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地方自治体の安全保障
本体2,400円+税
ISBN 9784750332529
判型・ページ数 4-6・212ページ
出版年月日 2010/08/10

地方自治体の安全保障

安全保障は国家の専権事項とされるが、市民や市民社会がどれだけ自分たちの力で自分たちの安全を守ろうとしているのかは、その社会がどれだけ民主主義的であるのかを測る目安の一つといえる。環境問題、紛争解決、薬物問題……、自治体の取り組みを軸に考える。

序論 「安全保障」の構造転換(佐々木寛)

第1部 コミュニティの自然・生命を守る

第1章 瀬戸内海に広げる環境コミュニティ(阿部悦子)
 1 はじめに――市民派議員として
 2 原点としての学校給食問題
 3 今治市のその後――学校給食を軸に大きく変貌
 4 織田が浜埋め立て問題
 5 ゴルフ場建設反対――立木トラスト運動
 6 行政手続条例制定を求めて
 7 海をこれ以上埋めないで――瀬戸内法改正運動
 8 愛媛県議会でのあれこれ
 9 リサイクルの名のもとで――鉄鋼スラグ問題
 10 おわりに――未来のために、脱成長・脱開発の視点を

第2章 命を守るコミュニティ――近年の自殺予防活動の動向(福山清蔵)
 1 自殺予防への取り組みの概況
 2 自殺予防の総論的段階から各論的段階へ
 3 コミュニティへの介入実践と研究の動向
 4 秋田県の自殺予防モデル事業
 5 青森県の自殺一次予防の推進事業
 6 経済的な自殺問題に対するアプローチ
 7 新しいアプローチとして
 8 自殺未遂者に対する対応
 9 自殺遺族に対する対応

第2部 危機にどう立ち向かうか

第1章 真の安全保障を求めて――沖縄・ジェンダーの視点から(高里鈴代)
 1 はじめに――私のこれまでの活動について
 2 女性、子どもの立場から見た人間の安全保障
 3 基地と日常、それに付随するさまざまな問題
 4 兵士が直面する過酷な現実と暴力
 5 構造的暴力の解決と議員活動
 6 アメリカでの講演活動
 7 世界の女性たちとのネットワークの構築
 8 真の安全保障とは
 9 安全な社会をつくるために
  《質疑応答》

第2章 原子力発電所と自治体の「安全保障」――新潟の事例から(佐々木寛)
 1 原子力発電所の「安全」をめぐる現行の制度的枠組み
 2 中越沖地震と原子力の「安全」をめぐる政治
 3 原子力問題と「自治」

第3章 市民は誰が「保護」するのか――「国民保護法制」を分析する(五十嵐暁郎)
 1 はじめに
 2 国民保護法の制定と社会の反応
 3 地方自治体の反応――鳥取県の対応
 4 国民保護は、はたして可能なのか?――図上訓練で表面化した課題
 5 「自分たちの国は、自分たちで守る」――スイスの民間防衛
 6 もう一つの選択――無防備都市宣言
 7 おわりに――市民の安全は誰が守るのか

第3部 国境を越えて

第1章 外国籍住民と地方自治体――ともに生きる地域をめざして(山田貴夫)
 1 はじめに
 2 未完の戦後補償
 3 革新自治体の外国人政策
 4 外国籍住民の「発見」
 5 ニューカマーズの登場
 6 自治体政策の課題
 7 おわりに

第2章 地域の自立性回復をめざして――東北タイにおける「朝市」運動(松尾康範)
 1 貧しさとは
 2 生きることの基本“農”が壊れる
 3 イサーン
 4 国家レベルの近代化の陰で
 5 農作物の自由化
 6 レインボープラン
 7 イサーンで始まった朝市
 8 「むらとまちを結ぶ市場」へ
 9 援助は人々から自立心を奪う
 10 自発的意志を持った人との連携
 11 時代が求めていた
 12 ある住民リーダーの死を考える
 13 人々のグローバリゼーションをつくろう