本体2,800円+税
ISBN | 9784750343297 |
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判型・ページ数 | 4-6・416ページ |
出版年月日 | 2016/03/31 |
変革期イスラーム社会の宗教と紛争
塩尻 和子 編著
現代の宗教と社会の関係は、社会変動や近代化、復古運動、グローバリズムに対応して多様化している。特に精神性と社会性が不可分なイスラームにおいては、信仰生活と社会生活を切り離すことはできず、国家や民族にアイデンティティや存在の意味を与える宗教体系である「市民宗教」としての側面が現れている。本書では、これまで十分に研究されてこなかったイスラーム社会の「市民宗教」としての役割について中東・アジア・欧米各国で現地調査をおこない、民主化と同時に過激なイスラーム運動を引き起こしたイスラーム社会の変革の現状と背景を宗教学的に考察する。
はじめに
凡例
Ⅰ 宗教と紛争
第1章 崩れゆく世界――イスラームの将来[板垣雄三]
一 テロ事件の論じ方
二 パリの事件への基本視角
三 「文明の衝突」観の誤り
四 同時テロ事件対応の基底問題(1)
五 同時テロ事件対応の基底問題(2)
六 同時テロ事件対応の基底問題(3)
第2章 ジハードとは何か――クルアーンの教義と過激派組織の論理[塩尻和子]
一 「イスラーム国」の衝撃
二 聖戦と正戦
三 ジハードとは何か
四 クルアーンにみる「ジハード」
五 「政教一致」と「政教分離」を分けるもの
六 過激派問題の解決法はあるか
七 変わるイスラーム社会
第3章 宣教の書としての『クルアーン』とイスラーム法解釈法の構造[四戸潤弥]
一 「イスラーム」の意味
二 『クルアーン』の啓示が先行する一神教と同じ啓示であること
三 ムハンマドへの啓示に見る一神教の構造
四 第一章の慈愛と慈悲の意味
五 イスラームへの招待の在り様を示す「慈愛と慈悲」のことば
六 『クルアーン』とイスラーム法学の構造的関係
七 終わりに――慈愛と慈悲の『クルアーン』とイスラーム法解釈法の構造的関係
Ⅱ 混迷のイスラーム社会
第4章 パレスチナ/イスラエルにおける政治と宗教――二〇一五年アル・アクサー・モスク事件をめぐって[臼杵陽]
一 はじめに
二 アル・ジャズィーラによるアル・アクサー・モスク事件報道
三 オスマン朝以来の聖地における現状維持
四 聖地での礼拝の権利に関する報道の問題点と新たなユダヤ教的政治運動の変容
五 二つのユダヤ教ファンダメンタリズム――メシアニズムと戦闘性の結合
六 むすびに代えて
第5章 テロリズムとジェンダー――「イスラーム国」の出現と女性の役割[辻上奈美江]
一 はじめに
二 「イスラーム国」の出現とテロリズムにおける女性の役割
三 アル=ハンサー旅団による勧誘パンフレット
四 理想の女性像
五 サウジアラビア敵視
六 結論
Ⅲ 現代シーア派の特徴
第6章 現代ドゥルーズ派の自己表象[菊地達也]
一 はじめに
二 外部からの攻撃
三 教義の公開
四 ドゥルーズ派信徒による自派表象
五 一九九〇年代の新傾向
六 おわりに
第7章 十二イマーム・シーア派は何を祈るのか[吉田京子]
一 はじめに
二 ドゥアーの定義
三 ドゥアーの手順
四 結
第8章 イスラームにおける生殖補助医療――シーア派を中心に[青柳かおる]
一 はじめに
二 スンナ派における生殖補助医療――ガード・アルハックの見解
三 シーア派における生殖補助医療(一)――ハーメネイーの見解
四 シーア派における生殖補助医療(二)――スィースターニーの見解
五 イランにおける合計特殊出生率の推移
六 結論
Ⅳ 故郷を離れて
第9章 米国におけるイスラーム――「イスラーム嫌悪症」と反シャリーア運動[泉淳]
一 はじめに
二 米国における「イスラーム嫌悪症」
三 反シャリーア法案の展開と問題点
四 政治的意図と党派政治
五 おわりに
第10章 フランス・ムスリム移民たちの活動――パリ郊外でのモスク建設計画からみる地域と人びと[植村清加]
一 はじめに
二 フランスでムスリムであるということ――パリ地域のマグレブ系移民の調査から
三 地域とモスク
四 おわりに
第11章 イスラーム世界のマイノリティ――コプト・キリスト教徒のディアスポラ[岩崎真紀]
一 はじめに――ディアスポラ/移民研究からみたコプト・ディアスポラ
二 カナダにおけるコプト・ディアスポラの状況
三 モントリオールのコプト・ディアスポラと調査概要
四 ケベックにおける宗教・言語・民族の多様性との調和
五 GJ教会におけるユースグループの概略と活動内容
六 結びにかえて――架橋者としての若者/ユースグループ
Ⅴ イスラーム社会の将来を信じて
第12章 イスラーム社会とジェンダー――マグリブ女性の事例を中心に[宮治美江子]
一 はじめに
二 マグリブ地域の歴史と民族
三 独立以前のマグリブ社会と女性の地位
四 独立以降のマグリブの女性たちの地位と社会参加
五 おわりに
第13章 エジプト公教育の苦悩――「植民地」支配から教育格差まで[池田美佐子]
一 はじめに
二 近現代エジプトの重層的支配構造
三 イギリスの「植民地」支配と公教育
四 立憲王制期とナセル期の公教育――公教育の発展と新たな問題への布石
五 サダト期以降の教育格差の顕在化
六 まとめ
第14章 神の教えとムスリムたちの社会――エジプト・ミニア市とインドネシア・ガルット市における教育現場から[阿久津正幸]
一 はじめに
二 エジプト・ミニア市――クルアーン暗唱塾の戦略と学校教育
三 インドネシア・ガルット市――アルカム学園の挑戦と多言語社会
四 多言語状況における教育環境の比較
五 おわりに
第15章 パレスチナ文化復興運動――タウフィーク・カナアーンの民衆信仰研究[田浪亜央江]
一 はじめに――現代パレスチナから見るタウフィーク・カナアーン
二 タウフィーク・カナアーンの生涯と仕事
三 カナアーンの研究方法と記録のスタイル
四 七〇年代以降のパレスチナ文化復興運動と「カナアーン・イデオロギー」
五 『モハンメダンの聖者と聖所』
六 おわりに
第16章 利子なし銀行の発展と実態――ヨルダンにおけるイスラーム金融の行方[上山一]
一 はじめに
二 イスラーム銀行利用者への聞き取り調査結果の概要
三 イスラーム銀行利用者による金融商品の認知度と利用度の考察
四 イスラーム銀行利用者の資金調達行動と損益分配型の金融契約
五 おわりに
あとがき
著者プロフィール
凡例
Ⅰ 宗教と紛争
第1章 崩れゆく世界――イスラームの将来[板垣雄三]
一 テロ事件の論じ方
二 パリの事件への基本視角
三 「文明の衝突」観の誤り
四 同時テロ事件対応の基底問題(1)
五 同時テロ事件対応の基底問題(2)
六 同時テロ事件対応の基底問題(3)
第2章 ジハードとは何か――クルアーンの教義と過激派組織の論理[塩尻和子]
一 「イスラーム国」の衝撃
二 聖戦と正戦
三 ジハードとは何か
四 クルアーンにみる「ジハード」
五 「政教一致」と「政教分離」を分けるもの
六 過激派問題の解決法はあるか
七 変わるイスラーム社会
第3章 宣教の書としての『クルアーン』とイスラーム法解釈法の構造[四戸潤弥]
一 「イスラーム」の意味
二 『クルアーン』の啓示が先行する一神教と同じ啓示であること
三 ムハンマドへの啓示に見る一神教の構造
四 第一章の慈愛と慈悲の意味
五 イスラームへの招待の在り様を示す「慈愛と慈悲」のことば
六 『クルアーン』とイスラーム法学の構造的関係
七 終わりに――慈愛と慈悲の『クルアーン』とイスラーム法解釈法の構造的関係
Ⅱ 混迷のイスラーム社会
第4章 パレスチナ/イスラエルにおける政治と宗教――二〇一五年アル・アクサー・モスク事件をめぐって[臼杵陽]
一 はじめに
二 アル・ジャズィーラによるアル・アクサー・モスク事件報道
三 オスマン朝以来の聖地における現状維持
四 聖地での礼拝の権利に関する報道の問題点と新たなユダヤ教的政治運動の変容
五 二つのユダヤ教ファンダメンタリズム――メシアニズムと戦闘性の結合
六 むすびに代えて
第5章 テロリズムとジェンダー――「イスラーム国」の出現と女性の役割[辻上奈美江]
一 はじめに
二 「イスラーム国」の出現とテロリズムにおける女性の役割
三 アル=ハンサー旅団による勧誘パンフレット
四 理想の女性像
五 サウジアラビア敵視
六 結論
Ⅲ 現代シーア派の特徴
第6章 現代ドゥルーズ派の自己表象[菊地達也]
一 はじめに
二 外部からの攻撃
三 教義の公開
四 ドゥルーズ派信徒による自派表象
五 一九九〇年代の新傾向
六 おわりに
第7章 十二イマーム・シーア派は何を祈るのか[吉田京子]
一 はじめに
二 ドゥアーの定義
三 ドゥアーの手順
四 結
第8章 イスラームにおける生殖補助医療――シーア派を中心に[青柳かおる]
一 はじめに
二 スンナ派における生殖補助医療――ガード・アルハックの見解
三 シーア派における生殖補助医療(一)――ハーメネイーの見解
四 シーア派における生殖補助医療(二)――スィースターニーの見解
五 イランにおける合計特殊出生率の推移
六 結論
Ⅳ 故郷を離れて
第9章 米国におけるイスラーム――「イスラーム嫌悪症」と反シャリーア運動[泉淳]
一 はじめに
二 米国における「イスラーム嫌悪症」
三 反シャリーア法案の展開と問題点
四 政治的意図と党派政治
五 おわりに
第10章 フランス・ムスリム移民たちの活動――パリ郊外でのモスク建設計画からみる地域と人びと[植村清加]
一 はじめに
二 フランスでムスリムであるということ――パリ地域のマグレブ系移民の調査から
三 地域とモスク
四 おわりに
第11章 イスラーム世界のマイノリティ――コプト・キリスト教徒のディアスポラ[岩崎真紀]
一 はじめに――ディアスポラ/移民研究からみたコプト・ディアスポラ
二 カナダにおけるコプト・ディアスポラの状況
三 モントリオールのコプト・ディアスポラと調査概要
四 ケベックにおける宗教・言語・民族の多様性との調和
五 GJ教会におけるユースグループの概略と活動内容
六 結びにかえて――架橋者としての若者/ユースグループ
Ⅴ イスラーム社会の将来を信じて
第12章 イスラーム社会とジェンダー――マグリブ女性の事例を中心に[宮治美江子]
一 はじめに
二 マグリブ地域の歴史と民族
三 独立以前のマグリブ社会と女性の地位
四 独立以降のマグリブの女性たちの地位と社会参加
五 おわりに
第13章 エジプト公教育の苦悩――「植民地」支配から教育格差まで[池田美佐子]
一 はじめに
二 近現代エジプトの重層的支配構造
三 イギリスの「植民地」支配と公教育
四 立憲王制期とナセル期の公教育――公教育の発展と新たな問題への布石
五 サダト期以降の教育格差の顕在化
六 まとめ
第14章 神の教えとムスリムたちの社会――エジプト・ミニア市とインドネシア・ガルット市における教育現場から[阿久津正幸]
一 はじめに
二 エジプト・ミニア市――クルアーン暗唱塾の戦略と学校教育
三 インドネシア・ガルット市――アルカム学園の挑戦と多言語社会
四 多言語状況における教育環境の比較
五 おわりに
第15章 パレスチナ文化復興運動――タウフィーク・カナアーンの民衆信仰研究[田浪亜央江]
一 はじめに――現代パレスチナから見るタウフィーク・カナアーン
二 タウフィーク・カナアーンの生涯と仕事
三 カナアーンの研究方法と記録のスタイル
四 七〇年代以降のパレスチナ文化復興運動と「カナアーン・イデオロギー」
五 『モハンメダンの聖者と聖所』
六 おわりに
第16章 利子なし銀行の発展と実態――ヨルダンにおけるイスラーム金融の行方[上山一]
一 はじめに
二 イスラーム銀行利用者への聞き取り調査結果の概要
三 イスラーム銀行利用者による金融商品の認知度と利用度の考察
四 イスラーム銀行利用者の資金調達行動と損益分配型の金融契約
五 おわりに
あとがき
著者プロフィール