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ことばとジェンダーの未来図
本体3,800円+税
ISBN 9784750326733
判型・ページ数 4-6・368ページ
出版年月日 2007/11/01

ことばとジェンダーの未来図

ジェンダー・バッシングに立ち向かうために

独自の視点で「日本語と女」を論じた寿岳章子氏の足跡を辿るシンポジウムでの議論を中心として、さらには、教育現場や行政および地方自治体において「ジェンダー」や「ジェンダー・フリー」がどう捉えられているかを批判的に考察し、問題点を浮き彫りにする。
まえがき(遠藤織枝)

第1部 シンポジウム「ことばとジェンダーのこれからを考える――寿岳章子さんの志をうけついで――」から
 第1章 志を貫いた寿岳さん――研究と実践の見事な一致とともに(遠藤織枝)
  1 女学生の寿岳さん
  2 女性差別のある教育制度を憤る
  3 抄物研究
  4 『日本語と女』
  5 「憲法を守る婦人の会議」と「答責会議」
  6 現代日本語研究会のメンバーとして
 第2章 歌に見る女性像・男性像(金秀容)
  はじめに
  1 寿岳章子の調査
  2 寿岳の調査結果と現代の日本の大衆歌謡との比較
  3 現代の日本の大衆歌謡と韓国の大衆歌謡との比較
  おわりに
 第3章 寿岳氏の先駆性(柴本‐スミス・ジャネット)
  1 モダンな寿岳氏
  2 ポストモダンな寿岳氏
 第4章 少女から見た言葉の教育――戦前・戦中の労働新聞と少女雑誌から(鷲留美)
  1 女学生の寿岳さんとその時代
  2 国語政策と「女らしい言葉遣い」
  3 少女と階層
  4 女工の意見
  5 女学生の意見
  おわりに
 第5章 思いを熱く共有しあった場としてのシンポジウム――「ことばとジェンダー」研究の現在(熊谷滋子)
  1 シンポジウムのまとめ
  2 「ことばとジェンダー」研究の現在

第2部 「ジェンダー」への理解を深め、広めるために
 第1章 ジェンダーの教育実践例(小矢野哲夫)
  はじめに
  1 男女共同参画の意識
  2 授業での取り組み
  3 事例の紹介
  4 授業効果と期待
 第2章 高校における「ジェンダー」――その「傾向と対策」を九九%の側から考える(小林美恵子)
  1 学校とジェンダー――都立高校教員としての体験
  2 男女混合名簿の広がり
  3 バックラッシュが始まった
  4 九九%のために何ができるのか
  5 性教育と言葉
  6 国語教材をジェンダー的視点で見ると
  7 『こころ』の授業
  8 明治社会の女性と漱石
 第3章 日本語教師とジェンダーに関する一考察――「そのネクタイ、すてきですね」をどう扱うか(萩原秀樹)
  はじめに
  1 国内日本語教育の現場から
  2 ジェンダーから眺めた日本語テキスト
  3 指導者と学習者
  4 日本語教育への示唆
  おわりに
 第4章 スリランカのジェンダー学と女性運動(イミヤ・カマラ・リヤナゲ)
  1 ペラデニヤ大学
  2 女性で初の学部長
  3 初めてのジェンダー学
  4 ジェンダーとの出会い
  5 政治におけるスリランカの女性
  6 Independent Women's Collective の結成

第3部 ことばとしての「ジェンダー・フリー」――言語的意味と行政による禁止の動き
 第1章 「ジェンダー・フリー」の言語領域からの分析――gender-freeの誤用と「ジェンダー・フリー」の混乱(佐々木恵理)
  はじめに
  1 「ジェンダー」の導入
  2 「ジェンダー」はどれくらい認識されているか
  3 「ジェンダー・フリー」を読み解くために
  4 「ジェンダー・フリー」の分布図
  5 日本語人のことばと言語改革への態度
  6 ことばを発信するということ
  7 バッシングと闘うために
 第2章 東京都議会・地方自治体における「ジェンダー・フリー」禁止の経緯と現状(戸張きみよ・藤田恵)
  1 東京都議会におけるジェンダー・フリー論争
  2 地方自治体の「ジェンダー・フリー」
 第3章 地方行政でのジェンダーの取り組(田中優子)
  はじめに
  1 世田谷区における女性政策の沿革
  2 世田谷区におけるジェンダー関連の動き(議会質問より抜粋)
  3 男女共同参画に関する世田谷区独自の取り組み
  おわりに

索引