『高齢社会日本の雇用政策』

「序論」を読む 

 日本はOECD諸国のなかでもすでに最も高齢化が進んだ国の一つである。高齢者の数は急速に増加しており、2050年までには日本人の3人に1人以上が65歳以上になると見込まれる。日本の労働力人口(20-64歳)はすでに縮小し始めており、総人口はあと数年でピークを迎えたのち、半世紀にわたり大幅に減少する可能性が高い。必然的に、日本の労働力人口も急激に減少する。その結果、経済成長が鈍化するとともに年金・医療等の公的支出の増大が見込まれている。縮小する労働力人口は、特定の職種においては深刻な人手不足を招くだろう。しかし、これらの問題の規模とその深刻化する時期は、将来日本において潜在的労働供給をどれくらい活用できるかということにかかっている。この点で、増加する高齢者の高い就業率を維持し、雇用の質を改善することがとくに重要となるだろう。
 しかし、すでに日本の高齢者は労働市場において数々の問題に直面している。長期的に、これらの問題が労働力人口にとどまろうとする高齢労働者の意思決定に悪影響を及ぼし、早期引退につながる可能性がある。したがって、ただちに適切な措置を講じ、高齢者が労働市場で活躍し続け、技能および雇用可能性を高めることができるようにすることが重要である。こうした目標達成のために必要な改革について、さまざまな方法を熟考することが、本報告書の主な目的である。
 第1章では、日本が直面する人口学的課題について説明し、この課題にうまく対処するためには高齢労働者の雇用可能性を改善することが重要であることを強調する。第2章では、日本における高齢者の労働市場の現状を検討し、高齢労働者が直面しているいくつかの主要な問題について確認する。第3章では、高齢者の就業・引退決定に影響を及ぼす老齢年金制度などの社会保障制度を含む、高齢者雇用を考える際、労働供給側に存在する障壁について議論する。ここでは就労インセンティブを強化するためにとりうるいくつかの改革の要点を述べる。もちろん、雇用における供給側の障壁を取り除くだけでは十分とはいえない。需要側への対策もまた必要である。そこで第4章では、高齢労働者に対する雇用主の行動に影響を与える主な要因と高齢労働者の雇用延長や雇い入れを推進するためのさまざまな選択肢について考察する。そして第4章を補完する第5章では、訓練機会を増大させることや、公共職業紹介を含むその他の労働市場プログラムの役割とその効果を高めることなど、高齢労働者の「雇用可能性」を改善するためのさまざまな方策について分析する。

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