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戦争と平和の学びかた
本体2,500円+税
ISBN 9784750327877
判型・ページ数 4-6・208ページ
出版年月日 2008/04/01

戦争と平和の学びかた

悲惨な戦争の実態が忘れ去られ、対テロの名の下に新たな戦場が広がる現代。私たちは戦争という方法を捨てることができるのか。特攻隊、ヒロシマ・ナガサキ、対テロ戦争等を題材に、学生と戦争の現実に向き合い議論することで平和の主体形成を試みる。

はじめに――「戦争と平和を学ぶ」とは
  「負けてよかった」
  ホロコーストの情景
  原爆投下は「ソ連への対抗」か
  「なぜ」と「どうすべきか」
  授業における議論とは
  授業における議論の方法

第1章 九・一一テロ後の世界を議論する――アフガン戦争・パレスチナ危機・イラク戦争
 第1節 九・一一テロ事件とアフガン戦争の議論――悲劇の連鎖拡大か
  なぜ平和的解決か
  九・一一テロ事件――授業の構想
  アフガン報復攻撃に賛成か
  戦争以外の方法とは
  戦争という方法の是非
  「無防備の平和主義」か
  戦争という方法と対抗するには
 第2節 パレスチナ危機の議論――「彼らの出来事」か「私たちの出来事」か
  九・一一テロ事件からパレスチナへ
  二時間の授業計画
  イスラエルの侵攻・占領は
  ユダヤ人迫害の経験は
  パレスチナの抵抗は
  イスラエルの軍事侵攻との対比
  「理解はできるが認められない」
  「暴力では絶対に解決されない」
  「私たちの出来事」・「彼らの出来事」
  「人々の心の中へ入っていく努力」
 第3節 イスラエル高校生の兵役拒否――この決断に共感できるか
  「テロリストの名に値する」
  軍務拒否と平和集会
  兵役拒否の高校生に共感できるか
  イスラエルの体験から見れば
  戦いは何を生み出したか
  「自分にはできない」
  「つらさ」への共感
  ニューヨーク・パレスチナ・ヒロシマ・ナガサキ
 第4節 内側から見る戦争・外側から見る戦争――イラク戦争の議論
  九・一一テロ事件後の世界で
  議論の対象――ブッシュ演説
  大量破壊兵器を除去?
  脅威はイラクか・アメリカか
  イラクにとって自由とは
  圧政に耐えるか・戦争で苦しむか
  「外側」から見る戦争・「内側」から見る戦争
  痛み・悲しみの共有とは
  米国少女の反戦スピーチ

第2章 特攻隊員の死――そのうけとめかた――「尾崎豊と特攻隊」の議論
 第1節 「弱さとたたかう」尾崎豊
  この授業実践のねらい
  なぜ尾崎豊か
  尾崎は社会批判者か
  社会批判か・自分とのたたかいか
  「自分とのたたかい」から共同へ
 第2節 「挫折する」特攻隊
  「特攻隊を見習うべき」
  非国民の汚名か・自らの死か
  「お国のため」の内実――遺書の分析
  「個」の挫折か
  オウム真理教――社会への復讐か
  オウム真理教入信は必然か
 第3節 「立ち向かう」尾崎・「信仰」の特攻隊
  「立ち向かう」尾崎・「迷いと挫折」の尾崎
  「弱さとたたかう」尾崎論
  「必然」か・「何かを探る」か
  『戦争論』の議論のしかた
 第4節 特攻隊議論の方法
  特攻隊批判の視点
  醜悪と希望――大岡昇平の特攻論
  醜悪を撃つ位置
  隊員の苦悩・学生の苦悩
  苦しみの共有――共感と共同

第3章 ヒロシマ・ナガサキを議論する――原爆体験への共感と共同
 第1節 『原爆の子』以後のヒロシマ・ナガサキ学習
  『原爆の子』が提起したこと
  ショック・同情・傍観者
  「何か」の追求――共感・共同
  高校生平和ゼミと修学旅行
  教室での授業実践は
 第2節 「原爆の絵」への道
  悲惨・残虐――日常との接続を
  被害の姿・克服の姿
  語りかける「原爆の絵」
  肉親の最後の姿を求めて
  「原爆の絵」を使った実践
 第3節 「原爆の絵」から学ぶ
  授業の構想
  「助けられなかった」苦しみ
  遺体を確認する怖さ
  灯籠流しに乗せるものは
  なぜ「絵」を描くのか
  封印したい気持ちからの脱皮
 第4節 原爆体験を想像するとは
  原爆体験の想像――その意味
  「生きる」苦しみ
  絶望感・自責の念
  原爆体験への共感と共同
  生き地獄と解放
  「並々ならぬ決意」
  脱皮・脱出への道
  原爆体験者にとって「生きる」とは
 第5節 ヒロシマ・ナガサキをめぐる被害と加害
  レポート発表
  イラク戦争への道か
  リメンバー=目には目を
  惨劇――報復か廃絶か
  アジア諸国への応答は
  南京と広島・長崎
  「日本の」被害か・「原爆の」被害か
  「原爆投下で解放」=原爆の正当化
  再び原爆体験への共感と共同

第4章 戦争と平和の学びかた――戦争体験への共感と共同
 第1節 悲惨・残虐の事実――どう関わっていくか
  平和教育の目標
  人間不信・ゴマカシへの同調
  平和教育目標の筋道批判
  受動態の学習者
 第2節 共感・共同または共感共苦(コンパッション)
  戦争の恐ろしさ・自分の恐ろしさ
  共感・共同・やさしさ
  共感共苦(コンパッション)
  朝日新聞「ひととき」欄から
  共感・共同、共感共苦の教材論
 第3節 加害の学習、抵抗・反戦の学習
  「しかたなかった」への滑落
  共感・共同か、同調・同化か
  兵役拒否への共感とは
  声援・激励=同調・同化
  困難性の自覚=共同の成立へ
  共感・共同と認識の発展
  戦争と平和の学びかた

 あとがき
  兵隊に行かなくてもいい
  戦争以外の方法