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現代ヨーロッパと移民問題の原点
本体3,200円+税
ISBN 9784750343044
判型・ページ数 4-6・360ページ
出版年月日 2016/02/27

現代ヨーロッパと移民問題の原点

1970、80年代、開かれたシティズンシップの生成と試練

1970年代欧州では戦後高度経済成長の終焉とオイルショックなどにより、経済成長を支えた外国人労働者、それに対応する欧州各国が新たな局面を迎えた。欧州を俯瞰的にとらえ、「移民」から「市民」へとシティズンシップが開かれていった過程、そこで生じた問題を丹念にたどり直した。欧州移民研究の先駆けである著者が、移民問題の論点が凝縮した激動の時代を改めて問い直す。


高度経済成長の終焉、外国人労働者の定住化・家族呼び寄せ、難民の流入、それに対応する各国の政策、権利の伸長・拡大と外国人・移民問題の政治争点化……。

1970、80年代のヨーロッパは、多文化化の社会変動、新たな共生システムの追及、その困難を他に例がないほど凝縮して経験した。欧州を俯瞰的にとらえ、移民問題の論点が凝縮したこの時代を改めて問い直す。

 

“おおよそ1973〜74年から約10年間のヨーロッパほど、多文化化(多民族化)の社会変動と新たな共生システムの追求、およびその困難を、凝縮して経験した例はない。”(序より)

“本書は(…)一社会学徒として、同時代的に西欧の複数の国々に生じた問題と政策についてその意味、意義を解釈し、関連を探り、提示する考察(リフレクション)の書である。”(まえがきより)

 まえがき

序 多文化シティズンシップの可能性――70、80年代ヨーロッパの検証
  “ヨーロッパの失敗”?――日本の現状からの問い
  移民と国民国家
  周辺からの変動の力
  多文化とシティズンシップ
  定住と統合のプロセス
  多文化の視点とシティズンシップの再定義
  行為者としての移民
  80年代の「反移民」の政治と試練
  同時代的な経験、問題として

第1章 「輝ける30年」と外国人労働者
 1.戦後の経済復興と成長の条件
 2.ヨーロッパ外からの労働移動と植民地独立
 3.マージナルな存在としての移民労働者
 4.変容する労働市場と移民の位置
 5.福祉国家における外国人・移民
 6.「住民」、「市民」からの距離

第2章 成長経済の終焉とイミグレーション政策の転換
 1.分水嶺としての「オイルショック」
 2.外国人労働者受け入れの「暫定的」停止
 3.移民のコントロールへの懸念と政策の模索
 4.「自由移動」とEC
 5.イミグレーション政策の近代化? コモンウェルス移民の規制、選別
 6.提起された社会的統合の課題

第3章 定住・社会的文化的受け入れのレジームへ
 1.ゲストワーカーから定住受け入れへ
 2.帰国ではなく、残留へ
 3.定住、家族、母国との関係性
 4.市民社会の対応
 5.統合・包摂と移民規制の同時進行
 6.国際関係からのインパクト

第4章 移民たちの戦略と定住と
 1.行為者としての外国人・移民
 2.脱伝統の移民たち
 3.自由、自己実現をめざして
 4.家族生活の実現
 5.コミュニティの維持の戦略
 6.イスラームという絆
 7.難民とマイノリティ
 8.南欧系移民たちの定住の意味

第5章 多文化シティズンシップへ
 1.国家をどうとらえるか
 2.定住外国人の時代へ
 3.滞在、存在のノーマリゼーション
 4.始動する移民の運動
 5.多文化主義の展開と移民たち
 6.リベラルによる多文化の容認

第6章 政治参加をもとめて
 1.北欧型デモクラシーと移民
 2.外国人参政権へ――政治的合意へのリーダーシップ
 3.共生への課題
 4.「マイノリティ」政策と多文化アプローチ――オランダ
 5.外国人参政権――多文化的統合のツールとして
 6.移民の社会参加、政治参加の道を探る――多極共存国家ベルギー
 7.外国人参政権をめぐって
 8.他の国々における地域デモクラシーと外国人

第7章 国籍から自由なシティズンシップ
 1.国籍の意味の相対化
 2.帰化のリベラル化
 3.重国籍の容認、国籍の選択
 4.帰還移民(アウスシードラー)の受け入れ問題
 5.生地主義の国籍法へ
 6.国民国家システムから多文化ヨーロッパへ
 7.産業再編と統合への難題
 8.福祉国家と移民たち

第8章 多文化化からの反転――移民問題の政治化と排除の論理
 1.高失業と弱者たちの抵抗
 2.国民戦線(FN)の政治的登場
 3.移民の規制への揺り戻し
 4.反ヨーロッパ統合と移民
 5.「ルペン効果」――困難になる移民・外国人の権利拡大
 6.外国人参政権問題のその後の展開――ドイツ
 7.小“外国人大国”の「国益」主義――スイス

第9章 移民第二世代とアイデンティティ
 1.家族再生産と移民第二世代
 2.適応のタイプと葛藤
 3.「職に就くこと」第一主義と多文化主義批判――オランダ
 4.移民の「福祉依存」批判
 5.「非行」イメージの貼り付け
 6.対応の政策をめぐって
 7.差別とジェンダー
 8.文化的周辺化と移民

エピローグ 多文化ヨーロッパの現在と試練
 1.変動と連続性と
 2.ドイツ――再統一の危機から「移民国」へ
 3.移民二世における失業格差とレイシズム
 4.統合なのか、平行化なのか
 5.新統合政策とナショナルアイデンティティの構築?
 6.イスラーム、レイシズム、共生
 7.シティズンシップはどこまで開かれたか

 あとがきと謝辞
 引用・参考文献
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