ホーム > 南インドの芸能的儀礼をめぐる民族誌
南インドの芸能的儀礼をめぐる民族誌
本体4,800円+税
ISBN 9784750346717
判型・ページ数 A5・344ページ
出版年月日 2018/05/10

南インドの芸能的儀礼をめぐる民族誌

生成する神話と儀礼

ケーララ州の不可触民による宗教儀礼「テイヤム」を事例に、儀礼とヒンドゥー神話が地域社会の人々にいかに解釈され、社会や時代の変化により変容していくのかを現地調査を基に分析。儀礼が地域を超えて生成されていくパフォーマンスであることを活写する。
序章
 第1節 目的
 第2節 先行研究
  1.儀礼とインド村落社会
  2.ヒンドゥー文化二元論とその限界
  3.儀礼・パフォーマンス研究
  4.認知人類学の可能性
  5.ケーララの文化人類学と民俗学
  6.テイヤムをめぐる文化人類学と民俗学
 第3節 調査地の概要
  1.ケーララと調査地の選定
  2.カリヴェルール村の概況
  3.カリヴェルール村の政治史
  4.カースト
  5.家族・婚姻関係、タラワードゥ
  6.年中行事
  7.テイヤム寺院

第1章 テイヤムの歴史と儀礼構成
 第1節 テイヤム伝承と歴史にみられる王権、ブラーマン、儀礼
  1.テイヤム儀礼の祖にまつわる伝承
  2.テイヤム儀礼における寺院の権利と従属関係
  3.ブラーマンと王と支配カーストの力関係
 第2節 儀礼の過程
  1.儀礼の手順
  2.化粧と衣装の象徴性
  3.「憑依」の仕方
  4.テイヤム儀礼とブラーマン儀礼の相違点
 第3節 神霊を扱う人々
  1.テイヤムになる人――テイヤッカーラン
  2.神の代理人――コーマランとヴェリッチャパードゥ
  3.炎を灯す人――アンディッティリヤン
  4.年長者――アッチャン
  5.剣を渡す人――ノーッティリックンナ
  6.供物を作る人――カラシャッカーラン
  7.王――コーイマ
  8.司祭――ブラーマン
  9.司祭と霊媒、王の力関係
 第4節 祀られる神霊
  1.女神
  2.戦死した英雄神
  3.祖先神・死霊
  4.動物神・蛇神
  5.妖術神
  6.神々のパンテオン

第2章 テイヤムの実践
 第1節 個人の祈願による奉納
 第2節 ブラーマンのテイヤム儀礼
  1.地域のブラーマン地主の事例
  2.テイヤム寺院を司るブラーマン
  3.ブラーマンとテイヤム
 第3節 ナーヤル・カーストとテイヤム儀礼
  1.カルワッチェーリ・タラワードゥの事例
  2.クルンディル・タラワードゥの事例
  3.地域の王とテイヤム祭祀
 第4節 カースト寺院
  1.神霊の複合的祭祀
  2.祭礼での役職と寺院委員会
  3.テイヤッカーランへの報酬
  4.パートゥ祭とプーラム祭
  5.カースト・コミュニティとテイヤム祭祀の組織化
 第5節 タラワードゥ寺院から村落寺院へ
  1.祭祀にみられる小王の権威
  2.地域を治めた5人の王の存在
  3.タラワードゥ寺院の公共化
 第6節 カースト大寺院
  1.寺院の組織、役職
  2.大祭での儀礼
  3.文化プログラム
  4.14年後のペルンカリヤーッタム
  5.多元的空間と解釈によって生成されるテイヤム
 第7節 私の神から公の神へ

第3章 生成される神話
 第1節 神話のテキスト化――口承から書承、そして画承へ
  1.伝承の形態と機能
  2.物語の生成
 第2節 錯綜する伝承
  1.ムッチローットゥ女神
  2.ヴィシュヌムールッティ神
 第3節 ムッタッパン信仰の発展
  1.ムッタッパン――トライブの神からナショナルな神へ
  2.トライブの神
  3.ムッタッパンのヒンドゥー化――ナーヤナールの支配
  4.巡礼地化とティーヤの台頭
  5.民衆の神から脱地域的な神へ
 第4節 社会批判の神――ポッタン・テイヤム
  1.殺された不可触民の話
  2.シャンカラーチャーリヤの話
 第5節 テイヤム神話におけるサンスクリット文化と民俗文化の接合

第4章 動態的テイヤム儀礼
 第1節 儀礼の再生
  1.相続問題
  2.土地所有問題
  3.地域文化の希求とつながり
  4.不幸の除去策としてのテイヤム儀礼
 第2節 不可触民の社会的地位の変化
  1.不可触民研究
  2.カンナン・ペルワンナーンの生い立ち
  3.晩年の生活
  4.社会的地位の変化
  5.個人と社会によるテイヤム認識
 第3節 儀礼の政治性
  1.儀礼からアートへ
  2.ケーララ州の文化活動
  3.テイヤムの舞台公演をめぐる論争
  4.儀礼と政治的イデオロギー
  5.商業主義と観光化
  6.イデオロギーとテイヤム認識
 第4節 テイヤム祭の拡大と観方の変化
  1.メディアとテイヤム
  2.タラワードゥに集う人々
  3.劇場化するテイヤム
  4.テイヤムに取り込まれる人々

終章
 第1節 「サンスクリット化」とヒンドゥー二元論再考
 第2節 儀礼から生成的パフォーマンスへ
  1.悪魔祓いとしてのテイヤム
  2.信仰の対象としてのテイヤム
  3.アートとしてのテイヤム
  4.イメージのフレーミング
  5.演出家‐パフォーマー‐観衆関係
  6.儀礼およびアートとしてのパフォーマンス
  7.象徴の解釈と環境
 第3節 結論

 資料
  1.ムッタッパンのトーッタム
  2.ポッタンのトーッタム

 あとがき
 参考文献
 索引

このページのトップへ