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メタファー体系としての敬語
本体3,800円+税
ISBN 9784750340029
判型・ページ数 A5・288ページ
出版年月日 2014/06/30

メタファー体系としての敬語

日本語におけるその支配原理

日本語の敬語は「上位者はタブーのような存在」であるという比喩を基に成立している一つのメタファー体系であり、その原理が尊敬・謙譲・丁寧の表現の背後で働いている。従来の記述的・応用的な接近法を越え、敬語現象を支配する原理体系の根源に迫る試み。

 まえがき
 謝辞

序章 新しい視点からの敬語理論の基礎付け
 0.1 これまでの研究
 0.2 省みられなかった問題点
 0.3 敬語理論のための新しい接近法
 0.4 現代日本語の敬語文法とその一般規則
 0.5 本書の構成


第1部 敬語の統合理論への新しい接近と作業仮説

第1章 上位者概念のメタファー
 1.1 「上位者」概念の基礎付け
 1.2 タブーの本性
 1.3 名指しのタブー
 1.4 日本語の敬語研究に見えるタブー概念
 1.5 モデルとしての「上位者」
 1.6 まとめ

第2章 メタファーの体系としての日本語の敬語
 2.1 メタファーによる敬語の見直し
 2.2 メタファーの構造と機能

第3章 敬語の原則とその文法化
 3.1 新しい敬語概念の定立
 3.2 「敬語の場」の設定
 3.3 敬語の体系を司る枢密軸の原則と5つの下位原則
 3.4 敬語原則の文法化ガイドライン
 3.5 敬語の原則における「上位者・下位者」の相補関係


第2部 展開――丁寧・尊敬・謙譲の三様式の見直し

第4章 言葉の豪華包装のメタファー
 4.1 禁忌標示としての包装様式
 4.2 敬語の接頭辞と接尾辞
 4.3 文の豪華包装メタファー――丁寧形の助動詞「です」と「ます」
 4.4 告知・陳述の動詞から丁寧形の助動詞への文法化

第5章 敬語における「する」と「なる」のメタファー
 5.1 贈り物の内容としての素材文の敬語とそのメタファー様式
 5.2 尊敬形における自発メタファー――動作主役割の極小化
 5.3 「奉仕メタファー」の他動詞「する」と謙譲形生成のメカニズム
 5.4 久野の統語論からの支え
 5.5 なぜ謙譲形に語用論的制約が多いか
 5.6 まとめ

第6章 「恵み」の言語学的ダイナミックスとその文法化
 6.1 恩恵移動の原則と文法化のためのガイドライン
 6.2 恩恵の原則Dによる敬語の授受表現のメタファー
 6.3 敬語の相互承接――恩恵授受の複合形式
 6.4 下位者による命令/要請から上位者の裁可への変換
 6.5 「やりとり」の類型
 6.6 授受動詞と謙譲形軽動詞の意味構造上の対応


第3部 敬語と礼儀の接点

第7章 文化的パラメーターとしての「わきまえ」と「恩」
 7.1 ポライトネス理論と「わきまえ」の文化
 7.2 「すみません」の分析
 7.3 メタファー理論から見直す「わきまえ」と「すみません」

第8章 敬語文法化の道程
 8.1 助動詞「ます」の文法化(Dasher 1995)
 8.2 Traugott & Dasher(2005)の「そうろう」の分析

第9章 総まとめ
 9.1 統一場の理論として
 9.2 2つの次元――文法としての原則体系と語用論
 9.3 文法化のメカニズムと制約
 9.4 「非焦点化」の解釈――複数と受身と「ぼかし」と「にごし」の機能
 9.5 尊敬形構造における「なさる」の不整合性
 9.6 複合授受様式の設定と恩恵移動のタイポロジー
 9.7 「命令と授与」から「裁可と贈呈」への変換形式
 9.8 文化的特殊性のパラメーター化
 9.9 加減調節の領域――修辞的表現の次元
 9.10 日本語文法のマイクロ・コズムとしての敬語

第10章 結びと展望――新しい型の解明的理論作りを目指して

 あとがき
 付録
 ABSTRACT
 参考文献
 事項索引
 人名索引

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