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韓国文学を旅する60章
本体2,000円+税
ISBN 9784750351070
判型・ページ数 4-6・384ページ
出版年月日 2020/12/01
フォーマット 価格
単行本 2,000円+税
電子書籍 1,600円+税

韓国文学を旅する60章 (単行本)

いまもっとも注目されている韓国文学。さまざまな土地にゆかりのある、古典から現代まで総勢60人の作家/作品を通して、読者を旅に誘う。韓国を愛するすべての人に向けた、豪華執筆陣による珠玉のエッセイ集。エリア・スタディーズ〈文学編〉。



文学と旅はよく似ている。本を開き、私たちは日常から解き放たれて旅に出る。とくに外国の文学作品との出会いは、見知らぬ土地への旅立ちにも似ている。未知の場所を背景にした物語を読み終えたとき、私たちは一つの旅を終えたような気持ちで大きなため息をつくのである。(本書 はじめに より)



総勢49名(研究者、翻訳者、作家など)の執筆者による

韓国/K文学への案内


■書評掲載
2021年04月24日 図書新聞(評者:林浩治 氏)
2021年3月20日 信濃毎日新聞
2020年12月26日 毎日新聞「今週の本棚」
2020年12月23日 大学の外に広がる韓国文学 多彩な筆者49人による韓国/K文学の入口

●編著者 (*[ ]内の数字は担当した章番号)

波田野節子(はたの せつこ) [4, 7, 42]
新潟県立大学名誉教授。韓国近代文学。著書に『李光洙―韓国近代文学の祖と「親日」の烙印』(中公新書、2015)、『韓国近代作家たちの日本留学』(白帝社、2013)、『韓国近代文学研究―李光洙・洪命憙・金東仁』(白帝社、2013)。翻訳書に李光洙著『無情』(平凡社ライブラリー、2020)、金東仁著『金東仁作品集』(平凡社、2011)。主な論文に「東アジアの近代文学と日本語小説」(日本植民地研究会編『日本植民地研究の論点』岩波書店、2018)ほか。

斎藤真理子(さいとう まりこ) [40, 56, 60]
翻訳者。訳書に『こびとが打ち上げた小さなボール』(チョ・セヒ著、河出書房新社)、『鯨』(チョン・ミョングァン著、晶文社)、『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ著、筑摩書房)、『ディディの傘』(ファン・ジョンウン著、亜紀書房)など。『カステラ』(パク・ミンギュ著、ヒョン・ジェフンとの共訳、クレイン)で第一回日本翻訳大賞受賞。『ヒョンナムオッパへ』(チョ・ナムジュ他著、白水社)で〈韓国文学翻訳賞〉翻訳大賞(韓国文学翻訳院主催)受賞。

きむ ふな [28, 46, 52]
日韓の文芸翻訳者。韓国生まれ。韓国の誠信女子大学、同大学院を卒業し、専修大学大学院日本文学科で博士号を取得。翻訳書に、ハン・ガン『菜食主義者』、キム・エラン『どきどき僕の人生』、ピョン・ヘヨン『アオイガーデン』、キム・ヨンス『ワンダーボーイ』、津島佑子・申京淑の往復書簡『山のある家、井戸のある家』、孔枝泳『愛のあとにくるもの』、『いまは静かな時—韓国現代文学選集』(共訳)など、著書に『在日朝鮮人女性文学論』(作品社)がある。



●執筆者一覧 (執筆章順)

西岡健治(にしおか けんじ) [1]
福岡県立大学名誉教授。朝鮮古典文学。訳書に『春香伝の世界 その通時的研究』、論文に「桃水野史訳『鶏林情話春香伝』の原テキストについて」、「完板八十四張本『烈女春香守節歌』に見る非妓生的表現の考察」、「芥川龍之介作『金将軍』の出典について」、「高橋仏焉/高橋亨の『春香伝』について」ほか。

岡山善一郎(おかやま ぜんいちろう) [2]
(元)天理大学教授。韓国古代文学。単著に『韓國古典文學の硏究』(金壽堂出版、2017)、共著に『東アジアの伝統文化とストーリーテリング』(西京文化社、2017)、主な論文に「韓国の史書に表れた童謡観」(『朝鮮学報』241輯、朝鮮学会、2016年10月)、「日·韓の古代童謠の比較硏究」(『成澤勝博士古稀祝賀記念論集』銀河出版社、2019)ほか。

野崎充彦(のざき みつひこ) [3]
大阪市立大学大学院文学研究科教授。朝鮮古典文学・伝統文化論。著書『慵斎叢話―15世紀朝鮮奇譚の世界』(集英社、2020)、訳書『韓国映画100年史』(鄭琮樺著、野崎充彦、加藤知恵訳、明石書店、2017)、『洪吉童伝』(平凡社、東洋文庫、2010)ほか。

野間秀樹 (のま ひでき) [コラム1]
言語学。著書に『言語存在論』(東京大学出版会、2018)、『韓国語をいかに学ぶか』(平凡社、2014)、『日本語とハングル』(文藝春秋、2014)、『ハングルの誕生』(平凡社、2010)ほか。編著書に『韓国語教育論講座1~4巻』(くろしお出版、2007~2018)、『韓国・朝鮮の知を読む』(クオン、2014)ほか。

鄭惠英(チョン ヘヨン) [5]
慶北大学教養教育センター招聘教授。韓国近代小説専攻。著書『幻影の近代文学』(昭明出版社、2006)、『植民地期文学の近代性』(昭明出版社、2008)、『探偵文学の領域』(亦樂、2011)、『大衆文学の誕生』(アモルムンディ、2016)。

白川豊(しらかわ ゆたか) [6]
1950年、香川県生まれ。九州産業大学名誉教授。朝鮮近現代文学。著書に『植民地期朝鮮の作家と日本』(大学教育出版、1995)、『朝鮮近代の知日派作家』(勉誠出版、2008)、『張赫宙研究』(東国大学校出版部、2010)など。訳書に廉想渉著『三代』(平凡社、2012)、廉想渉著『驟雨』(書肆侃侃房、2019)など。

崔泰源(チェ テウォン) [コラム2]
東京大学教養学部特任准教授。韓国近代文学、主に翻訳・翻案小説。論文に「一齋趙重桓の翻案小説研究」(ソウル大学博士論文、2010)、「‛夢夢’時代の秦學文の日本留学と文学修業」(『尚虚学報』2017)ほか。

李相雨(イ サンウ) [コラム3]
高麗大學國文學科敎授。韓國近代劇。主な著書に『劇場、政治を夢見る』(ソウル:テオリア、 2018)、『植民地劇場の演技されたモダニティ』(ソウル:昭明出版、2010)。主な論文に「1910年代東京留學生學友會と近代劇」(『韓民族語文學』第86輯、2019年12月)ほか。

李亨真(イ ヒョンジン) [コラム4]
早稲田大学国際教養学部でAPM(Area Studies Plurilingual Multicultural Education)プログラムの韓国担当の任期付き講師として勤務。韓国現代小説専攻。「韓国近代小説に現れた脱家の想像力と女性表象」と題した論文でソウル大学で博士学位取得。最近の論文は「崔仁浩 小說の 大衆性と女性表象―『星の故鄕』の敍事戰略の分析を中心として」(『語文研究』2020年9月)ほか。

鄭基仁(チョン ギイン) [8, 25]
ソウル科学技術大学助教授、東京外大特任准教授を歴任。20~21世紀韓国文学、韓国文化、海外韓国学専攻。著書に『韓国近代詩の形成と漢文脈の再構成』(高麗大学校民族文化研究院、 2020)、共著で『近代思想の受容と変容1』(仙人、2020)、『オデュセウスの航海』(エピファニー、2018)。

柳川陽介(やながわ ようすけ) [9]
ソウル大学人文学部国語国文科博士課程。朝鮮近代文学。主な論文に「李泰俊と陶磁器」(『尚虚学報』51、2017)、「白楊堂研究」(『韓国学研究』50、2018)ほか。翻訳に張紋碩「金史良とドイツ文学」(『言語社会』14、2020)。

相川拓也(あいかわ たくや) [10]
1987年、甲府生まれ。日本エスペラント協会事務局長。朝鮮近代文学。共著に『言語態研究の現在』(七月堂、2014)、『韓国近代文学と東アジア 1』(ソミョン出版、2017、韓国語)。主な論文に「京城の路地の歳月―朴泰遠「路地の奥」の生と時代」(『仇甫学報』14号、韓国語)ほか。

金牡蘭(キム モラン) [11]
早稲田大学・武蔵大学・二松学舎大学非常勤講師。近代朝鮮と韓国の文学・演劇。共著に『異文化理解とパフォーマンス』(春風社、2016)、『芸術と環境―劇場制度・国際交流・文化政策』(論創社、2012)、Re-playing Shakespeare in Asia(Routledge, 2010)。

牧瀬暁子(まきせ あきこ) [12]
現代語学塾講師。韓国〈クボ学会〉会員。朝鮮近現代文学研究。共訳書に『現代朝鮮文学選Ⅱ』(創土社、1974)。訳書に『黄真伊・柳寛順』(高麗書林、1975)、『川辺の風景』(作品社、2005)、『鄭喜成詩選集―詩を探し求めて』(藤原書店、2012)、『あの夏の修辞法』(クオン、2018)。論文に、「柳寛順と三・一運動」(『季刊三千里』1977年春号)、「朴泰遠の児童文学と国語教科書」(『朝鮮学報』2016年4月)、「〈구보따라 도쿄 걷기〉자료(2)박태원작품읽기」(『クボ学報』2017)など。

熊木勉(くまき つとむ) [13, 20, 24]
天理大学国際学部外国語学科教授。韓国近現代文学。共著に『対話のために―「帝国の慰安婦」という問いをひらく』(クレイン、2017)、単訳に『思想の月夜』(李泰俊著、平凡社、2016)、共訳に『太平天下』(蔡萬植著、平凡社、2009)。主な論文に「『同志社大学予科学生会誌』『自由詩人』のころの鄭芝溶」(『福岡大学研究部論集』、A:人文科学編 Vol.15. No.2、2016)など。

祖田律男(そだ りつお) [14]
韓国語翻訳家。訳書に金聖鍾『最後の証人』(論創社、2009)、金来成『魔人』(論創社、2014)、『金来成探偵小説選』(論創社、2014)、金来成『白仮面』(論創社、2018)ほか。

山田佳子(やまだ よしこ) [15]
新潟県立大学国際地域学部教授。韓国現代文学。共訳に『小説家仇甫氏の一日』(平凡社、2006)、『現代韓国短篇選』上・下(岩波書店、2002)。主な論文に「崔貞煕の植民地末期における時局関連作品―3つの類型と「野菊抄」」(『国際地域研究論集』No.7、2016.3)、「朴花城の植民地期の作品と舞台について」(『朝鮮学報』201輯、2006年10月)。

大村益夫(おおむら ますお) [16, 19]
1933年生まれ。早稲田大学名誉教授。朝鮮近代文学。主要著書に『朝鮮近代文学と日本』(緑蔭書房、2003)、『中国朝鮮族文学の歴史と展開』(緑蔭書房、2003)、『愛する大陸よ―詩人金龍済研究』(大和書房、1992)、『大村益夫著作集』全6巻、ソウル、ソミョン出版、2016~2018)がある。

高橋梓(たかはし あずさ) [17]
高麗大学民族文化研究院研究教授。朝鮮近現代文学。共著に『文藝首都―公器としての同人誌』(小平麻衣子編、翰林書房、2020)。共訳書に徐智瑛著、姜信子・高橋梓訳『京城のモダンガール―消費・労働・女性から見た植民地近代』(みすず書房、2016)。主な論文に「金史良の朝鮮語作品「チギミ」と日本語作品「蟲」の改作過程の考察―朝鮮人移住労働者の集住地をめぐる表現の差異」(『朝鮮学報』247輯、2018年4月)ほか。

曺恩美(チョウ ウンミ) [18]
東京外国語大学国際日本研究センター特任研究員。韓国近代文学・日本語文学。著書に『張赫宙の日本語文学―植民地朝鮮/帝国日本のはざまで』(明石書店、2021)。訳書に『아시아/일본』(グリンビ、ソウル、2010:米谷匡史著『アジア/日本』岩波書店、2006の全訳版)。主な論文に「張赫宙作・村山知義演出「春香伝」上演(1938年)論―朝鮮人のプロレタリア文化運動と新協劇団の関わりの中から」(『朝鮮学報』254輯、朝鮮学会、2020年1月)ほか。

吉川凪(よしかわ なぎ) [21, 31, 43, 59]
翻訳家。仁荷大学大学院で韓国文学専攻。文学博士。著書に『朝鮮最初のモダニスト鄭芝溶』、『京城のダダ、東京のダダ』、訳書にチョン・セラン『アンダー、サンダー、テンダー』、朴景利『土地』、崔仁勲『広場』、李清俊『うわさの壁』などの小説と、申庚林、呉圭原、金恵順の詩集がある。金英夏『殺人者の記憶法』で第四回日本翻訳大賞受賞。

渡辺直紀(わたなべ なおき) [22]
武蔵大学人文学部教授。韓国近現代文学。主著に『林和文学批評―植民地朝鮮のプロレタリア文学と植民地的主体』(韓国、ソミョン出版、2018)、共著に『世界文学への招待』(宮下志朗・小野正嗣編、放送大学振興協会、2016)、Manchukuo Perspectives: Transnational Approaches to Literary Production(Annika A. Culver, Norman Smith ed., Hong Kong University Press, 2019)、訳書に『植民地の腹話術師たち―朝鮮の近代小説を読む』(金哲著、平凡社、2017)、『帝国大学の朝鮮人』(鄭鍾賢著、慶應義塾大学出版会、近刊)など。

佐野正人(さの まさと) [23]
東北大学国際文化研究科教授。日韓比較文学、日韓比較文化。共著に『戦間期東アジアの日本語文学』(勉誠出版、2013)、『동아시아문화공간과한국문학의모색(東アジア文化空間と韓国文学の模索)』(語文学社、2014)、『「アメリカ言説」の諸相』(晃洋書房、2020)など。主な論文に「李箱 ポストコロニアルな詩人」(『現代詩手帖』2019年8月号、思潮社)ほか。

金雪梅(キム ソルメ) [26]
東京外国語大学大学院総合国際学研究科、博士後期課程在学中。植民地期朝鮮文学・尹東柱研究。論文に「詩人尹東柱における故郷―生まれ育った場所「北間島」を中心に」(『クァドランテ』第22号、東京外国語大学、海外事情研究所、2020)。

芹川哲世(せりかわ てつよ) [27]
二松学舎大学文学部名誉教授。韓国現代文学。共著に『新羅の再発見』(国際言語文学会、ソウル、2013)、『3・1独立万歳運動と植民地支配体制』(知識産業社、ソウル、2019)、訳書に『日本の作家たちの目に映った3・1独立運動』韓国語訳(知識産業社、2020)、論文に「韓国の現代小説とキリスト教の関連様相」(『キリスト教文学研究』28、日本キリスト教文学会、2011)、「須永元と朝鮮亡命人士との交流」(『二松学舎大学人文叢論』99、二松学舎大学、2017)「須永元と朝鮮人士との漢詩交流」(『二松学舎創立140周年記念論文集』二松学舎大学、2017)。

和田とも美(わだ ともみ) [29]
富山大学人文学部准教授。20世紀朝鮮・韓国文学。文学博士(ソウル大学)。単著『李光洙長篇小説研究-植民地における民族の再生と文学』(御茶の水書房、2012)。同書の韓国語版は大韓民国学術院選定2015年度優秀学術図書。単訳・著『越えてくる者、迎えいれる者-脱北作家・韓国作家共同小説集』(アジアプレス・インターナショナル出版部、2017)。論文「パンソリから朴正煕政権下の健全歌謡へ-韓国における「いとしのクレメンタイン」受容史」ほか。

四方田犬彦(よもた いぬひこ) [30, 36]
エッセスト、詩人、小説家。明治学院大学教授、コロンビア大学、ソウルでは建国大学、中央大学などで客員教授を歴任。専攻は映画誌、比較文学。80年代に東京で率先して現代韓国映画上映に関わる。著書は多岐にわたるが、韓国関係では『われらが〈他者〉なる韓国』(平凡社、2000)、『ソウルの風景』(岩波書店、2001)、『夏の速度』(作品社、2020)、『われらが〈無意識〉なる韓国』(作品社、2020)などがある。

金景彩(キム キョンチェ) [32]
東京大学大学院総合文化研究科博士課程。武蔵大学、白百合女子大学、上智大学非常勤講師。近現代韓国文学・思想。主な論文に「批評が構想される場―植民地期、林和の唯物論的文芸理論における歴史と文学」(『言語態』2019年3月、言語態研究会)ほか。共訳書に河野貴美子ほか編『「文」から「文学」へ―東アジアの文学を見直す(日本「文」学史 第三冊)』(勉誠出版、2019)。

金承福(キム スンボク) [33, コラム8]
韓国・全羅南道霊光出身。幼少期から文学に親しみ、ソウル芸術大学では現代詩を専攻。留学生として1991年に来日し、日本大学芸術学部に入学。卒業後、広告代理店勤務を経て、2007年に出版社クオンを東京で設立。2015年に東京・神田神保町にブックカフェ「チェッコリ」をオープン。日本出版界での韓国書籍の拡充を図るK-BOOK振興会役員。

中沢けい(なかざわ けい)[34]
作家。法政大学文学部教授。1959年横浜市生まれ。明治大学政治経済学部卒。1978年第21回群像新人賞を『海を感じる時』で受賞。1985年第7回野間文芸新人賞を『水平線上にて』で受賞。代表作に『女ともだち』『楽隊のうさぎ』『麹町二婆二娘孫一人』、対談集『アンチヘイト・ダイアローグ』がある。

趙秀一(チョウ スイル) [コラム5]
東国大学日本学研究所専任研究員。在日朝鮮人文学。主な論文に、「金石範『火山島』論―重層する語りの相互作用を中心に」(『社会文学』47号、日本社会文学会、2018)、「金石範『火山島』論―「自由」を追い求めていた主人公・李芳根の「自殺」をめぐって」(『朝鮮学報』254輯、朝鮮学会、2020)ほか。

清水知佐子(しみず ちさこ) [35]
翻訳家。大阪外国語大学朝鮮語学科卒業。読売新聞記者などを経て現職。訳書に『完全版 土地』2巻、5巻、8巻、11巻(2016~2019)、『原州通信』(2018)、『クモンカゲ 韓国の小さなよろず屋』(いずれもクオン、2019)、『9歳のこころのじてん』(小学館、2020)、共訳に『韓国の小説家たちⅠ』(クオン、2020)など。

権容奭(クォン ヨンソク) [37, 50]
一橋大学大学院法学研究科准教授。東アジア国際関係史、韓国現代史。著書に『岸政権期のアジア外交―「対米自主」と「アジア主義」の逆説』(国際書院)、『「韓流」と「日流」―文化から読み解く日韓新時代』(NHKブックス)、訳書に『イ・サンの夢見た世界―正祖の政治と哲学』(キネマ旬報社)、監訳書・解説に『沸点―ソウル・オン・ザ・ストリート』(ころから)など。

井手俊作(いで しゅんさく) [38]
九州芸術祭文学賞福岡県地区選考委員。福岡市文学賞選考委員。訳書に崔仁浩の作品集『他人の部屋』(コールサック社、2012)と小説『夢遊桃源図』(同)、韓江の小説『少年が来る』(クオン、2016)、韓勝源の小説『月光色のチマ』(書肆侃侃房、2020)。

舘野晳(たての あきら) [39, コラム7]
韓国関係の出版物の企画・執筆・翻訳・編集に従事。(一社)K-BOOK振興会理事。編著:『36人の日本人、韓国・朝鮮へのまなざし』(明石書店、2005)、『韓国の暮らしと文化を知るための70章』(明石書店、2012)、翻訳『韓国の政治裁判』(サイマル出版会、1997)、『分断時代の法廷』(岩波書店、2008)、『韓国における日本文学翻訳の64年』(出版ニュース社、2012)、『韓国出版発展史』(出版メディアパル、2015)、『朝鮮引揚げと日本人』(明石書店、2015)、『韓国の文化遺産巡礼』(クオン、2018)、『対話』(共訳、明石書店、2019)。

川村湊(かわむら みなと) [41, 44]
1951年、北海道生まれ。法政大学名誉教授。文芸批評、日本近現代文学研究。著書に『生まれたらそこがふるさと―在日朝鮮人文学論』(平凡社、1999)、『川村湊自撰集(五巻)』(作品社、2015〜2016)、共訳書に『ソウルにダンスホールを―1930年代朝鮮の文化』(金振松著、法政大学出版局、2005)、『軍艦島(上・下)』(韓水山著、作品社、2009)。

橋本智保(はしもと ちほ) [45, 54]
ソウル大学国語国文科修士課程修了。韓国近現代文学専攻。訳書に、李炳注『関釜連絡船(上・下)』(藤原書店)、朴婉緒『あの山は、本当にそこにあったのだろうか』(かんよう出版)、ウン・ヒギョン『鳥のおくりもの』(段々社)、クォン・ヨソン『春の宵』、チェ・ウンミ『第九の波』(共に書肆侃侃房)、キム・ヨンス『夜は歌う』『ぼくは幽霊作家です』(共に新泉社)など。

崔真碩(チェ ジンソク) [47]
広島大学大学院人間社会科学研究科准教授。文学。著書に『朝鮮人はあなたに呼びかけている』(彩流社、2014)。詩集に『サラム ひと』(夜光社、2018)。主な訳書に『李箱作品集成』(作品社、2006)ほか。主な論文に「牧野信一論―(内なる)アメリカを笑う」(『社会文学』2020年8月、第52号、日本社会文学会)ほか。

佐川亜紀(さがわ あき) [48]
詩人。韓国現代詩。著書に、詩集『死者を再び孕む夢』(小熊秀雄賞)、『押し花』(日本詩人クラブ賞)ほか。共訳書『高銀詩選集 いま、君に詩が来たのか』(藤原書店、2007)、『日韓環境詩選集 地球は美しい』(土曜美術社出版販売、2010)、『李御寧詩集 無神論者の祈り』(花神社、2012)ほか。韓国・昌原KC国際詩文学賞受賞。


星野智幸(ほしの ともゆき) [49]
小説家。主な作品は、『だまされ屋さん』(中央公論新社、2020年)、『焰』(新潮社、2018、谷崎潤一郎賞)、『呪文』(河出書房新社、2015)、『夜は終わらない』(講談社、2014、読売文学賞)、『俺俺』(新潮社、2010、大江健三郎賞)ほか。

戸田郁子(とだ いくこ) [51]
韓国在住の作家・翻訳家。仁川の旧日本租界地に仁川官洞ギャラリーを開く。朝日新聞GLOBE「ソウルの書店から」コラム連載10年目。『中国朝鮮族を生きる 旧満洲の記憶』(岩波書店、2011)、『80年前の修学旅行』(図書出版土香、2019)、共著『モダン仁川』(土香、2017)、翻訳書『世界最強の囲碁棋士、曺薫鉉の考え方』(アルク、2016)など。

中島京子(なかじま きょうこ) [53]
小説家。『小さいおうち』(文藝春秋、2010)で第143回直木賞受賞、『妻が椎茸だったころ』(講談社、2013)で第42回泉鏡花文学賞、『かたづの!』(集英社、2014)で第28回柴田錬三郎文学賞、『長いお別れ』(文藝春秋、2015)で第10回中央公論文芸賞、『夢見る帝国図書館』(文藝春秋、2019)で第30回紫式部文学賞を受賞。ほか著書多数。

金原瑞人(かねはら みずひと) [55]
法政大学教授・翻訳家。訳書は『青空のむこう』『豚の死なない日』〈パーシー・ジャクソン・シリーズ〉『さよならを待つふたりのために』『月と六ペンス』『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる ハプワース16、1924年』など。エッセイに『サリンジャーにマティーニを教わった』など、日本の古典の翻案に『雨月物語』など。

江南亜美子(えなみ あみこ) [57]
書評家・京都芸術大学文芸表現学科専任講師。おもに日本の純文学と翻訳文芸に関し、新聞、文芸誌、女性誌などで論考・レビューを執筆。共著に『世界の8大文学賞』『きっとあなたは、あの本が好き。』(ともに立東舎)など。韓国文学関連では、『完全版 韓国・フェミニズム・日本』(河出書房新社)などに寄稿。

古川綾子(ふるかわ あやこ) [58]
翻訳家。神田外語大学非常勤講師。訳書にキム・エラン『走れ、オヤジ殿』(晶文社、2017)、『外は夏』(亜紀書房、2019)、ユン・テホ『未生 ミセン』(講談社、2016)、ハン・ガン『そっと 静かに』(クオン、2018)、チェ・ウニョン『わたしに無害なひと』(亜紀書房、2020)ほか。

すんみ [コラム6]
翻訳家。早稲田大学大学院文学研究科修了。訳書に『あまりにも真昼の恋愛』(キム・グミ著、晶文社、2018)、『屋上で会いましょう』(チョン・セラン著、亜紀書房、2020)、共訳書に『私たちにはことばが必要だ―フェミニストは黙らない』(イ・ミンギョン著、タバブックス、2018)、『彼女の名前は』(チョ・ナムジュ著、筑摩書房、2020)ほか。

 はじめに
 ソウルおよび朝鮮半島の地図

Ⅰ 古典の世界

第1章 パンソリ 韓国人の伝統的な心情――口承伝統のパワーと技がさえる
第2章 朝鮮半島の定型詩 郷歌から時調へ――郷歌「薯童謡」と時調「丹心歌」を中心に
第3章 朝鮮の風雲児 許筠――洪吉童は琉球に渡ったか?
 コラム1 ハングル、時空を亘る

Ⅱ 近代文学の開拓者

第4章 李光洙の長編『無情』と鍾路――韓国最初の近代長編の舞台を歩いてみよう
第5章 幻影に囚われた金東仁の人生――大同江の幻影、幻影の大同江
第6章 代表作に見るリアリスト廉想渉の実体験と冷徹な観察――東京、下関、大田、ソウル
第7章 洪命憙の『林巨正』――迷走する大河小説
 コラム2 翻訳と翻案の1910年代
 コラム3 韓国の演劇
 コラム4 韓国の「ノラ」たち

Ⅲ 近代の小説家

第8章 春川のジャガイモと金裕貞の「冬椿花」――韓国のツンデレ少女
第9章 李泰俊と城北洞――陶磁器蒐集家たちの社交場
第10章 李箱のたどった明洞‐新宿――からっぽな「わたし」の発見
第11章 李孝石と郷土の原風景――今に生きる「嶺西の記憶」
第12章 朴泰遠のソウル――『川辺の風景』と『小説家仇甫氏の一日』を歩く
第13章 錦江の濁流に落ちる涙と蔡萬植――初鳳や勝在に会える街・群山
第14章 京城に探偵を登場させた金来成――怪奇と犯罪と神秘の交響楽
第15章 郷土に育まれた作家、朴花城――木浦、東京、そして木浦
第16章 1930年代の代表作 李箕永の『故郷』――天安一帯の農村変革を描く
第17章 「日本語作家」金史良――創作のはじまりの場所 釜山
第18章 異境に見たふるさと 張赫宙――高麗郷と高麗神社
第19章 片脚の戦士 作家金学鉄――社会の不義と戦った生涯

Ⅳ 近代の詩人

第20章 きょっきょん、きょっきょん、金素月――定州そして雨降る往十里
第21章 禁じられた詩人 鄭芝溶――郷愁の沃川
第22章 プロレタリア詩人 林和――植民地朝鮮と鍾路十字路
第23章 モダニズム文学の旗手 金起林の足跡――「北」と「南」の間で行方不明になった詩人
第24章 李舜臣の町・統営の少女と白石――祀堂の石段に座りあの人をおもう
第25章 李陸史の雄壮な想像力――安東の風景と「曠野」
第26章 詩人尹東柱の故郷を探しに――龍井のある辺境の風景

Ⅴ 解放と分断と朝鮮戦争(1945年~)

第27章 黄順元の「鶴」――敵対から和解へ
第28章 李範宣の「誤発弾」と解放村――母は「帰るんじゃ! 帰るんじゃ!」と叫ぶ
第29章 「戦後」を体現する作家 孫昌渉――「戦後」の釜山
第30章 驢馬の眼差しをした失郷作家 李浩哲――ソウル・西大門刑務所歴史館
第31章 崔仁勲 北でも南でもない場所への希求――巨済島の光と影
第32章 有刺鉄線を越えて 金洙暎――自由への道のりを辿る
第33章 言葉と文字を失った作家 金承鈺――「霧津」は韓国のどこにでもある
第34章 金源一氏のこと――兄の目
 コラム5 済州島四・三事件と文学

Ⅵ 独裁政権と産業化の時代(1960年代~)

第35章 朴景利と平沙里、間島、沿海州、そして統営――大河小説『土地』の舞台を訪ねて
第36章 メロドラマから百済滅亡史へ 崔仁浩――百済の旧都 扶余
第37章 「旅人」黄晳暎の故郷・永登浦――「最後の韓国」の姿を求めて
第38章 田舎と都会を往復した魂 李清俊――南道の艶やかな闇の中で
第39章 金芝河 振れ幅の大きかった「抵抗詩人」――日本人は彼の詩で韓国文学を知った
第40章 チョ・セヒ リアルにして象徴的な世界――タルトンネはいたるところに
第41章 李文求と忠清南道――海と山に日は落ちる
第42章 呉貞姫の「失郷」の文学――港町仁川の「中国人町」
第43章 申庚林と歩く仁寺洞――〈平和マンドゥルギ〉の夜は更けて
第44章 趙廷來とともに筏橋を歩く――民族の悲劇の長大さ
第45章 パク・ワンソとPX――1950年の明洞
第46章 詩人 パク・ノヘ――清渓川と労働者
第47章 とある町のブルース 梁貴子『ウォンミドンの人々』――どん底からの人間讃歌

Ⅶ 今日の韓国文学(民主化以降:1990年代~)

第48章 文貞姫は江南のからだを書く――フェミニズム詩人が表す光と影
第49章 申京淑の中のフェミニズム――九老工業団地から始まった韓国現代文学の源流
第50章 孔枝泳の描く「霧津」――霧に包まれた「韓国の縮図」
第51章 えぐられた民衆の哀しみ 金薫――儒教と天主教の聖地巡礼
第52章 チョン・イヒョンの出発点――「三豊百貨店」と江南
第53章 姜英淑の桂洞――『ライティングクラブ』の舞台になった街
第54章 キム・ヨンス、記憶を語る――「ニューヨーク製菓店」のあった町、金泉
第55章 ピョン・ヘヨンの場合――韓国文学から韓国を取ったらどうなる?
第56章 失郷民の息子パク・ミンギュと咸鏡南道利原鉄山――「北」へ向かう想像力
第57章 ハン・ガンと光州事件――また5月はめぐりきたりて
第58章 キム・エランの目に映る鷺梁津――通り過ぎる者と退く者
第59章 チョン・セランが描く不安な青春――『アンダー、サンダー、テンダー』に見る霧の坡州
第60章 パク・ソルメの「旅する想像力」――釜山と古里原発に「その後」の世界を見る
 コラム6 型破りな女性像を生み出すフェミニズム文学
 コラム7 坡州出版団地
 コラム8 「文旅」で出会う

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