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居住の貧困と「賃貸世代」
本体3,000円+税
ISBN 9784750345048
判型・ページ数 A5・296ページ
出版年月日 2017/04/25

居住の貧困と「賃貸世代」  新刊

国際比較でみる住宅政策

日本では格差・貧困の深刻化により低所得層の住居確保が課題となっている。本書は、国際比較により、欧米における持家重視政策の見直し、賃貸住宅の供給など住宅政策の再構築を考察し、世界的に進む「賃貸世代」に向けた住宅セーフティネットのあり方を探る。

 はじめに

序章 いまなぜ住宅手当か――新しい社会リスクと日本
 第1節 住宅手当はなぜ必要か――新しい社会リスクへの対応
  1 エンタイトルメントとしての住宅手当
  2 苦しむ若者、母子家庭、高齢者
 第2節 閉塞社会の構造的な理解――古い社会リスクへの対応
  1 「物への助成」から「人への助成」への転換
  2 パラサイト・シングル――親元へと戻る逆行現象
  3 強まる専業主婦願望――背後に母子世帯の貧困
  4 貧困ビジネスとしての「終の住み処」
  5 結びにかえて

第1章 閉塞化する若者のライフ・トランジション
 第1節 欧州における若者の生活移行と住宅手当
  1 教育から初職への移行
  2 親の世帯からの独立と住宅手当
 第2節 日本における若者の生活移行と住宅手当
  1 若者の教育から初職への移行
  2 若者のライフ・トランジションと住宅手当
  3 生活困窮者支援、求職者支援制度の評価
 第3節 パラサイト・シングル問題の日英比較
  1 イギリスにおけるパラサイトの増大――ONS調査から
  2 親との同居から離家への経路
  3 離家できない日本の若者――住宅手当の不在
 第4節 共稼ぎ世帯の構築にむけて
  1 カップル形成を阻むもの(その1)――所得、住居費のギャップ
  2 カップル形成を阻むもの(その2)――労働時間、住宅のギャップ

第2章 無視されている子どものアフォーダビリティ
 第1節 母子家庭の就労、貧困の再生産、住宅費
  1 母子家庭の収入、最終学歴、子どもの進学
  2 母子家庭の家賃問題、居住水準
 第2節 子どもの貧困は、どのように論じられているか
  1 「逆機能」による子どもの貧困と住宅手当
  2 子どもの貧困への対策――給付つき税額控除か住宅手当か
 第3節 子どもの居住水準向上と住宅手当(その1)――スウェーデン
  1 ミュルダールによる住宅手当の実験
  2 家族向け共同住宅によるソーシャル・マーケット
  3 ひとり親世帯の居住状況と住宅手当
 第4節 子どもの居住水準向上と住宅手当(その2)――フランス
  1 家族住宅手当の導入から社会住宅の大量建設へ
  2 「人への援助」への転換とソーシャル・ミックス
  3 ひとり親世帯、単身世帯の居住状況と住宅手当

第3章 「終の住み処」をどう再構築するのか
 第1節 「住まい」と「ケア」の分離と日本の課題
  1 エイジング・イン・プレイス(その1)――サ高住の背景と事業状況
  2 エイジング・イン・プレイス(その2)――オランダ、デンマーク、スウェーデン
  3 サ高住の狭小性を規定する住宅政策をめぐる論点
 第2節 最低居住面積水準を充足できない住宅扶助
  1 住宅扶助の拡大とその特性
  2 基準部会のねらい――生活保護の「適正化」
  3 住宅扶助にかかわる基準引き下げの意図
  4 居住実態調査が反映されない住宅扶助基準の見直し
 第3節 住宅手当と最低保障年金の連携にむけて
  1 高齢単独世帯の年金問題
  2 年金改革と住宅手当の導入

第4章 住宅政策としての住宅手当の不在――日本型デュアリスト・モデル
 第1節 住宅政策としての住宅手当――その歴史的な経路
  1 混成的(hybrid)な性格をもつ住宅手当
  2 欧州における家賃統制、建設補助から住宅手当までの経路
 第2節  福祉国家的な住宅政策の欠如と企業主義社会――イギリスとの比較で
  1 家賃統制の緩和と過少な公的住宅政策
  2 借家人運動の停滞と企業主義社会
 第3節 デュアリスト・モデルにおける日本の位置
  1 ケメニーの住宅モデルと社会住宅の特性
  2 社会住宅の様態と住宅手当との相関
  3 日本型デュアリスト・モデルと「閉塞社会」

第5章 ゆきづまる持家の「大衆化」とその再編――イギリスの動向
 第1節 イギリスにおける住宅手当をめぐる問題状況
  1 拡大する住宅手当と賃貸・労働市場の変容
  2 LHAの変更による居住空間の分極化
 第2節 「住宅への新たな戦略」による分析と提言
  1 急増する住宅手当と賃貸ストックとの相関
  2 テニュア変容による住宅手当の拡大
  3  民間賃貸、社会住宅のどこが問題か――国際比較の観点から
  4 「物への助成」と「人への助成」とのバランス
  5 ユニタリー・モデルとしてのドイツと住宅手当
 第3節 再構築にむかうイギリス住宅政策――スタージョン、コービンの出現
  1 賃貸世代の台頭とその苦悩
  2 持家民主主義の行方と分裂するイギリス

終章 閉塞社会からの脱却――「重層的な住宅セーフティネット」を超えて
 第1節 ゆきづまる日本型デュアリスト・モデル
  1 若年単独世帯の民間借家への滞留
  2 若者の世帯形成と公的住宅、民間賃貸
  3 ムリな持家取得と過重なローン負担
 第2節 「重層的な住宅セーフティネット」の概要と評価
  1 住宅セーフティネットの概要
  2 住宅セーフティネットの評価
 第3節 国土交通省の空き家対策とその批判――イギリスに何を学ぶのか
  1 国交省による「準公営住宅」の提唱
  2 「準公営住宅」における家賃補助の狭隘性
  3 転換するイギリス、滞留する日本

補章 ジェントリフィケーションと住宅手当――ニューヨークの動向
 第1節 ブルームバーグ前市長のもとでのアフォーダビリティ危機
  1 就業構造の変化による低賃金セクターの拡大
  2 低所得世帯の増加と過重な家賃負担
  3 家賃安定化住宅の減少
  4 シェルターを利用するホームレスの増大
 第2節 デ・ブラシオ市長の挑戦――最低賃金の上昇、家賃規制、ホームレス対策
  1 最低賃金の引き上げ
  2 家賃の規制(既存の借家、空き家)
  3 ホームレスへの支援
 第3節 ソーシャル・ミックスは可能か――セクション8、強制的・包摂的ゾーニング
  1 セクション8利用者の偏在化
  2 動きだした強制的・包摂的ゾーニング
 補節 アメリカ住宅政策のゆくえ――サンダースの登場
  1 離家できない若者――アメリカン・ドリームの崩壊
  2 困難となる持家取得への学生ローン負債の影響
  3 拡大する民間賃貸における過重な家賃負担
  4 住宅政策の動向と問題点
  5 閉塞化する政治――出口のない若者のサンダース支持票

 参考文献
 おわりに
 索引

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