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福島第一原発 メルトダウンまでの50年
本体2,000円+税
ISBN 9784750343150
判型・ページ数 4-6・316ページ
出版年月日 2016/03/11

福島第一原発 メルトダウンまでの50年

事故調査委員会も報道も素通りした未解明問題

福島原発事故から5年。事故調査委員会、新聞記者、弁護士などによって、多方面から明らかにされてきた事故原因。だが、まだ解明されていない部分があった! 緊急時に原子炉を冷却する主戦力となる装置がまったく使われなかったことが1つ。また放射性物質の広がりを予測する解析システムの結果が死蔵されたこともこれまで問題とされてこなかった。原発事故以来、なぜ政府や電力会社はこんな失敗をしたのかという問題意識のもと、独自に取材を重ねてきた著者のよる渾身のレポート。被害の拡大を招いた痛恨の過失に迫る。

 まえがき

第1章 政府内部3・11のロスタイム
 「国は私たちを国民だと思っているんだろうか」
 テレビ用やらせ閣議で30分のロス
 保安院内で海江田氏に「15条通報」が伝わるまで50分
 いったん取り消された1号機の15条通報
 上申書の起草に手間取り、時間をロス
 菅総理、非常事態宣言を了承しないまま党首会談へ
 事故に生かされなかった訓練の教訓
 崩壊熱の危険を伝えなかった保安院次長
 ベント決定から実施まで5時間もかかった理由
 SPEEDI以外のシステムが事故の進展を予測していた
 保安院の平岡次長は重要な情報を伝えなかった

第2章 使われなかった緊急冷却装置
 主力の緊急炉心冷却装置ECCS
 福島事故の9カ月前に起きていた深刻な事故
 津波が来る前ならECCSを起動できたはず
 専門家も首をかしげる手順のおかしさ
 スクラムには「通常停止」と「緊急停止」の2種類ある
 かつては行われていたECCSの操作訓練
 吉田所長のことばに反応しなかった事故調
 虚構のシナリオで立てられた対策
 外部電源回復まで30分を超えていた前年事故
 電力会社がECCSを使いたくないわけ
 美浜で起こった日本初のECCS作動事故
 「前科」のある2号機の原子炉
 なぜ事故対応は変わったのか
 「自動起動だから使わなかった」という説明の不思議
 ECCSとRCICを両方起動するのが海外のスタンダード
 唯一の冷却装置を誰も使ったことがなかった
 報告されなかった1号機のシミュレーション
 〈付記〉ECCSについての東電への質問と回答

第3章 原発黎明期の秘密と無法
 事故の危険性を深刻に受け止めた損害保険会社
 実際の賠償金は保険金支払い上限の48倍に
 「事故が起これば国家財政が破綻」大蔵省の懸念
 あまりに巨大な原発事故の被害予測
 天文学的な被害額を民間保険ではカバーできない
 日本でも40年前に行われていた事故の被害試算
 チェルノブイリ原発事故後もシビア・アクシデントを想定せず
 立地基準を定める前に建設地を決めた福島原発
 「当時はそんなものだった」
 班目委員長も認めた仮想事故想定のでたらめ
 海抜35メートルの丘陵地をなぜわざわざ低くしたのか
 津波の予測はわずか3メートルだった

第4章 住民軽視はそのまま変わらない
 虚構に依拠した防災対策の最大の被害者は地元住民
 国を信じて遅れた富岡町民の避難
 今でも悪夢にしか思えない
 避難範囲が拡大されても、被曝は防げず
 非現実的すぎる放射能拡散予測
 新指針でも機能不全を起こしかねないオフサイトセンター
 「被害地元」嘉田前滋賀県知事の危機感
 避難そのものがあまりにも非現実的
 都道府県庁には放射性物質を扱う部署がない
 「汚染されないと避難させられない」住民見殺しの論理
 「リスクは知らせない」の根本にある父権主義
 琵琶湖が汚染されれば被害は近畿全体に拡がる
 原子力防災体制の欠陥
 事故後も変わらない円形の避難地域設定の問題点
 SPEEDIを避難に生かせなかったのは人為的ミス
 あくまで当事者は立地地元だけ
 中央官庁の縦割りの弊害が生む避難指示問題

第5章 原発事故の進展は予測できなかったのか
 「誰も経験したことがないから失敗した」は失当である
 事故と被曝の過程は正確に予測されていた
 15条通報=住民避難スタートのはずだった
 すべてが後手に回ったのは廃炉を避けたかったから
 格納容器の破損を考慮しなかった立地検査
 「格納容器が壊れない」説が跋扈した理由
 このままではまた同じことが起こる
 事故調査委員会の追及は真剣さが足りない
 バックアップシステム「PBS」が存在した
 日本のメーカーはPBSの開発を拒否していた
 福島原発事故に活用できなかったPBSの威力
 放射能の放出量は事前にわかっていた
 1時間に100トン注水できれば原子炉は冷やすことができる
 格納容器が破裂すると、避難範囲が100キロを超える
 東電の運転員は勉強不足
 週に2、3回はPBSのシミュレーションをやっていた
 シビア・アクシデントの訓練は歓迎されなかった
 「俺の顔をつぶす気か」と怒った元・原子力委員長
 情報を見極める力がなかった保安院
 汚染の問題は何十年も続く
 事故は起こらない、放射能は拡散しないという前提
 原子力防災専門官の役割とは
 消防の立場から考える原発事故と防災
 人間は驚天動地の事態に必ずパニックを起こす
 なぜチェルノブイリに学ばないのか
 誰も真剣に避難のことを考えていない

 あとがき

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