本体2,700円+税
ISBN | 9784750341743 |
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判型・ページ数 | A5・300ページ |
出版年月日 | 2015/04/02 |
介護保険と階層化・格差化する高齢者
人は生きてきたようにしか死ねないのか
水野 博達 著
2015年は介護保険開始から15年となる。本書では介護保険の5年目、10年目、15年の改定を振り返り、介護保険が向かおうとする将来像を検証する。「老後の安心」とは程遠い、高齢者の階層化・格差化に拍車をかける介護保険政策に警鐘を鳴らす。
はじめに
序章 地域は介護・福祉の救い主になり得るか?──現実の矛盾を覆い隠す〈コミュニティ幻想〉批判
1 福祉サービスの市場化がもたらしたものは?
2 新自由主義の浸透と人々の暮らしの変貌
3 介護保険は、都市中間層にとってof/for/byの関係
4 介護保険の行き詰まりと地域コミュニティ幻想
5 自らを助け得る者は救われ、そのほかは切り捨てられる
第1部 市場化と人間の尊厳
第1章 「介護の社会化」とは、「市場」での自由のことか?──問われる「人間の尊厳・個人の尊重」と家庭・地域と地方自治の役割/意味
Ι 「家庭」の位置・機能と入所者の権利をめぐって
1 措置から契約への移行の検討
2 「身寄りのない」入所者の諸権利と行政及び施設
3 「家族・世帯」の問題と介護保険
4 高齢者の権利・財産と家族・世帯(「共同の生計」)の性格
5 改めて問われる21世紀の「家庭」の位置と機能
Ⅱ 「市場原理」と「個人の尊厳・自由」について
1 社会福祉は、社会主義のミニュチュア版の小世界?
2 公的介護保険「市場」における「サービス選択」の実像
3 介護サービス(労働)の特質とは?
4 「市場」での価格と人の生涯での「価値」〈かけがえのなさ〉
第2章 尊厳を支える制度への転生を求めて──要介護認定システムを改変し、サービスの適正化を
1 「尊厳ある生活」をおくる権利と「潜在能力」
2 介護市場は、「効用」によって自動調整できるか?
3 「認定システム」の再構築
第2部 老後生活の階層化と介護保険/地方自治体
第3章 財政事情優先で進む制度の改変と入所判定基準──特養「入所基準」の策定と「居住と介護の分離」の意味
1 2003年の介護報酬の改定と「入所選考指針」の制定について
2 特養ホーム経営への民間資本参入と「施設解体論」の意味
第4章 人は生きてきたようにしか死ねないのか?──老後生活の階層化を促進する「介護市場」を問う
1 「二つの潮流」と「闘う社会福祉」の旗印の不在
2 可視的になる老後生活・介護の階層化
3 隠される階層化と不平等の拡大
4 要介護認定システムと「市場原理」によるサービス提供のミスマッチ
5 市場化で落ちこぼれる「人格のトータリティ」
第3部 市場主義に抗するケア改革の模索
第5章 「介護の革命」第2段階を目指した模索──欠乏する介護労働力に悩み揺れる現場から
1 介護労働力の現状と破綻した「パート戦略」
2 労働力不足を「介護の革命」第2段階へつなぐ試み
第6章 深刻な介護労働力の欠乏~行き詰まる介護保険制度──「尊厳を支える介護」と言うけれど……
1 介護の格差が拡大
2 社会福祉のフィールドを「市場原理」が蚕食
3 介護報酬の削減と深刻な介護労働力の欠乏
第4部 欠乏する介護の担い手を巡って
第7章 重大な問題をはらむ介護の資格と人材確保指針の変更──労働力人口の3~3・5%が必要な介護労働力の現実の中で
1 介護業務の国家資格を介護福祉士一元化へ
2 〈人材の確保〉の検討
3 いかなる人材の確保・養成か
補論1 「介護報酬3%アップで2万円の賃上げ」のペテン──2009年度の介護報酬改定への批判
第8章 日本における「福祉ミックス論」再考──欠乏する福祉の労働力問題から見て
1 福祉の労働市場をどう分析するか
2 福祉現場における効率化=労働力流動化施策とその行き詰まり
3 福祉ミックス論と擬似市場論で見落とされてきた労働力
4 福祉ミックス論とボランティア・セクターの可能性
補論2 外国人介護・家事労働者の導入と地域の高齢者サービス──地域の「市場占有戦略」と高齢者向け住宅業者などの動き
第5部 超高齢社会を考える
第9章 超高齢社会、必然化する「持続的社会」の構想──少子高齢社会は福祉施策では超えられない近代の行き詰まり
1 「奇跡の島」祝島を訪ねて
2 東アジアに超高齢社会がやってきた
3 日本型高齢者福祉対策の方法・方向
4 日本型福祉施策の応用の先には
5 「近代」の限界を明示する超高齢社会の到来
第10章 政府の機能と市民の活力で「新しい公共福祉」へ──中国の若い仲間へ~日本の高齢者福祉サービスの反省と教訓から
1 自己紹介と今回の講演の限定
2 高齢者介護の変遷の要約
参考資料
第6部 介護労働者の組織化を巡って
第11章 なぜ、介護労働者の組織化は困難なのか?──労働力商品としての介護労働の特性から考える
Ⅰ 討論
1 介護労働市場の特殊性について
2 介護労働者の不満と描けない将来の展望
3 「ケア労働の広場~交流と相談」(仮称)の設置について
Ⅱ 質疑応答
おわりに
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