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湾岸アラブ諸国の移民労働者
本体5,500円+税
ISBN 9784750340906
判型・ページ数 A5・300ページ
出版年月日 2014/10/30

湾岸アラブ諸国の移民労働者

「多外国人国家」の出現と生活実態

外国人労働者を大量に受け入れてきた湾岸アラブ諸国。移民労働者の社会参加への機会を制限しており、その「分断」が特徴と言われてきた。本書は受け入れ国側、送り出し国の両側の視点から移民労働者の生活の実態に迫ることにより、複雑な「共存」のあり方を新たに明らかにする。

 

【執筆者・訳者一覧】

石井正子(いしい まさこ)
所属:大阪大学大学院人間科学研究科
専門:フィリピン研究,ジェンダー研究,紛争研究
主な著作:
2011,「複合格差を移動する――湾岸産油国で家事労働者として働くフィリピンのムスリム女性」日本平和学会(編)『世界で最も貧しくあるということ』25-46ページ,東京:早稲田大学出版部.
2010,「フィリピンの開発過程と女性労働政策――『移民労働の女性化』があたえた影響」長津一史・加藤剛(編)『開発の社会史――東南アジアにみるジェンダー・マイノリティ・境域の動態』187-224ページ,東京:風響社.
2005,「中東へ出稼ぎに行くフィリピンのムスリム女性――変わる『性』規範と移動する女性」加藤博(編)『イスラームの性と文化』185-213ページ,東京:東京大学出版会.

Rima Sabban(リマ サバン)
所属:UAEザーイド大学人文社会科学学部
専門:湾岸地域における労働,女性,若者,市民社会,家族に関する研究
主な著作:
2013, Modernity and Development and the Impacts on Norms and Habits in the Gulf, Journal Series Dirassat (Number 179), Abu Dhabi, UAE: The Emirates Center for Strategic Studies and Research. (in Arabic).
2012, Maids Crossing: Domestic Workers in the UAE, Saarbrucken, Germany: LAP Lambert Academic Publishing.
2011, Dubai's Transnational Domestics: Visibility of the Invisible? Journal of Social Affairs, 112.

嶋田ミカ(しまだ みか)
所属:立命館大学文学部非常勤講師
専門:インドネシア女性労働,アジアの労働移動
主な著作:
2010,「スリランカ女性の海外出稼ぎ労働――聞き取り調査から貧困緩和効果を考える」首藤もと子(編著)・駒井洋(監修)『東南・南アジアのディアスポラ』叢書「グローバル・ディアスポラ」第3巻,260-281ページ,東京:明石書店.
2007,「湾岸諸国における出稼ぎ女性をめぐる諸問題――スリランカとインドネシアの事例」久場嬉子(編著)『介護・家事労働者の国際移動――エスニシティ・ジェンダー・ケア労働の交差』209-249ページ,東京:日本評論社.
2005,「中部ジャワの市場における女性小商人の変容――主婦と稼ぎ手の間」『アジア研究』51(1):40-58.

N. Janardhan(N・ジャナルダン)
所属:英国エクセター大学湾岸研究センター名誉研究員(UAE在住,湾岸政治分析専門家)
専門:湾岸地域の政治,国際関係,メディア,労働
主な著作:
2014, A New Gulf Security Architecture: Prospects and Challenges for Asia (Ed.), Berlin: Gerlach Press.
2013, India and the Gulf: What Next? (Ed.), Cambridge: Gulf Research Centre Cambridge, Centre of Islamic Studies, University of Cambridge.
2011, Boom amid Gloom: The Spirit of Possibility in the 21st Century Gulf, Reading: Ithaca Press.

竹村嘉晃(たけむら よしあき)
所属:国立民族学博物館
専門:芸能人類学,南アジア地域研究
主な著作:
2012,「ワンナーン〈ケーララ州〉――神霊を担う不可触民たちの現在」金基淑(編著)『カーストから現代インドを知るための30章』197-206ページ,東京:明石書店.
2012,「鉄道局組合が祀るローカル神――南インド・ケーララ州における神霊信仰の隆盛と『ダルシャン運行』」『民族藝術』28:92-100.
2007,「グローバル時代における現代インドのヨーガ受容」『スポーツ人類學研究』9:29-52.

辻上奈美江(つじがみ なみえ)
所属:東京大学総合文化研究科
専門:湾岸アラブ諸国の比較ジェンダー論
主な著作:
2013,「湾岸諸国における雇用主の語りから探る家事労働者のヴェルネラビリティ/エージェンシー」『白山人類学』16:55-73.
2012,「サウディアラビアの体制内権力」酒井啓子(編)『中東政治学』49-62 ページ,東京:有斐閣.
2011,『現代サウディアラビアのジェンダーと権力――フーコーの権力論に基づく言説分析』東京:福村出版.

福田安志(ふくだ さだし)
所属:早稲田大学イスラーム地域研究機構
専門:GCC諸国近現代史
主な著作:
2013, Wahh.bis and the Development of Salafism: The Nature and Policy Trend of Salafis, In The Middle East Turmoil and Japanese Response: For a Sustainable Regional Peacekeeping System, edited by Hitoshi Suzuki, pp. 80-103, Chiba: IDE-JETRO.
2013,「サウジアラビアの工業化と企業の国際展開――SABIC社とSavola社の事例を中心に」土屋一樹(編)『中東アラブ企業の海外進出』145-183ページ,東京:岩波書店.
2005,サウジアラビアの民主化――イスラーム国家と政治改革」日本国際問題研究所(編)『湾岸アラブと民主主義――イラク戦争後の眺望』51-89ページ,東京:日本評論社.

細田尚美(ほそだ なおみ)
所属:香川大学インターナショナルオフィス
専門:フィリピン地域研究,文化人類学
主な著作:
2013, Kababayan Solidarity? Filipino Communities and Class Relations in United Arab Emirates Cities, Journal of Arabian Studies: Arabia, the Gulf, and the Red Sea 3 (1): 18-35.
2012, The Sense of Pamilya among Samarnons in the Philippines, In The Family in Flux in Southeast Asia: Institution, Ideology, Practice, edited by Yoko Hayami, Junko Koizumi, Chalidaporn Songsamphan and Ratana Tosakul, pp. 365-386, Kyoto and Chiang Mai: Kyoto University Press and Silkworm Books.
2011,「海外就労先を開拓し続けるフィリピン」安里和晃(編著)『労働鎖国ニッポンの崩壊――人口減少社会の担い手はだれか』197-213ページ,東京:ダイヤモンド社.

堀拔功二(ほりぬき こうじ)
所属:一般財団法人 日本エネルギー経済研究所 中東研究センター
専門:中東地域研究(湾岸産油国の政治・社会動態),比較政治学,国際労働力移動主な著作:
2013,「カタル外交の戦略的可能性と脆弱性――『アラブの春』における外交政策を事例に」土屋一樹(編)『中東地域秩序の行方――「アラブの春」と中東諸国の対外政策』83-98ページ,東京:アジア経済研究所.
2011, Controversies over Labour Naturalisation Policy and Its Dilemmas: 40 Years of Emiratisation in the United Arab Emirates, Kyoto Bulletin of Islamic Area Studies 4 (1&2): 41-61.
2009,「湾岸アラブ産油国における外国人労働者問題と国内政治の変容――アラブ首長国連邦を事例に」日本比較政治学会(編)『国際移動の比較政治学』69-91ページ,京都:ミネルヴァ書房.

松尾昌樹(まつお まさき)
所属:宇都宮大学国際学部
専門:地域研究(中東)
主な著作:
2012,「湾岸諸国における移民労働者」酒井啓子(編)『中東政治学――地域研究と比較政治の架橋をめざして』201-213ページ,東京:有斐閣.
2010,『湾岸産油国――レンティア国家のゆくえ』東京:講談社.
2010,「湾岸アラブ型エスノクラシー――共生しないという選択肢」『宇都宮大学国際学部研究論集』30:117-128.

松川恭子(まつかわ きょうこ)
所属:甲南大学文学部
専門:南アジア地域研究,文化人類学
主な著作:
2014,『「私たちのことば」の行方――インド・ゴア社会における多言語状況の文化人類学』東京:風響社.
2008,「社会空間における舞台上の物語の共有/非共有――インド・ゴア社会における大衆劇ティアトルをめぐって」小松和彦還暦記念論集刊行会編『日本文化の人類学/異文化の民俗学』139-158ページ,京都:法藏館.
2005, The Formation of Local Public Spheres in a Multilingual Society: The Case of Goa, India, Journal of the Japanese Association for South Asian Studies(『南アジア研究』)17:109-134.

山田真樹夫(やまだ まきお)
所属:英国オックスフォード大学大学院博士課程国際関係論専攻
専門:湾岸諸国の政治経済および国際関係
主な著作:
forthcoming, The China Model and the GCC Economies: Common Challenges in the Transition towards a Knowledge Economy, In The Gulf across East and West: Charting GCC and Iranian Inter-Asian Relations, edited by Matteo Legrenzi, London: Ashgate.
2013, Seven Years on: Saudi Arabia's ‘Look East’ Diplomacy, RUSI Newsbrief, 33 (4): 17-19.
2011, Gulf-Asia Relations as ‘Post-Rentier’ Diversification?: The Case of the Petrochemical Industry in Saudi Arabia, Journal of Arabian Studies, 1 (1): 99-116.

渡邉暁子(わたなべ あきこ)
所属:文教大学国際学部
専門:フィリピン地域研究,文化人類学,都市マイノリティ研究
主な著作:
2014,「イスラーム世界と人びとの移動から地域研究を考える――イスラーム改宗者とフィリピン・ムスリム社会の再編」『地域研究』14(1):194-213.
2010,「海外就労するマニラのムスリム女性の生活戦略」ポーリン ケント・北原淳(編著)『紛争解決――グローバル化・地域・文化』(アフラシア叢書第2巻)202-226ページ,京都:ミネルヴァ書房.
2013, Intimacy and Estrangement: Narratives of Filipino Women Worker Married to Foreign Muslims Abroad, In Marriage/Dynamics of Marriage Migration in Asia, edited by Kayoko Ishii, pp. 63-83, Tokyo: Research Institute for Languages and Cultures of Asia and Africa (ICLAA), Tokyo University of Foreign Studies.

 まえがき

序章 分断された社会空間を生み出す装置と人々の暮らし
 Ⅰ 湾岸アラブ諸国を中心にした移民研究の重要性
 Ⅱ 湾岸アラブ諸国における移民たちの分断状況
 Ⅲ 第1部の概説
 Ⅳ 第2部の概説
 Ⅴ 湾岸型移民社会からみえてくること
 Ⅵ 語句や統計情報の取り扱いについて


第1部 受け入れ政策と国民・移民労働者の関係

第1章 国際労働力移動のなかの湾岸アラブ諸国の位置づけ
 はじめに
 Ⅰ 国際労働力移動のトレンドと湾岸アラブ諸国
 Ⅱ 移民労働者受け入れ政策・制度の国際比較
 Ⅲ 移民労働者問題をめぐる国際社会と湾岸アラブ諸国の取り組み
 おわりに

第2章 増え続ける移民労働者に湾岸アラブ諸国政府はいかに対応すべきか
 はじめに
 Ⅰ 分析の方法
 Ⅱ 国籍別分業体制――湾岸アラブ諸国の二類型
 Ⅲ 国民と移民の競合関係
 Ⅳ クォータ制度
 Ⅴ 湾岸アラブ諸国の徴税と資源配分
 おわりに

コラム1 湾岸アラブ諸国とは何か?

コラム2 グローバル開発戦略と移民受け入れ――ドバイ、アブダビ、ドーハ

第3章 サウディアラビアにおける家事労働者の流入と「伝統」の再生
 はじめに
 Ⅰ 再生産領域のグローバル化
 Ⅱ 家事労働者と雇用者の関係
 Ⅲ ケアの消費と「伝統」の再生
 Ⅳ 変化する湾岸アラブ諸国の女性のライフスタイルと政府の対応
 おわりに

コラム3 シンデレラ物語としてのUAE家族と「家事」による物語の逆転

第4章 フィリピン人家事労働者に対する保護への取り組み
 はじめに
 Ⅰ 湾岸アラブ諸国の家事労働者――他地域との比較による特徴
 Ⅱ 家事労働者の保護に向けた公的な取り組み
 Ⅲ 家事労働者保護のためのインフォーマルな活動
 おわりに

コラム4 アジアからの家事労働者の現状と課題――インドネシアとスリランカ

コラム5 文化摩擦を超える試み――渡航前セミナーは有効か?


第2部 アジア系労働者の生活世界、コミュニティ、ネットワーク

第5章 UAE在住フィリピン人の生存戦略とコミュニティの多様性
 はじめに
 Ⅰ 多様なUAE在住フィリピン人
 Ⅱ グレースのドバイ移住過程
 Ⅲ ドバイ・ブームと訪問ビザ・ビジネス
 Ⅳ 生活再建のための戦略
 Ⅴ カバヤン・ネットワーク
 Ⅵ コミュニティ組織と社会関係の再編
 おわりに

第6章 インド・ゴア州出身者のコミュニティ・ネットワーク
 はじめに
 Ⅰ 湾岸アラブ諸国へ向かうインド人移民労働者の増加
 Ⅱ ゴアから湾岸アラブ諸国に向かう動きの現状
 Ⅲ ドバイにおけるゴア・クリスチャンのネットワーク
 おわりに

第7章 UAEとカタルにおけるフィリピン人のイスラーム改宗と社会関係の変容
 はじめに
 Ⅰ UAEとカタルの宗教的環境
 Ⅱ フィリピン人のイスラーム改宗現象
 Ⅲ コミュニティとしてのイスラミック・センター
 Ⅳ イスラーム改宗で切り開かれるつながり、生成される隔たり
 おわりに

第8章 インド・ケーララ州出身者たちの神霊を介した故地とのつながり
 はじめに
 Ⅰ 湾岸アラブ諸国への出稼ぎがケーララ社会にもたらすもの
 Ⅱ ローカルな神霊信仰の隆盛とガルフのカネ
 Ⅲ 神霊が結ぶ出稼ぎ移民労働者と故地
 おわりに

コラム6 インド人中間層からみるUAE

 あとがき
 引用・参考文献
 索引

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