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チェチェン 平和定着の挫折と紛争再発の複合的メカニズム
本体7,000円+税
ISBN 9784750342863
判型・ページ数 A5・456ページ
出版年月日 2015/12/28

チェチェン 平和定着の挫折と紛争再発の複合的メカニズム

ソ連崩壊に伴いロシアで唯一紛争へと発展した民族問題であるチェチェン紛争。チェチェンではなぜ平和定着に失敗し、紛争が再発したのか。第一次紛争と第二次紛争の移行過程に着目し、チェチェンが「二重の対立構造」を抱え「複合的ディレンマ」に陥っていたという紛争のダイナミズムを明らかにする。日本で唯一のチェチェン紛争を主題とした本格的研究書。

 凡例
 図表一覧
 略号表記一覧

序章
 1.問題意識
 2.本書の目的
 3.チェチェン問題を取り巻く研究とその課題
 4.本書の研究対象時期とその意義
 5.先行研究の整理と課題
 6.本書のアプローチ
 7.資料
 8.研究方法と本書の構成

第1章 比較と理論の中のチェチェン紛争――本書の分析枠組み
 第1節 本書の分析枠組み
  第1項 チェチェン紛争の「二重の対立構造」
  第2項 紛争再発のメカニズム:「複合的なディレンマ」と「状況悪化のスパイラル」
  第3項 紛争再発のメカニズムの背景にあるチェチェン紛争の特徴
 第2節 紛争の発生とその特徴
  第1項 紛争の定義と類型
  第2項 紛争の構造的環境要因
  第3項 紛争の構造的環境要因からみるチェチェン紛争の特徴
 第3節 紛争移行過程の問題:平和定着と紛争再発のメカニズム
  第1項 紛争移行とその研究をめぐる課題
  第2項 紛争の再開という政策決定
  第3項 紛争終結までの形態に関わる紛争再発の構造的環境要因
  第4項 紛争後の形態に関わる紛争再発の構造的環境要因
  第5項 紛争移行過程におけるチェチェンの特徴
 第4節 紛争後の平和構築をめぐる問題:「未承認国家」
  第1項 紛争後の課題としての「未承認国家」問題
  第2項 「未承認国家」の概念
  第3項 「未承認国家」の生成・生存要因
  第4項 「未承認国家」と平和構築問題の接合:事例としてのチェチェン
 第5節 ソ連邦・ロシア連邦におけるチェチェン
  第1項 民族連邦制とチェチェン・イングーシ自治共和国の基礎情報
  第2項 歴史からみる「チェチェン例外論」
  第3項 政治・社会からみる「チェチェン例外論」


第2章 第一次チェチェン紛争とその後の課題
 第1節 第一次チェチェン紛争までの経緯
  第1項 ペレストロイカとチェチェンにおける社会運動の活性化
  第2項 チェチェン民族運動の「覚醒」とイングーシとの分離
  第3項 ソ連解体とチェチェン紛争への道筋
  第4項 第一次紛争の発生過程と「二重の対立構造」、構造的環境要因の関係
 第2節 第一次紛争の進展と紛争終結
  第1項 第一次紛争時のチェチェンの政治勢力:親露派の分裂と独立派への接近
  第2項 チェチェン和平の実現とマスハドフ政権の発足
  第3項 紛争移行形態の考察I:第一次紛争の終結過程で何がいかに変化したのか
 第3節 マスハドフ政権誕生後のチェチェンにおける戦後課題
  第1項 経済的な課題
  第2項 社会的な課題
  第3項 政治的な課題
  第4項 紛争後の政治展開の変遷(1997-99年)

第3章 マスハドフ政権の平和定着の試みと挫折(1997-99)
 第1節 マスハドフという指導者とその評価
  第1項 マスハドフの経歴:追放の地での出生から独立派大統領まで
  第2項 マスハドフの人物像や評価
  第3項 マスハドフ政権による戦後政策を理解するに当たって
 第2節 対露政策
  第1項 マスハドフの対露政策の三つの柱:チェチェンが得るべき地位
  第2項 経済的関係の前進と法的・政治的関係の足踏み
  第3項 経済的合意履行をめぐる問題と治安・安全保障問題
 第3節 国内政策
  第1項 マスハドフの政治運営方針:内閣の構成からの考察
  第2項 チェチェン国内における政治的争点とマスハドフ政権の対応
  第3項 政治的争点としての「イスラーム化」とマスハドフの苦慮
 第4節 地域政策
  第1項 マスハドフの地域政策の方針
  第2項 グルジアとの関係改善という実りなき成果
  第3項 石油輸送の再開をめぐる交渉の成果
 第5節 「外交」政策
  第1項 マスハドフ「外交」の下地:ヌハーエフの構想と働き
  第2項 「外交」の方針と軌跡:「未承認国家」の積極「外交」
  第3項 「外交」の挫折

第4章 平和定着の失敗の多角的検討
 第1節 紛争研究の視座から
  第1項 紛争終結までの形態をめぐる考察
  第2項 紛争後の政治・経済形態をめぐる考察
  第3項 紛争後の国家性をめぐる考察
 第2節 対露交渉の視座から
  第1項 非対称な行為主体間の紛争と交渉
  第2項 失敗要因としての法的・政治的地位をめぐる交渉姿勢のズレ
  第3項 経済合意未履行の要因
 第3節 国内環境の視座から
  第1項 紛争要因としての反政府系政治指導者
  第2項 政治指導者・政治勢力の立場:分類と変化
  第3項 紛争移行過程の大衆世論と政治的争点:指導者と大衆の認識のズレ
  第4項 国内的要因と平和定着の失敗:先行研究の批判的再検討
 第4節 地域環境の視座から:ダゲスタン問題とのリンケージ
  第1項 ダゲスタンにおける急進的イスラーム問題
  第2項 チェチェンへのダゲスタン問題の飛び火
  第3項 紛争再発要因としてのダゲスタン情勢
  第4項 地域情勢の共振作用としての第二次チェチェン紛争の発生
 第5節 平和定着の失敗と紛争要因の考察
  第1項 紛争移行過程における平和定着の失敗要因:相互関係と力学作用
  第2項 紛争移行形態の考察Ⅱ:第二次紛争の発生過程で何がいかに変化したのか
  第3項 指導者のとり得た選択?:マスハドフの指導力と責任論をめぐって

終章
 1.結論:「二重の対立構造」下の「複合的なディレンマ」と「状況悪化のスパイラル」
 2.チェチェン研究における本書の意義
 3.その後のチェチェン問題と本研究の含意
 4.紛争研究・平和構築研究における本研究の含意
 5.今後の課題

 あとがき
 参考文献
 巻末資料
 索引

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