ホーム > 日本・ベトナム比較言語教育史
日本・ベトナム比較言語教育史
本体9,000円+税
ISBN 9784750327334
判型・ページ数 A5・464ページ
出版年月日 2008/02/01

日本・ベトナム比較言語教育史

沖縄から多言語社会をのぞむ

近代国民国家形成期に『国語(標準語・普通語)』教育をめぐり、どのような議論が闘わされ、言語政策が確立されたのか? 沖縄とベトナムの少数民族地域を例に、それぞれの国語教育・言語政策を批判的に比較・検討し、ありうべき「ことばの教育」を展望する。
序(浜本純逸)

序章 研究の目的と方法
 第1節 研究の目的と方法
 第2節 日越比較をめぐって
 第3節 先行研究における本研究の位置づけ
 第4節 本研究の構成について

【第1部 日本編】

第1章 近代学校をめぐる〈声〉と〈文字〉の相剋――八重山地域の場合
 はじめに
 第1節 士族層と近代学校
 第2節 平民層と近代学校
 第3節 八重山の言語文化と「南島」、そして「国語」
 まとめ
第2章 小学校「国語科」成立と沖縄地域――「普通語」概念に注目して
 はじめに
 第1節 小学校「国語科」成立をめぐる議論
 第2節 小学校「国語科」成立前後の沖縄地域における言語教育議論
 まとめ
第3章 宮良當壮と柳田國男の間――言語教育論をめぐって
 はじめに
 第1節 宮良當壮の言語教育論の背景
 第2節 宮良當壮の言語教育論
 第3節 柳田國男の言語教育論
 まとめ――宮良當壮と柳田國男の間
第4章 国分一太郎における「生活語」の発見――「方言詩論争」再考
 はじめに
 第1節 国分一太郎と「方言詩論争」
 第2節 「方言詩論争」をめぐる研究史
 第3節 福永晶爾と三上斎太郎の言語教育観
 第4節 国分一太郎の言語教育観
 第5節 国分一太郎の苦悩と藤
 第6節 「生活語」の「生活言語」としての発見
 まとめ――戦後の国分一太郎の軌跡を踏まえて
第5章 戦後民間教育運動における国語ナショナリズム――奥田靖雄の標準語論を中心に
 はじめに
 第1節 奥田靖雄と民科言語部会
 第2節 スターリン「言語学におけるマルクス主義について」の受容
 第3節 石母田正「言葉の問題についての感想」
 第4節 石母田(1952年)と奥田の標準語論の形成
 第5節 奥田(1957年)の論点
 まとめ
第6章 戦後沖縄の「学力問題」における「言語問題」――上村(1978年)、儀間、東江グループを中心に
 はじめに
 第1節 戦後沖縄の「学力問題」における「言語問題」
 第2節 上村幸雄「民族、国家、言語――『処分』と言語政策――その考察の前提」
 第3節 「復帰運動の内在的批判者」儀間進の沖縄口で書く実践
 第4節 「学力問題」の根底にある言語観をめぐって
 第5節 東江グループの問題提起
 まとめ

【第2部 ベトナム編】

第7章 ベトナム言語教育史研究の課題と方法
 第1節 ベトナム言語教育史研究の課題
 第2節 先行研究について
 第3節 研究の方法
 第4節 本研究でとりあげる少数民族について
第8章 ベトナム民主共和国・社会主義共和国における言語教育史の概観
 第1節 「独立宣言」以前のベトナムの言語文化と教育
 第2節 「独立宣言」以降のベトナム言語教育史の概観
  第1期 1945年~1954年/独立国家樹立期――国語の識字運動と民族語学習権の理念の提起
  第2期 1954年~1975年/南北分裂・ベトナム戦争期――第1次バイリンガル教育の試行と「ベトナム語の純粋性を守る」運動
  第3期 1976年~1980年代/南北統一国家確立期――第53-CP号決定の制定と普通語普及
  第4期 1990年代以降/ドイモイ政策期――「民族融和」の強調と第2次バイリンガル教育の模索
第9章 バイリンガル教育をめぐる葛藤――バッカン省バーベー郡をフィールドとして
 第1節 第1次バイリンガル教育の「失敗」をめぐって
 第2節 バーべー郡におけるフィールド調査
 第3節 フィールド調査のまとめ
 おわりに
第10章 ドイモイ期における「国家語」制定をめぐる藤――少数民族言語教育の課題を踏まえて
 はじめに
 第1節 「国語」から「普通語」へ、そして「国家語」へ?
 第2節 「国家語」制定をめぐる論点
 第3節 「国家語」制定をめぐる論点と少数民族言語教育の課題
 おわりに

〈資料1〉 ホー チ ミン 「愚民政策」(1924年頃)
〈資料2〉 ファム ヴァン ドン 「ベトナム語の純粋性を守る」(1966年)
〈資料3〉 「少数民族の文字に対する方策に関する第53-CP号決定」(1980年)

終章 日越比較を踏まえ、もう一つの言語教育を求めて
 はじめに
 第1節 国民形成と近代言語教育
 第2節 「国民国家の擬制性」の矛盾の現れ――言文一致と学力問題をめぐって
 第3節 もう一つの言語教育の展望
 おわりに

 (附表)日越比較言語教育史年表
 参考文献
 あとがき

同じジャンルの本

このページのトップへ