本体5,200円+税
ISBN | 9784750340975 |
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判型・ページ数 | A5・316ページ |
出版年月日 | 2014/11/15 |
近代日本の女性専門職教育
生涯教育学から見た東京女子医科大学創立者・吉岡彌生
渡邊 洋子 著
東京女子医大創立者・吉岡彌生は、後継の女性医師を育てる教育指導者として「女性参入」の道筋を拓き、「女医」の存在意義と活躍基盤を確立した。本書は彼女の「女医」養成論解明の作業を通し、現代の女性医師の「生涯キャリア」への示唆について検討する。
序章 吉岡彌生研究の現代的意義
1 研究的視点から見た吉岡彌生の特徴と「魅力」
2 吉岡における女子医学教育と「良妻賢母」イデオロギー
3 吉岡とジェンダーをめぐる構図
4 現代日本における吉岡研究の意味
5 本書のテーマと構成
第1章 課題と方法
1 問題の背景と課題
2 対象と方法
第2章 吉岡彌生にとっての医師世界とアイデンティティ
第1節 吉岡彌生と医師世界
第2節 自己形成に影響を及ぼした人たち
1 生育環境とジェンダー意識――母鷲山みせ
2 女権論との出会い――景山英子
3 医業へのまなざし――父鷲山養斎
第3節 吉岡にとっての済生学舎――医術開業試験と「共学」
1 医学教育機関としての特徴
2 女子学生の処遇と「共学」環境
3 医術開業試験受験と「女医」意識
第3章 女子医学教育の構想と実践
第1節 パイオニア期の「女医」
1 「女医」という職業
2 「先覚者」としての「女医」
第2節 女子医学校の設立・運営という課題
1 高等教育システムと「女医」
2 東京女医学校の設立と初期の運営
3 「専門学校」昇格への取り組みと戦略
4 「大学令」下の女子医学教育
第3節 女子医学生指導の方針と実践
1 鍛錬主義と「女医」アイデンティティの構築
2 臨床重視と社会貢献――関東大震災と夏期無料診療活動
3 生活指導と内面・思想管理
4 研究重視、職業的・社会的自覚と訓練、進路指導と海外進出
第4章 「女医」像=キャリアモデルの構築
第1節 「女医」像をめぐる諸前提
1 女性職業必要論
2 「開拓者」「先覚者」―「後継者」の図式
3 「専門職=指導者」という存在
第2節 「女医」養成論の基本構図
1 「女医」論の基盤――「女医亡国論」との対峙
2 「女医」論から「女医」養成論へ
3 「女医」養成論の見取り図
第3節 「女医」養成論の構成論理
1 「女性に適した職業」としての「女医」像
2 専門職性における男女同等論――男女の資質・能力と「権威」
3 担当領域における男女「棲み分け」論――「女医」と「男医」の適性と職域
第5章 ロールモデルとしての吉岡 1――「女性医師の生き方モデル」の提起
第1節 吉岡における「女性医師の生き方モデル」
1 後継世代にとっての吉岡彌生
2 キャリア・ヒストリーと「生き方モデル」
第2節 「女性医師の生き方モデル」に見る「女医」の諸条件
第3節 キャリアモデルと「仕事と家庭」両立モデルの間
1 キャリアと家庭生活
2 吉岡と女性役割
3 専門職における「仕事最優先」規範と両立問題
第6章 ロールモデルとしての吉岡 2――リーダーシップから国策動員へ
第1節 「女医」における社会=国家的リーダーシップと国策
1 職能団体と「陣地戦」構想――日本女医会の組織と活動
2 戦争と「女医」
3 「女医」像の変容――「新しい婦徳」と「職域奉公」
第2節 女子社会教育の指導者として――社会活動と社会貢献1
1 処女会中央部・大日本連合女子青年団への関与
2 青年女子の「銃後」活動への喚起と「動員」
3 女子青年団活動における指導原理
第3節 女性運動の指導者として――社会活動と社会貢献2
1 婦選運動をめぐる立場と見解
2 政治「参加」と社会「参加」の接合点
3 「職業婦人」認識の拡大と「動員」論理
補節 教育審議会の唯一の女性委員としての発言
1 女子教育全般の改革をめぐって
2 女子への青年学校教育の義務化をめぐって
終章 吉岡彌生と女性専門職教育――「生涯キャリア」への視座
1 本書の概要と知見
2 吉岡彌生に関わる評価の再検討
3 現代的示唆と残された課題
特論 現代女性医師をめぐる課題と支援可能性
1 女性医師の現段階
2 現状を克服する取り組み
註
参考文献一覧
吉岡彌生文献リスト
吉岡彌生年表
おわりに
索引