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下から構築される中国
本体3,300円+税
ISBN 9784750346366
判型・ページ数 4-6・332ページ
出版年月日 2018/03/26

下から構築される中国  新刊

「中国的市民社会」のリアリティ

改革開放後、中国社会では「管理と動員の対象」とされた人々が、「個人」として存在するようになった。本書では中国社会の内側から「ボトムアップ」の形で社会を構築する「市民」たちに注目し、市民たちが織りなす「中国的市民社会」について論じる。
 刊行のことば[首藤明和]
 はじめに――「中国的市民社会」に目を向ける理由

第1章 改革開放後の中国社会の変動をどう捉えるか
 第1節 中国社会の「転換」に関する諸議論
 第2節 「個人化社会」としての現代中国社会
 第3節 個人の生き方に表現される「転換」――市民リーダーの誕生
  1.若き市民リーダーへの調査
  2.若き市民リーダーが如何にして誕生したか
  (1)子ども時代の原風景――肌感覚の感性と規範の土台形成
  (2)学生時代の「環境社団活動」――「意志」の成果との出会い
  (3)「社群」のサポート――尊敬と承認の連鎖による自己肯定
  (4)支援の生態系(エコシステム)づくりへのデザイン
  3.中国的市民-「民間公益圏」に生きる人々

第2章 中国的市民社会としての「公益圏」の展開
 第1節 中国的「公共」概念
  1.「公共」概念の検討――歴史的アプローチ
  2.「公共」概念の検討――東西比較的アプローチ
  3.「公共」概念の検討――制度論的アプローチ
 第2節 中国における民間公益圏の展開
  1.中国の社会組織と草の根NGOの概要
  (1)「草の根」の組織の規模と特徴
  (2)「組織」という枠組みを超えた活動形態
  2.民間公益圏の展開過程
  (1)知識人がリードする草の根NGOの台頭
  (2)ネット新世代による公益行為への追求
 第3節 「民の公共」を切り拓く公益圏――環境分野を事例に
  1.啓蒙・教育(1990年代~)
  2.啓蒙・教育+実践+監視・評価(2000年~)
  3.啓蒙・教育+実践+監視・評価+アドボカシー(2010年~)
  4.オルタナティブな価値を求める人々を支持層に
  5.環境分野の公益組織と公益人が切り拓く「民の公共」
  6.「公益人」が熱く論じる身近な論点への注目

第3章 中国の市民社会に関する先行研究の検討
 第1節 中国国内における先行研究の概観
  1.先行研究の論文サーベイ
  2.先行研究のタイトルから読み取れること
  3.2006年から2010年までの中国の市民社会に関する研究の傾向
  4.市民社会論は消えていく?
 第2節 中国の市民社会に関する中国国内の諸研究の解析
  1.西洋型市民社会への批判的まなざしと「本土化」の主張
  2.市民社会の方向性と独自の価値を肯定する研究
  3.中国的官民関係における市民社会の位置に関する模索
  4.中国的市民社会の「育成」を主張する研究
  5.個人の価値表出と自己実現の場としての市民社会
 第3節 日本と海外における中国の市民社会研究
  1.欧米圏における中国市民社会論
  2.日本における中国市民社会論
  (1)「自由意志と自発的実践」に着目し中国の社会変動を捉えようとする筆者の研究
  (2)「公共性」「国家(政府)との関係」に着目し中国の社会変動を捉えようとする研究
  (3)市民社会論の再考及び近代思想の再考を試みる研究

第4章 公益圏の制度づくり
 第1節 二重管理の時代における実質的合法性への追求
  1.「個人の権利」を出発点としない中国的公共領域
  2.実質的合法性を如何に獲得するか
  (1)「実質的合法性」とは
  (2)二重管理時代の制度的課題
  (3)実質的合法性を獲得するための戦略
 第2節 党による対応の変容
 第3節 念願の成就?――慈善法の成立
  1.専門法への模索
  2.慈善法の成立と特徴
  3.公益人から見る「慈善法」
  4.公益組織の制度化に関する問題提起

第5章 公益圏の活動資源の獲得
 第1節 大型ネット募金キャンペーンの旋風
 第2節 ネット寄付の日常化とその功罪
 第3節 巨額の政府購買と基金会の急成長
  1.政府がなぜ公益組織のサービスを購買するのか
  (1)政府購買が展開された経緯
  (2)公益人から見る政府購買
  2.基金会の勢力拡大
  (1)基金会の急増と現状の概要
  (2)公益圏のデザイナーと育成者としての民間基金会の役割
 第4節 公益人の懐事情
  1.公益人の収入の現状
  2.収入に関する公益人の葛藤
  3.それでもやめられない

第6章 公益人の生き方と公益圏の社会的性質に関する自省
 第1節 公益に人生をかける公益人の物語
  1.巴雅尓図:故郷の放牧民と現代社会を結びつけるもの
  2.曹凱:90年代生まれの達成感/220
  3.石嫣:留学ではなく,新しい有機農業モデルを学ぶために渡米
  4.鄧飛:憤慨するより行動を
 第2節 自己実現か社会的役割か――公益人の思索と自問
  1.公益人が語る「公益人とは」
  2.自己実現と社会的役割の狭間で
 第3節 行政化,道徳化,市場化,そして人間性への問い
  1.「公益」と「慈善」との違い
  2.行政化,道徳化と市場化を巡る議論
  3.「二光之争」が示すもの

第7章 公益人によるソーシャル・イノベーションの求め方
 第1節 ソーシャル・イノベーションの文脈――3つの公益思想
  1.中国におけるソーシャル・イノベーションの定義
  2.3つの公益思想
  3.それぞれのソーシャル・イノベーション
  4.「参加」から「市場化」へ――公益パラダイムの転換
 第2節 ソーシャル・イノベーションを可能にするもの
  1.ソーシャル・イノベーションの成功要因――日本における先行研究から
  2.ヒーローとなりうる起業家を生み出すソーシャル・エコシステムへの注目
 第3節 社会起業を後押しする中国のソーシャル・エコシステムの特徴
  1.「資源」を供給するソーシャル・エコシステム
  2.「思い」を育むソーシャル・エコシステム
  3.「思い」と「資源」をつなぐソーシャル・エコシステム
  4.中国におけるソーシャル・エコシステムの構成要素
 第4節 ソーシャル・イノベーション実践の傾向と公益人の思い
  1.中国のソーシャル・イノベーション事例に関する調査報告
  2.環境分野の若き市民リーダーたちのソーシャル・イノベーション目標
  3.公益の原理と問題解決の効率化の両立を模索する公益人リーダー
  (1)梁暁燕――理想主義を追い求める過程,声を上げ続ける場
  (2)沈東曙――価値を評価可能なスタンダードに,実践を普及可能なモデルに

 終わりに――中国的市民社会と中国の社会変動
  1.公益人の目線から中国の市民社会を捉える
  2.「中国的市民社会」が示唆するもの
  (1)「自明の権利」より「権威の獲得」
  (2)能力主義と結果重視
  (3)結合し,打ち勝つ
  (4)不確かさと流動を厭わない
  3.生き方としての市民社会

 参考文献
 付録
 索引
 謝辞

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