『死刑百科事典』
絞首刑の項

Hanging
絞首刑,縛り首

 死刑囚の首を、綱その他の絞首索で絞首台から、もしくは、リンチの場合は立木や街灯柱からつるす処刑方法。
 絞首刑は常に低い位置付けの刑罰、すなわち臆病者専用の処刑方法とみなされてきた。それというのも、聖書の申命記21章22〜23節に「ある人が死刑に当たる罪を犯して処刑され、あなたがその人を木にかけるならば、死体を木にかけたまま夜を過ごすことなく、必ずその日のうちに埋めねばならない。木にかけられた死体は、神に呪われたものだからである。あなたは、あなたの神、主が嗣業として与えられる土地を汚してはならない」(新共同訳『聖書』日本聖書協会 1993年)と書かれているからである。
 絞首刑においては、犠牲者は通常木で作られた壇、すなわち絞首台に歩いて昇り、そこに設けられた落とし戸の上に立つ。(初期の絞首刑では、犠牲者を木の上からつるしたり、荷車から空中に飛び降りさせたりした)。犠牲者の両腕は後ろ手に縛られて、両足も通常は結び合わされ、犠牲者が落ちた後、首の縄が十分に絞まる前に周辺を蹴って縄がゆるむことで助かったりなどしないようにされる。そして、結び目がいくつか付けられた太い綱でできた首つり縄が、左耳の後ろにその結び目の一つが来るようにして首に巻かれる。次いで、黒い頭巾が頭にかぶせられる。合図が下されると、執行人がひもを引いて落とし戸を開け、犠牲者を垂直に落下させる。最もうまくいった場合では、綱の結び目が脊椎頸部の骨をいくつか折り、脊椎頸部が脊柱内に陥没すれば犠牲者は即死する。だが不手際な処刑の例では、頭部がもぎ取れる。実際、1901年のニューメキシコ州におけるブラック・ジャック・ケッチャム(Black Jack Ketchum)の場合では、立会人の前列まで血が飛び散った。1931年のウェストヴァージニア州における殺人犯フランク・マイヤー(Frank Myer)の場合も頭部が離断した。そのほかに、即死せずとも、のどが絞められて死に至るまで時間がかかった例がいくつかあった。
 絞首刑に処せられた著名な人物には、イギリスのスパイだったジョン・アンドレ(John Andre)、アメリカのスパイだったネイサン・ヘイル(Nathan Hale)、学者のユージン・アラム(Eugene Aram)、パキスタンの大統領ズルフィカル・アリ・ブットー(Zulfikar Ali Bhutto)がいる。現在、合衆国では、モンタナとワシントンの2州のみがこの形式の処刑を行っている。

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