅の危機にあるハワイ語の復権をめざして
本体5,000円+税
ISBN 9784750331515
判型・ページ数 A5・272ページ
出版年月日 2010/03/01

消滅の危機にあるハワイ語の復権をめざして

先住民族による言語と文化の再活性化運動

アメリカ合衆国の州となったハワイでは、観光地・保養地として一大発展を遂げる一方で、先住民族の言語や文化は衰退の一途をたどっていた。その失われつつあったハワイ語を再活性化し、文化の復権をめざす運動を紹介する。

 プロローグ

第I部 ハワイ語の衰退、そして復権の兆し

第1章 なぜハワイ語は衰退したのか(松原好次)
 1.先住民族人口の減少
 2.ハワイ王朝の言語政策
 3.アメリカ合衆国の言語政策

第2章 どのようにハワイ語の復権が図られたのか(松原好次)
 1.ハワイアン・ルネッサンスの影響
 2.マーオリの影響
 3.プーナナ・レオの誕生とクラ・カイアプニへの発展

第II部 学校教育におけるハワイ語再活性化運動の進展

第3章 ハワイ語イマージョン教育の試み――ワイアウ小学校のクラ・カイアプニ(松原好次)
 1.クラ・カイアプニ誕生の経緯
 2.ハワイ語イマージョン・プログラムの実践状況
 3.クラ・カイアプニが抱える問題点
 4.ハワイ語再活性化運動を取り囲む状況
  4.1 議会による承認
  4.2 教育委員会・教育局による支え
  4.3 英語公用語化運動の影響

第4章 イマージョン一貫教育(K-12)の実践――クラ・アーヌエヌエの場合(松原好次)
 1.クラ・アーヌエヌエ誕生の経緯
 2.教育方針およびカリキュラム
 3.クラ・アーヌエヌエが抱える問題点

第5章 IT導入による先住民族言語再生の試み――ケアウカハ小学校のクラ・カイアプニ(松原好次)
 1.ケアウカハ小学校におけるIT導入の経緯
 2.ITを活用した授業の実践

第6章 ハワイ語イマージョン教育の現況――ナーヴァヒー校のケース(富田公子)
 1.はじめに
 2.「クム・ホヌア・マウリ・オラ(Kumu Honua Mauli Ola)」ハワイ先住民教育哲学
 3.カリキュラム
 4.ナーヴァヒー校の特色
 5.ハワイ語イマージョン教育に対する懸念
 6.ナーヴァヒー校の成功の鍵
 7.おわりに

第7章 イマージョン教育の成果と課題――ナーヴァヒー校卒業生の追跡調査(松原好次)
 1.ナーヴァヒー校誕生の経緯
 2.卒業生に対する追跡調査
  2.1 第1期生の現況
  2.2 第2期生の現況
  2.3 第3期生の現況
 3.ナーヴァヒー校が抱える課題
  3.1 学校教育重視派と家庭・コミュニティ活動重視派の対立
  3.2 ハワイ語使用環境の拡充

第8章 チャータースクール化によるハワイ語・ハワイ文化の復権――カヌ校の場合(松原好次)
 1.カヌ校誕生の経緯
 2.チャータースクールとしての特徴
 3.カヌ校が抱える問題点

第9章 “ハワイ人自身のために”――再度、ハワイ語イマージョン教育の利点を訴える(ウィリアム・H・ウィルソン&カウアノエ・カマナー)
 1.はじめに
 2.文化的つながりの確保
 3.固有の民族としてのアイデンティティ
 4.学業面での利点
 5.標準英語修得上の利点
 6.第3言語学習上の利点
 7.禁止令撤廃の更にその先へ向けて

第III部 学校の外に広がるハワイ語再活性化の波

第10章 ハワイ語復権に果たすハーラウ・フラの役割(塩谷亨)
 1.はじめに――今回行った二つの聞き取り調査について
 2.クムフラから見たフラ道場とハワイ語
  2.1 フラ道場におけるハワイ語の使用
  2.2 フラ道場で課されるリサーチ等
  2.3 フラ道場で伝授されるハワイ語の知識
  2.4 ハワイ語とフラ道場の関係
 3.ハワイ語イマージョンスクール教師から見たフラ道場とハワイ語
  3.1 フラ道場におけるハワイ語の使用
  3.2 フラ道場で学ぶハワイ語
  3.3 ハワイ語とフラの相乗効果
  3.4 フラ道場はどんな場所であり得るか
  3.5 フラ道場以外でハワイ語知識を高めることができる機会
 4.まとめ

第11章 ハワイ性の表象としてのフラ――ハワイ語再活性化運動との関わりについて(古川敏明)
 1.はじめに
  1.1 目的
  1.2 先行研究
 2.先住ハワイアンの伝統舞踊フラ
 3.ハワイ語の衰退と再活性化運動
  3.1 印刷文化の導入
  3.2 ハワイ語学校数と生徒数の減少
  3.3 ハワイ語再活性化運動の現状
 4.ハワイ性の表象としてのフラとハワイ語再活性化運動との関わり
  4.1 フラ再活性化が及ぼす影響の二面性
  4.2 フラ再活性化は言語再活性化より成功しているのか
 5.おわりに

第12章 ハワイアン音楽と言語イデオロギー(古川敏明・古賀まみ奈)
 1.はじめに
 2.ナー・ホークー賞
 3.グラミー賞ハワイアン部門
 4.ハワイ語とハワイアン音楽
 5.結び

第13章 ハワイ語再活性化におけるメディアの役割(古川敏明)
 1.はじめに
 2.学校教育以外の領域におけるハワイ語使用
  2.1 公共性の高いメディア
  2.2 私的な領域におけるメディアとハワイ語使用
 3.問題点
 4.他言語の事例からメディア利用における改善点を探る
 5.結論

第14章 社会の様々な領域に広がるハワイ語使用(古川敏明)
 1.はじめに
 2.公用語としてのハワイ語
 3.広がるハワイ語使用
  3.1 日常的に使われているハワイ語
  3.2 名前と名づけ
  3.3 詠唱およびスピーチ
  3.4 教会
  3.5 演劇
  3.6 観光業
 4.結び

 エピローグ

 あとがき
 引用文献

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