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朝鮮学校の教育史
本体4,800円+税
ISBN 9784750348162
判型・ページ数 A5・408ページ
出版年月日 2019/04/10

朝鮮学校の教育史

脱植民地化への闘争と創造

朝鮮学校の歴史は、植民地支配以来続く日本の同化政策との闘いの歴史であると同時に、祖国から離れた地で民族の歴史と文化を伝えようとする創造的な教育実践の記録でもあった。朝鮮学校の闘争と創造の中に在日朝鮮人の脱植民地化の歴史を発見する新たな試み。
 はしがき
 凡例
 略語一覧

序章 闘争と創造の朝鮮学校史
 第一節 問題の所在――朝鮮学校教育史の不在
 第二節 先行研究と課題
 (1)朝鮮学校史研究の成果と限界――脱植民地化の教育史としての朝鮮学校史
 (2)教育の反省性の軌跡としての教育史
 (3)本書の課題
 第三節 対象と方法
 (1)朝鮮学校とは
 (2)1950~60年代の位置づけ――朝鮮学校の教育の基本型の成立期
 (3)史資料
 第四節 構成

第1章 誕生と破壊
 第一節 草創期の教育
 (1)朝鮮学校のはじまり
 (2)学校体系の構築
 第二節 朝鮮学校の閉鎖
 (1)1948年の学校閉鎖措置と4.24教育闘争
 (2)1949年の学校閉鎖措置と在日朝鮮人の抵抗
 第三節 止まらない歩み
 (1)就学義務制の廃止
 (2)多様な形態による民族教育の実施
 (3)在日朝鮮統一民主戦線の結成

第2章 本国教育の移植
 第一節 学校体系の再構築
 (1)在日本朝鮮人総連合会の結成
 (2)教育援助費と奨学金
 (3)帰国の実現
 (4)教員養成対策
 第二節 教育の再編
 (1)本国教科書の翻刻使用
 (2)学校規定の制定
 (3)三大重点課業の設定

第3章 矛盾の顕現
 第一節 基本生産技術教育の移植と実践
 (1)祖国建設のために
 (2)厳しい教育環境と教員たちの工夫
 (3)基本生産技術教育の実際
 第二節 見据えていた将来

第4章 教科書の創造
 第一節 本国教科書の限界
 第二節 1963年新版教科書――「創造的な適用」の内実
 (1)在日朝鮮人の視点、生活の導入
 (2)漢字表記の再開
 (3)日本社会や自然の取り扱い
 第三節 教科書内容の社会的規定
 (1)「私たち」とは誰か――祖国と在日朝鮮人
 (2)「弱い表現」の採用――日本社会からの評価
 (3)冷戦・分断イデオロギーの継続

第5章 生まれ出る言葉
 第一節 国語常用の取り組み
 (1)二重言語環境と教員の実力
 (2)国語を話させる難しさ
 (3)「おかしな国語」
 第二節 高まる「正しい国語」習得気運
 第三節 脱植民地化の様態――目指される浄化、生み出される亜種
 (1)生成され続ける在日朝鮮語
 (2)「正しい国語」の習得を目指して

第6章 朝鮮学校の生活綴方
 第一節 教育関係者の関わりと生活綴方の「輸入」
 第二節 都立朝鮮人高等学校『新芽文集』(1952年)
 第三節 子どもたちにとっての脱植民地化
 (1)朝鮮語で「ありのままに書く」意味
 (2)「解放」とは何か

第7章 朝鮮への誇り
 第一節 愛国伝統の学習
 第二節 朝鮮人らしい生き方の追求
 (1)日本式名前の改名――家庭の論理との衝突
 (2)チマ・チョゴリ制服の着用――子どもたちの主体性
 第三節 朝鮮人としての経験
 (1)風景
 (2)歌
 (3)休校日
 (4)運動

第8章 明滅する在日朝鮮人史
 第一節 在日朝鮮人としての共通の記憶
 第二節 「61年8月講義」問題
 (1)「在日朝鮮人運動史」講義の実施
 (2)惹起した混乱
 (3)在日朝鮮人運動史の否定
 第三節 在日朝鮮人史の希求
 (1)在日朝鮮人史の不在
 (2)発掘・整理・活用・接続

第9章 公教育の境界線
 第一節 公立朝鮮学校という問い
 第二節 名古屋市立朝鮮学校の設置・存続・廃止
 (1)暫定的措置としての設置
 (2)公立学校における民族教育の模索
 (3)ローカルな関係性
 (4)民族教育の徹底と公立学校の正常化――「不正常」から「不法」へ
 第三節 ローカルな公共性

第10章 政治問題としての法的地位
 第一節 日本政府および文部省の立場
 (1)学校閉鎖措置後の朝鮮学校の法的地位
 (2)各種学校認可の両価性
 第二節 無認可校への補助金交付――四日市市の論理
 第三節 各種学校認可をめぐる三重県の対応
 (1)文部省方針の貫徹
 (2)認可問題に関する政治的判断

終章 朝鮮学校の教育史が問いかけるもの
 第一節 朝鮮学校における脱植民地化
 第二節 戦後日本教育史にとっての朝鮮学校教育史
 第三節 東アジアにおける脱植民地化と教育の比較史に向けて

 史資料および参考文献
 あとがき
 人名索引

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