本体5,200円+税
ISBN | 9784750341736 |
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判型・ページ数 | 4-6・484ページ |
出版年月日 | 2015/03/31 |
現代ネパールの政治と社会
民主化とマオイストの影響の拡大
ネパール共産党(マオイスト)の内戦及びそれ以降の政治の表舞台への登場に注目し、マオイストが力を得た経過・理由とその思想を把握するために行われた国立民族学博物館での共同研究。政治過程・国家論・内戦の影響・地域社会の変化等を詳細に考察する。
はじめに
序章 近現代ネパールの政治と社会――マオイストの伸長と地域社会[石井溥]
一 ネパールの近世・近代の社会・政治の特徴
二 内戦(マオイストの「人民戦争」、武装闘争)と地域社会
三 内戦後のネパールの行方
四 むすび
第一部 マオイストの台頭・伸長と人々の対応
一章 武装闘争から議会政治へ[小倉清子]
一 コミュニストの「夢」だった武装闘争
二 人民戦争前半の戦略
三 戦略転換をもたらした王宮虐殺事件
四 ネパール王国軍との全面対決が始まる
五 七政党との協力のきっかけとなった国王クーデター
六 「四月革命」から和平プロセスへ
七 国会、武器管理、王制の問題
八 武装勢力から議会政党に
九 制憲議会選挙における大勝利
十 共和制への移行、マオイスト政府の発足
十一 八ヵ月間で倒れたマオイスト政権
二章 マオイストの犠牲者問題――東ネパール・オカルドゥンガ郡の事例から[渡辺和之]
一 はじめに
二 オカルドゥンガ郡にみるマオイストの組織構成
三 犠牲者追悼集会
四 誰が犠牲者になったのか?
五 犠牲者の家族の経験
六 誰がなぜどのように犠牲者になったのか?
三章 西ネパールにおける集団避難二〇〇四年[安野早己]
一 ビスタピットとは
二 シュズ・カス・アビヤン(マオイスト補充キャンペーン)
三 カダ村の集団避難(二〇〇四年)
四 ブドゥ村の集団避難(二〇〇四年
五 INSECによる帰還援助
六 キラナラ(ラジェナ)避難民キャンプ(二〇〇六年)
七 結びにかえて
四章 ネパール領ビャンスにおける「政治」の変遷――村、パンチャーヤット、議会政党、マオイスト[名和克郎]
一 はじめに
二 政党政治以前
三 政党政治初期
四 内戦期
五 内戦後
六 「政治」と政治の間
七 おわりに
五章 開発、人民戦争、連邦制――西ネパール農村部での経験から[藤倉達郎]
一 はじめに
二 西ネパール中部山地の村から
三 西ネパール平野部のタルー人社会活動家たちの履歴と「紙」の重要性
四 連邦制とタルー自治州の要求
五 おわりに
六章 ガンダルバの歌うネパールの変化――王政から国王のいない民主主義へ「森本泉]
一 はじめに
二 ガンダルバ――社会文化的背景
三 国王のいる民主主義と専制君主制――アンドーランしよう!
四 ロクタントラ(国王のいない民主主義)を求めて――王宮事件から
五 制憲議会選挙――皆で投票しよう!
六 おわりにかえて
第二部 マオイストの政党化とネパール社会
七章 マオイストの国家論と制憲議会選挙公約[谷川昌幸]
一 マオイスト国家論と制憲議会選挙公約
二 マオイスト国家論のイデオロギー的特質
三 マオイスト国家論の基本構造
四 マオイスト国家論の二面性
八章 市民の至上権は新しいネパールにおける包摂的政治の道しるべとなるか――二〇〇八年制憲議会選挙における各政党の得票の動向から[マハラジャン、ケシャブ・ラル/マハラジャン、パンチャ・ナラヤン]
一 はじめに
二 市民の至上権とは
三 市民の至上権が注目される直接の事件
四 総選挙
五 選挙直後の政治――コンセンサスか多数派工作か
六 包摂性と国民の負託
七 まとめ
九章 民族運動とマオイスト――マガルの事例から[南真木人]
一 はじめに
二 ボジャ村の人にとってのマオイスト
三 二〇〇八年制憲議会選挙
四 マガルの民族運動
五 考察
六 おわりに
十章 チトワン郡チェパン村落における政党支持と抑圧の顕在化[橘健一]
一 はじめに
二 調査地について
三 民主化以前の政治体制と政党支持
四 一九九〇年民主化と支持政党
五 一九九七年地方選挙
六 マオイストの台頭と移住問題
七 二〇〇八年制憲議会選挙
八 まとめ
十一章 「寡婦」が結ぶ女性の繋がり――ネパールにおける寡婦の人権運動[幅崎麻紀子]
一 はじめに
二 寡婦を捉える視点
三 寡婦からエッカルマヒラ(単身女性)へ――寡婦運動の展開
四 寡婦運動を展開するアクター
五 寡婦運動がもたらす生活への影響
六 寡婦運動がもたらす社会変化
七 繋がりとしての「寡婦」
八 まとめ
あとがき
ネパール近現代政治史略年表
用語解説
ネパール郡区分図
主な政党名の略語対応表
索引