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インドネシア 創られゆく華人文化
本体3,800円+税
ISBN 9784750339948
判型・ページ数 4-6・264ページ
出版年月日 2014/03/31

インドネシア 創られゆく華人文化

民主化以降の表象をめぐって

1998年にスハルト大統領が退陣した後、インドネシアは民主化の過程を歩んだ。その中でインドネシア華人をめぐる政治的・社会的環境はどう変化し、またかれらはどのように自己表象を行っていったのか。豊かなフィールドワーク経験を踏まえた、精緻な分析。

 序

第一章 インドネシアの国民文化の形成と華人
 はじめに
 一 新国家における国民文化と華人政策
 二 スハルト体制下の文化政策
 三 スハルト体制下の対華人政策
 四 インドネシア華人とは
 五 インドネシア華人に関する先行研究
 六 「華人性」という問題
 七 本書の位置づけと構成

第二章 インドネシアにおける華人の歴史
 はじめに
 一 中国と東南アジアの歴史的関係
 二 インドネシア華人史
  1 華商の時代と鄭和の到来
  2 オランダ植民地下における華人の役割
  3 外島への移民と華工の時代
  4 プラナカンとトトックのアイデンティティ形成
  5 スハルト時代の華人文化
 三 スハルト体制の崩壊と新時代の幕開け

第三章 言語――ジャカルタ言語景観にみられる中国語使用と変化のきざし
 はじめに
 一 中国語の表出しないジャカルタのチャイナ・タウン
 二 言語景観の定義と先行研究
 三 ジャカルタのインドネシア華人
  1 華人と中国語をめぐる歴史的背景
  2 改革の時代と中国語
 四 調査地内の言語景観
 五 漢方薬局と中国語
  1 インドネシア中医学史
  2 パンチョラン通り周辺の漢方薬局
 まとめ

第四章 宗教――儒教の再公認化と華人
 はじめに
 一 二〇〇六年二月の春節行事
 二 インドネシアの儒教に関する先行研究
 三 歴史的背景
  1 儒教をめぐる運動のはじまり
  2 蘭領東インドにおける儒教の宗教化
  3 公認宗教の成立と宗教の政治化
  4 スハルト体制とインドネシア儒教最高評議会
 四 儒教の再公認化
  1 転換点と仕掛け人
  2 スハルトの失脚と儒教の華人問題化
  3 イムレック・ナショナル――新たな華人と政府の交渉の場
  4 地方や個人にみられる変化
 まとめ

第五章 表象――華人文化表象の場としての印華文化公園
 はじめに
 一 エスニシティ創成と文化表象の必要性
 二 印華文化公園
  1 立案者
  2 立地
  3 計画の経緯
  4 印華文化公園計画の全体像
  5 チャンドラ・ナヤ
  6 ミュージアムの展示と活動計画
 まとめ

第六章 華人文化表象のもうひとつの方向性――プラナカン概念の再浮上
 はじめに
 一 百花繚乱の華人メディア
  1 華人メディアを検討する意義
  2 中国語ルネッサンスとその展開
 二 華人メディアにおけるインドネシアの社会と華人
 三 新たな華人メディア―コーヒー・テーブル・ブック
  1 『インドネシア・チャイニーズ・プラナカン』出版の背景
  2 東南アジア華人に関するコーヒー・テーブル・ブック
  3 描かれる華人像とメッセージ
  4 目録としてのコーヒー・テーブル・ブック
 四 プラナカン文化のその後
 まとめ
 付録:Coffee Table Book の目次

終章
 一 民主化後の華人文化
 二 華人の変化からみえる民主化後のインドネシア
 三 スハルト時代の歴史と未来――九・三〇事件と大粛清の再検討
 四 グローバル化の影響と華人性の行方
  1 中国の台頭と華人文化の表象
  2 グローバル化と「インドネシア性」・「華人性」
 結びにかえて

 註
 あとがき
 参考文献
 索引

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