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幸運を探すフィリピンの移民たち
本体5,000円+税
ISBN 9784750347950
判型・ページ数 A5・400ページ
出版年月日 2019/02/28

幸運を探すフィリピンの移民たち

冒険・犠牲・祝福の民族誌

フィリピン国民の1割が国外で働いていると言われるが、彼らの移動は経済的な理由だけで説明可能なのか。同国の歴史的・地域的背景を明らかにしながら、「幸運探し(サパララン)」のために移動する人々の姿を描き出し、労働移動を捉える新たな側面を提示する。
序章 冒険とつながりの民族誌に向けて
 一 サパラランとの出会い
 二 幸運探しとしての移動
 三 移民と故地とのつながり再考
 四 調査方法と用語について

第一部 サマール島における人の移動

第一章 サパラランの歴史・地理的背景
 一 「数多くの島からなる島」の人びと
 二 島の歴史と人の移動(1)――開拓移民の受け入れ
 三 島の歴史と人の移動(2)――都市での機会を求めて
 四 島の歴史と人の移動(3)――国際移民の増加

第二章 バト村の人びとの暮らしと移動
 一 バト村の概況
 二 村の形成とその後の変遷
 三 村人の移動の多様性
 四 生きかたの一部としての移動

第二部 運命とサパララン

第三章 移動・豊かさ・リスク
 一 サパラランとは
 二 空間と移動――富の偏在とリスク
 三 サパララン前線としてのマニラ(1)――「マニラ」の登場から分村成立まで
 四 サパララン前線としてのマニラ(2)――新たな場所への挑戦

第四章 サパラランの過程
 一 旅立ちとサクリピショ
 二 幸運探しの方法
 三 幸運の獲得
 四 サパラランに対する評価

第三部 幸運を通じたつながり

第五章 祈りの世界のサパララン
 一 村人の生活のなかの信仰
 二 人の運命を変える力
 三 幸運とモラリティ
 四 神とのつながり、人とのつながり

第六章 ブオタン精神がつなぐ移民と村の人びと
 一 村の社会関係――家族・親族・食の共有をめぐって
 二 生を支え合う者同士としてつながる移民と家族
 三 幸運者のフィエスタ帰省と幸運の分け与え
 四 幸運の分け与えのジレンマ

第四部 つながりの揺らぎと再編

第七章 都市で暮らす移民の間の「分け与え」と「自立」
 一 成功者の間にみられる理念
 二 相互扶助と自助努力の狭間で
 三 噂によるコントロール
 四 複数の理念の間を巧みに生き抜く

第八章 「村」を離れる人びと
 一 移民二世にとってのバト村とは
 二 中間層住宅地で暮らす家族に起きた変化
 三 国際移民の村との多様なつながりかた
 四 移民と村とのつながり再考

終章 グローバル化時代における幸運とつながり
 一 サパララン・モデルの汎用性
 二 グローバル化時代の「幸運」研究
 三 幸運を通じたつながりの関係性のなかで
 四 移動文化を支えるつながりのダイナミズム

 注
 あとがき
 参照文献
 事項索引
 人名索引

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