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ミャンマーの多角的分析
本体4,500円+税
ISBN 9784750342702
判型・ページ数 A5・280ページ
出版年月日 2015/11/19

ミャンマーの多角的分析

OECD第一次診断評価報告書

経済成長は、発展の一側面に過ぎない。政策担当官はその国の発展を持続可能なものとし、国民の生活の改善確保に努めるが、それには経済目標、社会目標、環境目標の間で折り合いをつけることが求められる。
 OECDの新たなシリーズOECD Development Pathwaysは、成長のみに焦点を当てるのではなく、複数の開発目標を考慮に入れた叢書として刊行される。これは、幸福が発展の一要素であることを踏まえ、多角的国家分析(MDCR)を通して、開発途上国のより公平で持続可能な成長における厄介な複合的制約の明確化に資することを目的としている。経済、社会、環境面での目標実現を求める政府は、その直面する制約を理解し、包括的で整合性を備えた一連の改革戦略の開発を求められる。MDCR では、政策間の相互関係を討議できるように、部門別展望ではなく、部門横断的展望の下に進められる。
 本シリーズは三段階での多角的国家分析に基づくが、第一段階で開発の足かせとなっている制約要因の概要を診断評価し、第二段階で部門横断的課題のより踏み込んだ分析を通して詳細な推奨政策措置を導出する。そして、第三段階では推奨政策措置を実施に移すうえでの政治経済的課題を考究する。
 ミャンマーは、この多角的分析の適用において、最初に取り上げられる国家である。ミャンマーでは新しい発展の方向が明確になり始めており、同国の歴史においてまさに取り上げるに相応しい時期にあると言える。本書における勧告は、主にミャンマーでの政策活動の支援を目的としているが、他方で、ミャンマー政府の開発に協働する市民社会及び国際ドナーを始めとした開発主体にも有用であろう。

 

【関連Webサイト】

OECD

OECD東京センター

 序文
 謝辞
 頭字語・略語
 刊行にあたって
 一般事情
 要旨

第1章 岐路に立つミャンマー
 はじめに
 第1節 ミャンマーにおける多面的開発機会の活用
  コラム1.1 過去の移行経験からの学習
 第2節 地理的特性の優位性への転換
  コラム1.2 ミャンマーに対する制裁措置
 第3節 持続可能かつ公平な成長のための開発
  コラム1.3 ミャンマーの計画システムと開発目標
 第4節 ミャンマーでの生活:OECD幸福指標レンズを通して
  コラム1.4 進歩と幸福を測定する「How's Life?」枠組み
  コラム1.5 GDPに代表される幸福要素
 第5節 強壮な統計システムの構築
 付録A.1 ミャンマー略史

第2章 安定的かつ持続可能な開発の実現
 はじめに
 第1節 マクロ経済的安定性の確保
  コラム2.1 「hundi(hawaladhars)」システム
  コラム2.2 2003年のミャンマー銀行危機
 第2節 法の支配の確立
  コラム2.3 ミャンマーにおける三権分立
  コラム2.4 綿密な法律検討作業の推進
  コラム2.5 連邦制度:多国民的か、行政区域的か、あるいはハイブリッド型か
 第3節 環境的に持続可能な開発に向けた制度構築
  コラム2.6 中国及びベトナムにおける戦略的環境評価(SEA)
  コラム2.7 フィリピン持続可能な開発会議
  コラム2.8 新環境保全法(LEC)
 第4節 民間イニシアティブ促進環境基盤
  コラム2.9 多様な部門に及ぶ軍事企業活動
 第5節 将来に向けた人的資本の蓄積
  コラム2.10 政府教育支出
  コラム2.11 スイスにおけるアプレンティスシップ:ミャンマーに適合可能なモデル
 第6節 物的資本の蓄積
 付録A.2 ミャンマーの金融・企業部門

第3章 包摂的成長と機会均等
 はじめに
 第1節 機会平等促進に向けた成長の普及拡大
  コラム3.1 チン州での野鼠の群生問題
 第2節 多民族国民国家の構築
 第3節 包摂性に向けた信頼性の構築

終章 ミャンマーの将来展望

 訳者あとがき


図表一覧
――第1章 岐路に立つミャンマー
 図1.1 一人当たり面積で際立つ耕地の豊かさ
 図1.2 労働生産性
 図1.3 成長を駆動してきた民間消費
 図1.4 堅実な増加をみせる人口
 図1.5 老いの始まり間近なミャンマー
 図1.6 生産性格差に起因するOECD 加盟国との実質所得格差
 図1.7 競争力を増しつつあるミャンマーの輸出等
 図1.8 投入財部門に対しほとんど利潤を生んでいない製造業部門
 図1.9 高い労働参加率と半分近くを占める女性労働者の割合
 図1.10 顕著な格差をみせるジェンダー格差
 図1.11 一部の社会制度により経済社会的生活への完全参加を制限されている女性
 図1.12 低水準な基礎的条件及び主観的満足
 図1.13 ほんの僅かながら改善をみせる低水準の平均余命
 図1.14 相対的に低水準にある期待就学年数
 図1.15 低度な社会的支援水準と高度な腐敗認識
 図1.16 これまで受容されてきた環境の質
 図1.17 低水準にある個人の安全
 図1.18 所得水準に対応したミャンマーの主観的幸福
 図1.19 ベンチマーク指標(比較対象国家群より算出)を基準としたミャンマーの実績
 図1.20 ベンチマーク指標(世界規模で算出)を基準としたミャンマーの実績
 表1.1 東南アジア諸国、中国、インドの実質GDP 成長率

――第2章 安定的かつ持続可能な開発の実現
 図2.1 近年、財務省証券利回りと並行的に進む貸出・預入金利の低下
 図2.2 ミャンマーでの厳格な資本フロー統制
 図2.3 所得水準に対し低水準にあるミャンマーの歳入
 図2.4 低水準にある税収割合
 図2.5 政府の税源として重要な所得、利潤、企業活動
 図2.6 ミャンマーのエネルギー消費の大部分を占めるバイオマス
 図2.7 大都市で深刻な大気汚染
 図2.8 所得増大に伴い上昇傾向にある自動車密度
 図2.9 地域的に増加している巨大台風及び洪水件数
 図2.10 小規模だが拡大方向にある森林保護区
 図2.11 近隣国に後れを取るロジスティクス実績
 図2.12 中小企業(SME)密度の低いミャンマー
 図2.13 低水準にある対ミャンマーFDIフロー
 図2.14 ビジネスに対する様々な金融手段
 図2.15 成人識字率の高いミャンマー
 図2.16 義務教育年数の短いミャンマー
 図2.17 初等教育到達度の改善
 図2.18 低水準からの改善のみられた非義務教育
 図2.19 生徒数に合わせ拡充の必要な教員数
 図2.20 文系、理系共に重視するミャンマーの学生
 図2.21 極端に低い道路密度
 図2.22 未開発の通信部門
 表2.1 大半を占める小規模/非公式企業
 表2.2 細分化されている企業部門規制
 表2.3 国有企業の重要性低下
 表2.4 企業の法規制枠組みに必要な改善
 表2.5 食料・飲料業を始めとした製造業企業
 表2.6 急速な拡大をみせる観光業
 表2.7 域内諸国が大半を占めるホテル業界に対する投資
 表2.8 主要輸送モードである道路輸送
 表2.9 大半を占める第1次産業部門への対内FDIフロー
 表2.10 大半を占める近隣国からの対内FDIフロー
 表2.11 大半を占める建設業・製造業での国内投資
 表2.12 限られた産業部門に集中している国有企業(SOE)投資
 表A.2.1 ミャンマーの金融制度
 表A.2.2 ミャンマー、タイ、ベトナムでの製造業企業の企業規模による分類
 表A.2.3 事業分野別国有企業:利益及び損失
 表A.2.4 ミャンマーにおける事業投資関連インセンティブ及び制限措置

――第3章 包摂的成長と機会均等
 図3.1 高水準ながらも改善をみせる貧困率
 図3.2 多様性の求められる輸出等
 図3.3 深刻な土地の無保有問題
 図3.4 銀行業サービス普及の遅れ
 図3.5 保健支出額の低水準なミャンマー
 図3.6 全世帯で物理的普及の進まない中等教育
 図3.7 貧困世帯ほど低水準な教育到達度
 図3.8 重要インフラの普及の進まない貧困世帯
 図3.9 地域で異なる電気普及率
 図3.10 州及び管区域により広く異なる初等学校就学率
 図3.11 国際基準に照らし高水準なミャンマーでの汚職・腐敗水準
 図3.12 司法制度及び裁判官への信頼に欠けるミャンマー
 図3.13 改善は進むがなお低水準なミャンマーの民主化
 図3.14 制限される政治制度への女性の参加
 図3.15 国民の政府機関への意見表明経験の限られるミャンマー
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