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国民の形成
本体4,000円+税
ISBN 9784750320625
判型・ページ数 4-6・296ページ
出版年月日 2005/03/01

国民の形成

タイ東北小学校における国民文化形成のエスノグラフィー

タイ東北部長期フィールドワークに基づき、子どもが国民として形成される過程、その過程で関与する主体、という国民文化形成のメカニズムを、言語、マスメディア、地域文化、仏教信仰、国王崇拝など多様な領域から解析。教育社会学に新たなモデルを提示。
序章 研究課題の設定
 第1節 研究の対象と理論的枠組み
  研究の対象/理論的枠組み
 第2節 研究方法
  フィールドワーク研究法/本研究でのフィールドワーク調査
 第3節 調査地の概況
 第4節 本研究の意義と構成
  先行研究の整理と本研究の意義
第1章 タイの国民教育史――読み書き習得から国民の形成へ
 第1節 国民教育の準備期
  寺院教育/チュラロンコン王の教育整備/義務教育令の発布
 第2節 国民教育の開始期
  サリットの農村教育開発/ラックタイ教育の普及
 第3節 国民教育の完成期
  一九七八年改革の発端/ラックタイ重視の改革
 第4節 国民教育の量的推移
 第5節 調査地の社会環境変化と教育の歴史
  読み書き習得の時代(二〇〇年前から一九五〇年代まで)/小学校拡充の時期(一九六〇年代から一九七〇年代)/学校制度の充実期(一九八〇年代以降)
第2章 言語の国民化
 第1節 中央タイ語の地方への普及
  タイ語の言語学的位置づけ/タイ語普及の政策史/情報通信メディアの役割
 第2節 調査地における言語の歴史
  一八〇〇年代から一九三〇年以前―ラオス語とタム文字の時代/一九三〇年代から一九五〇年代――小学校の設置/一九六〇年代から一九七〇年代
 第3節 現在の子どもの言語生活
  家庭生活/テレビ・ラジオ/外部との往来/印刷メディア
 第4節 村落内での子どもの国語習得メカニズム
 第5節 学校における言語の国民化
  学校言語の配置/学校における中央タイ語習得の実践/二言語使用と言語意識
 第6節 言語の国民化メカニズム
第3章 仏教の国民化
 第1節 一九六〇年代以降の教育政策の中の仏教
 第2節 コミュニティの仏教信仰と子ども
  僧修行と見習い少年僧制度/日常の食事喜捨(サイバーツ)/年中行事
 第3節 学校における仏教の国民化実践
  日常的活動の中の仏教/教室の中の仏教/年間行事の中の仏教
 第4節 学校仏教の公的組織化
  公的行事としての学校行事/村落の祭りとしての学校行事
 第5節 仏教の国民化メカニズム
第4章 国王崇拝の国民化
 第1節 国王の視覚化政策と村落の国王イメージ
 第2節 学校における国王崇拝意識の形成
  教科書の中の国家と国王/母の日行事のエスノグラフィー
 第3節 国家の家族と村落の家族
  家族の子育て意識―レオテーとバンカップ・マイダイ/子育ての意識の二重構造仮説/家族イメージ操作の背景/タイ農村の社会変動と国民道徳形成
 第4節 国王崇拝の国民化メカニズム
第5章 子どもの国民意識の諸相
 第1節 子どもの仏教意識
  タンブン観念/天国(サワン)と地獄(ナロック)の存在への観念/輪廻転生の観念
 第2節 子どもの国王崇拝意識
  国王イメージ/王妃イメージ/マスコミからのイメージ受容
 第3節 子どものアイデンティティ
  調査の方法/アイデンティティの全体的特性/集団アイデンティティの特性/強固な国民意識
終章 まとめと今後の課題
 第1節 マクロ・レベルの主体
  文教政策――主導的国民形成主体/政治変動と経済変動/イメージ形成主体としての〈情報通信メディア〉/伝統文化システムの補完的役割
 第2節 コミュニテイ・レベルの主体
  学校の役割転換――読み書き空間から国民形成空間へ/寺院と家族の役割/テレビなどの役割
 第3節 学校の内部メカニズム
  国民形成の空間配置/国民形成の領域/国民形成の技法/卒業――国民文化の習熟
 第4節 今後の研究課題

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