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帰還移民の人類学
本体6,800円+税
ISBN 9784750331522
判型・ページ数 A5・416ページ
出版年月日 2010/02/01

帰還移民の人類学

アフリカ系オマーン人のエスニック・アイデンティティ

アラビア半島北東端の国オマーンはかつて東アフリカ沿岸部部に「植民地」を築いていた。その植民者の子孫たちのうち近年オマーンに戻ってきた人々が「アフリカ系オマーン人」である。アフリカ性とアラブ性の2面をもつ彼らの集団的アイデンティティを考察する。
はじめに

 主要単語
 凡例

第 I 部 序論

第1章 帰還移民の人類学
 第1節 帰還移民とはなにか
  1 人類学における帰還移民研究
  2 帰還移民の多様性
  3 「帰還」をめぐる用語法
  4 移民を送り出す国をめぐる用語
  5 エスニックな帰還移民
 第2節 オマーンに関する先行研究
  1 人類学におけるオマーン研究
  2 インド洋研究におけるアラブ移民研究
 第3節 本書の視座と方法
 第4節 本書の構成

第2章 オマーン近代国家の形成
 第1節 オマーン概況
  1 地理的環境
  2 1970年までの略史
  3 遊牧民、海洋民としてのオマーン人
  4 部族社会
  5 宗教、宗派
 第2節 「近代化」政策
  1 政治、経済
  2 近代教育
 第3節 社会変化
  1 帰還移民と出稼ぎ労働者
  2 階級、階層
  3 多様なエスニシティ

第II部 アフリカ系オマーン人の適応過程

第3章 東アフリカ島嶼部・大陸部の歴史と社会
 第1節 ザンジバルの歴史的背景
  1 オマーン統治期(17世紀半ば1890年)
  2 イギリス統治期(18901963年)
  3 ザンジバル革命とその後(1964年)
 第2節 ザンジバルの文化・社会的背景
  1 イスラームの伝来とスワヒリ文明の成立
  2 ザンジバルにおけるエスニックな状況
 第3節 東アフリカ大陸部の歴史・社会的状況

第4章 移民ネットワークと東アフリカにおける適応
 第1節 東アフリカへの移動とネットワーク
  1 東アフリカへの移住要因
  2 オマーン移民のネットワーク
 第2節 移住先での適応
 第3節 オマーン移民が東アフリカに与えた影響
  1 アラブ系移民による東アフリカへの影響
  2 オマーン移民による東アフリカへの影響

第5章 移民ネットワークとオマーンにおける適応
 第1節 オマーンへの帰還と移民ネットワーク
  1 オマーンへの帰還
  2 オマーン国内におけるネットワーク
  3 東アフリカとのネットワーク
 第2節 帰還後の適応
  1 言語
  2 服装
  3 男女隔離
 第3節 アフリカ系オマーン人と東アフリカのネットワーク
  1 教育的側面
  2 宗教的側面
 第4節 アフリカ系オマーン人の適応度と「戦略」
  1 適応度の促進要因
  2 活動領域による適応度の差
 第5節 ネットワーク存立の条件

第6章 ヴェール着用にみる宗教と伝統の区別
 第1節 適応過程におけるジェンダーの要素
 第2節 政策レベルにみる女性の社会進出
 第3節 「宗教」のヴェール、「伝統」のヴェール
  1 ネイティブ・オマーン人女性の着用状況
  2 アフリカ系オマーン人女性の障害
  3 「宗教」のヴェール
  4 「伝統」のヴェール
 第4節 イスラームの/とフェミニズム

第III部 アフリカ系オマーン人のエスニック・アイデンティティの構築過程

第7章 奴隷言説にみるアフリカ系オマーン人の歴史認識
 第1節 「被害者」か、「加害者」か
 第2節 東アフリカにおける奴隷制とイスラーム
  1 イスラームにおける奴隷制
  2 ザンジバルの奴隷制の歴史と概要
 第3節 ザンジバルの奴隷制をめぐるさまざまな言説
  1 奴隷制をめぐるヨーロッパの言説
  2 奴隷制をめぐるアフリカの言説
  3 アフリカにおける反アラブ的言説の創出
 第4節 奴隷制にまつわるアフリカ系オマーン人の言説
  1 オマーン移民の言説──テクストより
  2 アフリカ系オマーン人の言説──インタビューより
 第5節 アフリカ系オマーン人の歴史認識
  1 ヨーロッパおよびアフリカの言説の問題点──アフリカ系オマーン人の視点から
  2 歴史修正の動き──ヨーロッパに向けて
  3 ナショナル・ヒストリーへの参与──国内に向けて
 第6節 歴史修正活動のめざすもの

第8章 アフリカ系オマーン人のエスニック・アイデンティティ
 第1節 系譜、混血、名称
 第2節 「ザンジバリー」の生成・表象
  1 みえないアフリカ系オマーン人
  2 ネイティブ・オマーン人にとっての「ザンジバリー」
  3 ネイティブ・オマーン人の指摘する「ザンジバリー」の文化的象徴
 第3節 アフリカ系オマーン人のエスニック・アイデンティティ
  1 アフリカ系オマーン人であること
  2 「名づけ」に対するアフリカ系オマーン人の意識
  3 アフリカ系オマーン人の「名乗り」
  4 アラブであることと系譜
 第4節 言説と実践のズレ

第IV部 アフリカ系オマーン人をめぐるエスニシティとナショナリズム

第9章 ザンジバルおよびオマーンにおけるアラブ性の意味
 第1節 アラブとはなにか
 第2節 ザンジバルにおけるアラブ性(19世紀半ば1960年代)
  1 アラブをめぐる用語法
  2 アラブ性をめぐる2つの基準
 第3節 社会階層としてのアラブ性とその内実
 第4節 オマーンにおけるアラブ性(1970年)
 第5節 アラブ内部の階層性と差別意識

第10章 オマーンにおける国籍法と国民概念
 第1節 国籍法にみる国民概念の変化
  1 1972年法における規定
  2 改正法による修正点
 第2節 オマーン移民の国籍取得にみる国民統合
  1 オマーン移民による国籍取得への歯止め
  2 外国人としての国籍取得の困難
  3 出自重視の傾向
 第3節 オマーン人と外国人のはざまで

第V部 結論

終章 総括と展望
 第1節 総括
 第2節 帰還移民の人類学に向けて
  1 入植型帰還移民としてのアフリカ系オマーン人
  2 入植型帰還移民内部の階層性
  3 植民地経験と記憶
  4 本国での国籍取得と社会的ポジション
  5 おわりに

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