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パブリックヘルス 市民が変える医療社会
本体2,600円+税
ISBN 9784750335230
判型・ページ数 4-6・248ページ
出版年月日 2012/01/15

パブリックヘルス 市民が変える医療社会

アメリカ医療改革の現場から

無保険者がいる一方、市民・患者・医療者のそれぞれが医療制度を変えようと声を上げ、聴き関わろうとする人々がいるアメリカ。ボストンで生活しながら、保健医療を手掛かりに個人と社会との関わりについて考察する著者がみたアメリカの今と3.11後の日本社会。

 まえがき

第1部 アメリカのヘルスケア改革への長い道のり

第1章 全米初・マサチューセッツの州民皆保険
 1 マサチューセッツ州ヘルスケア改革法の登場
  無保険という問題
  ヘルスケア改革法の成立
  改革法成立の背景
  コネクターの働き
 2 マサチューセッツ州ヘルスケア改革法の舞台裏
  無保険者へのペナルティ
  州民のヘルスケア改革法の受け止め方
  NPOの活躍

第2章 連邦(国)におけるヘルスケア改革
 1 紆余曲折のヘルスケア改革
  「ヘルスケアはもう待てない!」集会
  シングル・ペイヤーからパブリック・オプションへ
  既往歴があっても入れる保険
  混迷するヘルスケア改革
  アメリカ医師会の態度変更
  ヘルスケア改革の行方
 2 アメリカのヘルスケア改革法の成立
  ヘルスケア改革法案の可決
  2009年末から2010年初頭にかけての動き
  共和党の猛反撃
  民主党のラスト・スパート
  ふつうの人たちの力の引き出し方
  ふつうの人たちの勝利
 3 中間選挙とヘルスケア改革
  民主党敗退とヘルスケア改革への暗雲
  自由の侵害
  法律上の問題
  医療費高騰への懸念
  マサチューセッツ州の知事選――人々の良識の勝利
  ヘルスケアの費用コントロール
  ヘルスケア改革法の支持者たち
  日本へのレッスン
 4 人々の健康(パブリックヘルス)のための「言葉」
  アリゾナの民主党議員銃撃事件
  攻撃の言葉
  価値の衝突
  医療が大切だということは所与ではない
  健康の正義論
  改めて考えるアメリカのヘルスケア改革の困難さ
  政治的に、政治を超えて
 5 リーダーの条件、人々の選択
  大統領選「前年の夏」
  2つのヘルスケア改革法
  ロムニー氏の宣誓
  ヘルスケア改革法――連邦と州
  ヘルスケア改革は誰のため
  裁判所の判断
  リーダーの条件
  私たちの選択

第3章 医療・専門職・社会
 1 アメリカ市場化医療の起源
  保健医療政策勉強会
  アメリカ医療史の別の顔――市場化医療の起源
  「患者中心」医療から「専門職中心」医療へ
  近代医療と医療の制度化――医療専門職支配の誕生
  カーネギーとロックフェラーの医療男(メディシン・マン)
  科学的医療の正統化
  国家の介入
  過去の見方いろいろ
 2 パワーゲームとしてのアメリカ医療
  医師による専門職支配
  医療ビジネスマンの台頭
  看護師やメディカル・スタッフの台頭
  患者団体の台頭
  政争の具としての医療
 3 ヘルスケア改革と医療専門職
  メディケア・メディケイド改革
  医療の質向上研究所
  医療の質向上のためのキャンペーン
  医療費の抑制
  現状批判と専門家の意見の尊重

第2部 健康と社会

第4章 個人と共同体
 1 アメリカで生活するということ
  海外留学の意味
  自己主張と寛容性
  虐待と博愛
  貧しさと豊かさ
  異国で生活して日本を思う
 2 新型インフルエンザ雑感とヘルス・リテラシー
  ワクチン不足
  集団接種の流れ
  マサチューセッツ州の全員接種ポリシー
  熱が出たらどうするか
  ヘルス・リテラシー
  それぞれの課題
 3 ホリデー・シーズンによせて――共同体の意義
  3つのホリデー
  それぞれの儀式
  共同体の伝統と儀式
  共同体の中の居場所
  共同体は失われたか
  医師の専門職共同体

第5章 障害と社会
 1 インクルージョンとスペシャル・スクール
  芸術の街、ボストン
  アダプティブ・ダンス・プログラム
  上級者クラスのレッスン風景
  こども病院とバレエ・スクールの連携
  試行錯誤の連続
  仲間作り
 2 生命の質の計算
  健康を測る尺度
  障害調整生存年数(DALY)
  DALYへの批判
  DALYに替わる指標作り
  健康を測る難しさ

第6章 個人と社会のねじれ、あるいは同じコインの表裏
 1 アメリカ社会の2つの顔
  リバータリアニズム
  コミュニタリアニズム
  カテゴリー化の注意点
  アシュリー療法
  マサチューセッツ住宅改造ローン事業
  2つの道
  人々の選択
 2 個人のトラブルから社会問題へ
  子どもの留守番は犯罪
  パレンス・パトリエ
  親による治療拒否
  DV(家庭内暴力)
  個人モデルから社会モデルへ
  日本への導入の可能性
 3 アメリカ社会と臓器移植
  ルネ・フォックスの『臓器交換社会』
  臓器移植大国アメリカ
  臓器ドナーの死亡状況
  アメリカ小児科学会のポリシー・ステイトメント
  日弁連の意見書
  「命の贈り物」から「命のリサイクル」へ
  文化としての臓器移植

第3部 みんなの健康のために

第7章 当事者の声
 1 患者会のアドボカシー活動
  患者会の力
  自立生活を求める集団訴訟
  マサチューセッツ脳障害協会(BIA-MA)
  BIA-MAの活動内容
  BIA-MAのアドボカシー活動
  患者の声と医療政策
 2 健康を自分たちの手でみ取る
  健康に関する社会運動
  目に見えない病気――慢性疲労症候群
  筋痛性脳脊髄炎(CFS/ME)
  CFSの患者会
  『アイ・リメンバー・ミー』
  CFSになった医師
  医学研究への期待と支援
  アメリカの特徴・日本の特徴
 3 声の民主主義
  『戦争の文化』
  想像力の限界
  自由の国での言論の不自由さ
  ポリオ・ワクチン被害と報道
  想像する力と民主主義

第8章 誰のための医療か
 1 パブリックヘルス・ワーカーの落とし穴
  国際保健と援助
  ある感染症の「制圧」
  パブリックヘルス・ワーカーの落とし穴(1)――感染症登録者数の過剰
  パブリックヘルス・ワーカーの落とし穴(2)――感染症登録者数の過少
  誰のためのパブリックヘルスか
 2 健康への権利・健康への義務
  健康のリスク・ファクターとしての喫煙
  タバコ・コントロール
  ボストン市の試み
  個人の責任
  禁煙の効果
  命の計算
  日本での喫煙状況
 3 国家と市民社会、そして健康
  あなた方の力
  国家と市民社会
  『クロッシング』
  イスラエルのアラブ人
  市民社会と国家の協働
  日本における国家と市民社会の行方

第4部 3・11からの私たちの社会

第9章 東日本大震災へのボストンからの思い
  さまざまな日本支援組織の誕生
  日本に関する討論会
  海外からの援助を断る日本
  日本に対する戸惑い
  贈与論と社会関係資本
  「日本の共同体精神」と「公共的関与」
  「グローバル・シチズンシップ」に向けて

第10章 フクシマ便り
  一時帰国
  相馬市訪問
  3・11からの医療
  3・11からのくらし
  3・11からの子どもたち
  3・11から未来に向けての構想

第11章 パブリックヘルス(みんなの健康)のために
  公衆衛生とパブリックヘルス
  東海村の教訓
  医療の限界
  福島原発事故と健康安全管理
  造血幹細胞の事前採取と保存
  国内外で高まる関心
  「獅子のような心を持つ力ある者」
  医療ガバナンスとパブリックヘルス

 あとがき

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