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新貧乏物語
本体1,600円+税
ISBN 9784750345277
判型・ページ数 4-6・324ページ
出版年月日 2017/06/30

新貧乏物語

しのび寄る貧困の現場から

私たちの社会を確実に蝕み続けている貧困問題。最近大きく取り上げられるようになった子どもの貧困のみならず、あらゆる世代にわたって、貧困に苦しむ人たちが増えている。だが、意外にもその姿はなかなか見えてこない。貧困問題の解決策をはかるためには、貧困を可視化し、この社会に生きる人々が問題をまず共有し、政治に働きかけていく必要がある。その貧困の可視化の1つとして位置づけられるのが、中日新聞で2016年度に連載し好評を得た「新貧乏物語」。当事者への取材記事のほか、客観的なデータも加え、いまここにある貧困を多面的に描き出す。
 はじめに

第1章 悲しき奨学金
 1 借金1044万円――社会へ出る日の重荷
 2 落とし穴――延滞金「まるで地獄」
 3 親にまで――破産しても消えない
 4 甘いワナ――風俗で働く自分に涙
 5 学費未納――親に管理任せ、消えた
 6 ジレンマ――取り立てねばクビに
 7 救済策――働く意欲を守るため
 background 教育後進国・日本
 interview 橘木俊詔「柔軟な返還制度が必要」
       遠藤勝裕「新たな学生のため回収」
 clip 奨学金の返還訴訟激増。年5000件超
   ○日本学生支援機構の奨学金事業とは?
   ○「困窮学生に役立てて」匿名寄付1000万円

第2章 老いて追われる
 1 強制退去――もう行くところない
 2 措置控え――帰る家には布団すらない
 3 給付切り――負担倍増し、きしむ生活
 4 無届け――「違法だが」低額求め
 5 葛藤――防げなかった死、自問
 background 終のすみか求め
   ○流転の末、たどり着いた3畳間
   ○高齢だけを理由に貸し渋り
   ○受け皿の養護老人ホーム、じつは定員割れ
 interview 稲葉剛「年金や格差、根の深い問題」

第3章 非正規スパイラル
 1 漂流――37歳、溶けない氷河期
 2 派遣女子――会社の都合で変わる身分
 3 婚活の壁――正社員が最低条件
 4 高学歴プア――東大修士も門前払い
 5 ハラスメント――物言えば経済制裁
 6 ブラック企業――「正社員はまし」洗脳
 7 親の不安――年金使い、孫まで援助
 background ゆがんだ新・日本的経営
   ○多様な雇用形態を提言。負の側面、労使とも想定外
   ○「自由な働き方」に潜むリスク。意見言った途端切り捨て
 interview 阿部真大「幻想打ち砕かれた世代」
 clip 五人に一人が「やむを得ず非正規」で働く

第4章 子どもたちのSOS
 1 ネグレクト――愛も歯も溶けていく
 2 孤立――私も青春味わいたい
 3 無料塾――夢へ「俺やってやる」
 4 普通の幸せ――「早く二人と暮らしたい」
 5 受診控え――窓口での負担、重く
 background 学びを守るために
   ○就学援助基準、地域で格差
   ○国の補助廃止影響。認定を自治体が絞る
   ○どんな保護や支援があるか
   ○将来負担は1・1兆円増。「かわいそう」では済まない
 clip 子どもの貧困率、九割未調査

第5章 18歳の肖像
 1 退所――たった一人で見る夢
 2 打ち切り――自立へ一歩。母は苦悩
 3 ホームレス――大人は信じてくれず
 4 就職――家族のため家を出る
 5 未来――まず「高卒」。娘を守るために
 background 壁を越えるために
   ○支援打ち切りで細る18歳。自立への援助は手薄
   ○学費高騰でも仕送り増やせず。進学阻む家庭の困窮
 interview 宮本みち子「18歳の公的支援、なぜ手薄に」

第6章 年金プア
 1 老老介護――妻と生きるため離婚
 2 弱者いじめ――負担増、98歳の母にも
 3 切迫――1年後の自分見えず
 4 短期保険証――老後のため、逆に重荷に
 5 余命の対価――わが家に住むための選択
 background 日本の制度、現状は?
   ○収入は現役時の35%に。高齢化で見直し進む支給額
   ○納付期間が最低25年から10年へ。無年金者対策で短縮
   ○増える免除制度の利用者
 clip 貧困高齢者160万人増

第7章 内なる国境
 1 亡命労働者――借金抱え出国の果て
 2 実習のワナ――薄給、暴力、もう限界
 3 留学苦――労働制限、高時給頼み
 4 派遣会社――日系人、雇用の調整弁
 5 シングルマザー――生活保護にビザの壁
 6 出稼ぎ孤児――ガイジン帰るところない
 background 外国人労働者との共生
   ○低賃金や過酷残業頻発
   ○東京五輪で特需の建設。「即戦力」再来日で穴埋め
   ○代行事業で「家事」特区。「女性活躍」を名目に解禁
 clip 就労目的の難民申請急増。その背景は?

第8章 がんサバイバー
 1 生きたい――命より娘の未来を
 2 家族のため――一生治療必要といわれ、延命に迷い
 3 中小企業の苦悩――社員守る保険、程遠く
 4 再就職――病気告白に態度急変
 5 願い――逆境でも前を向いて
 background 治療と就労、厳しい両立
   ○医師、看護師、患者の苦悩と向き合う
   ○患者3割が離職、収入減。国も「社会的問題」と明記
   ○就活240社空振り
 interview 桜井なおみ「企業にも優遇策を」
 clip がん治療中の雇用、中小企業では6割が困難

終章 「新貧乏物語」に込めた思い
 教育は貧富の差によらない平等なチャンスであるべき
 一つひとつの光
 無届け高齢者施設に宿泊して考えたこと
 いまも確かな答えを出せずにいる
 支えてくれる人や制度があれば、道は開ける
 大人でない18歳だからこそ抱える、逃れようのない貧困
 決して他人ごとではない、誰もが隣り合わせの危機
 事実を打ち明けてくれた勇気にこたえたい
 私たちは現実を直視する必要がある
 なぜ制度をもっと柔軟に活用できないのか

 貧困問題をさらに深く理解するためのブックガイド

 あとがき

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