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崩れた原発「経済神話」
本体2,000円+税
ISBN 9784750345253
判型・ページ数 A5・340ページ
出版年月日 2017/05/30

崩れた原発「経済神話」

柏崎刈羽原発から再稼働を問う

「安全神話」崩壊後、いまだ生き残る「経済神話」。原発が稼働すれば地元経済が潤う、と感じている人は少なくない。それが再稼働を容認する理由のひとつになっている。だが、原発は地域振興にほんとうに役に立つのか――。再稼働問題に揺れる柏崎刈羽原発。地元紙・新潟日報が原発と地域経済の問題を多面的に検証・追及した労作。

  

お詫びと訂正

『崩れた原発「経済神話」』初版第一刷の本文中の記述に誤りがありました。前・福島県双葉町長の井戸川克隆さんおよび読者の方々にお詫び申し上げるとともに、以下のように訂正をいたします。

○81頁 5行目

[誤]井戸川さんは「町長になってから、本当に借金をしまくって自主財源をつくった。しかし、今度はその借金を返済するための財源がまた必要になった」とため息交じりに語った


[正]町長就任前の町について、井戸川さんは「本当に借金をしまくって自主財源をつくった」とし、その返済のための財源確保に苦労したとする

 プロローグ


第Ⅰ部 原発と地域経済

第1章 かすんだ恩恵
 1 地元100社調査
  Q1 柏崎刈羽原発が全基停止していることによる売り上げの減少はあるか?
  Q2 1号機が稼働した30年前に比べ、会社の規模や業績はどう変化したか?
  Q3 原発建設、運営、定期検査に直接関わる仕事を受注したことはあるか?
  Q4 原発交付金が投入された事業を受注したことはあるか?
  Q5 地元に原発ができたことによって、間接的な売り上げ増はあったか?
  Q6 柏崎刈羽原発が再稼働すれば、自社の売り上げは増えるか?
  Q7 柏崎刈羽原発の安全性が確認されたら、再稼働してほしいか?
 2 地域経済の実情
  建設期が景気ピーク
  地元製造業、受注に壁
  波及効果に期待高く
  宿泊業に打撃大きい社も
  再稼働に懸念根強く
 [interview]藤堂史明(新潟大学経済学部准教授)


第2章 検証 経済神話
 1 主要4産業の40年
  製造業は三条市と似通う
  同規模3市のサービス業は同じ動き
  卸売・小売業には波及効果見えず
  建設業では原発建設と密接な関係
 2「神話」を問う
  人口は増えたのか
  雇用は生まれたか
  産業に貢献したか
  波及効果はあったか
  再稼働効果はあるか
  巨額財源は役立ったか
  財政は潤ったのか
  事故が起きたらどうなるか
 [column 01]原発停止の影響試算
 [column 02]柏崎刈羽地域住民への意識調査
 [interview]西川正純(元・柏崎市長)
 [interview]藻谷浩介(エコノミスト)


第Ⅱ部 事故の代償

第3章 賠償の断面
  手探りで制度を設計
  4万人超、自主避難化も
  エネ庁主導の基準
  東電が和解案を拒否
  消極的な被害者対応
  電力業界は「有限」主張
 [column 03]自主避難の賠償基準づくり
 [column 04]所管分かれ、被害者困惑
 [interview]能見善久(原賠審会長)
 [interview]淡路剛久(立教大学名誉教授)

第4章 そのとき、農は
  「コメ王国」への打撃
  風評超えた「流通実害」
  細りゆく産地基盤
  「自助努力」の汚染調査
  被ばく管理「自己責任」
  「元に戻せ」怒りの提訴
  広がらぬ反対決議
 [column 05]60キロ圏で基準値超検出
 [interview]井上淳一(映画監督)
 [interview]小松知未(福島大学特任准教授)


第Ⅲ部 電力、首都へ

第5章 源流
  県境越え
  信越電力
  「東電」創業
  長距離送電
  国の後押し
  中津川開発
  首都送電浮上
  鈴木商店
  「東電」登場
  地方外し
  地元供給わずか
  長岡の挑戦
  水力開発
  国策合併
  電力余り

第6章 電力再編
  「信越」独立に沸く
  電力の鬼
  松永私案に反発
  日本発送電の政治工作
  配電9社にも疑惑
  揺れるGHQ
  「一番いい分け方」
  新潟でも10分割案アピール
  白い石炭
  奥只見にも“東電”
  新潟県議会も動く
  松永の巻き返し
  GHQの変心
  なぜ新潟県が「東北」に
  大規模水力、首都の電源に
  新潟県と東電の共闘

第7章 巨大電源基地
  東電の柏崎進出
  西側の電源不足
  東北電力エリアへ
  人口要件は骨抜き
  大都市設置を求める声も
  「陸の孤島」に危機感
  原発誘致の提案
  未開の砂丘地が浮上
  ちらつく角栄の影
  「山を売ってくれんか」
  原発か、自衛隊か
  水力発電人脈
  地元が原発誘致を表明
  民意の「反対」に衝撃
  首都の巨大電源基地が誕生


第Ⅳ部 再稼働を問う

第8章 敷かれたレール
  首都から電力「逆流」
  思惑にじむ財界視察
  「合格」にらみ請願提出
  アメとムチで国が圧力
  政府内に「交付金」批判
  エネ庁、前面に出ず広報
  東電の地ならし戦略
  再稼働の利、どこに
  新潟県経済界にも温度差
  実利超えた地元の意地
 [column 06]原発立地地域、消費地での世論調査
 [column 07]原発交付金の見直し
 [column 08]国の東電支援

第9章 再稼働、なんのために
  首都圏、供給過剰に
  電力供給の“実力”
  東電の原発コスト
  発電ゼロに1・4兆円
  動かねば「負債」消えず
  自由化に値下げ効果
  全基廃炉でも影響小さく
  事故の保険、不十分
  コスト削減、もろ刃の剣
 [column 09]首都圏で供給力増強計画
 [column 10]他地域からの電力融通
 [column 11]東電の発電コスト試算
 [column 12]新電力が「家庭向け」争奪戦に参入

第10章 依存せぬ道は
  再エネ、世界で急成長
  再エネ先進地・ドイツ
  再エネの障壁
  「電力鎖国」
  中東危機説
  夏の節電実績
  温暖化対策の切り札
  世界に逆行
 [column 13]欧州各国で柔軟に融通
 [column 14]CO2の地下貯留
 [interview]石井彰(エネルギー・アナリスト)
 [interview]クリストフ・ピストナー(ドイツ原子炉安全委員会委員)


特別収録 倉本聰インタビュー


 あとがき
生きづらさの民俗学

生きづらさの民俗学(電子書籍)

抑圧のアルゴリズム
抑圧のアルゴリズム

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性的人身取引

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被災地のジャーナリズム
 

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