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クロアチアを知るための60章
本体2,000円+税
ISBN 9784750338514
判型・ページ数 4-6・368ページ
出版年月日 2013/07/15

クロアチアを知るための60章

1991年にユーゴスラビアから独立したクロアチア共和国。「アドリア海の真珠」と謳われる美しい街並みを誇るドゥブロヴニクには近年日本からの観光客も増加している。歴史、政治経済、文化、日本との交流等、知られざるクロアチアの姿を様々な角度から紹介。

 

【執筆者一覧】

明石 康(あかし・やすし)
公益財団法人国際文化会館理事長
専攻:国際関係
主な著書:『「独裁者」との交渉術』(集英社、2010年)、『戦争と平和の谷間で――国境を超えた群像』(岩波書店、2007年)、『国際連合 軌跡と展望』(岩波書店、2006年)。

石田 信一(いしだ・しんいち) ※編著者紹介を参照(個別ページリンク)

一政(野村) 史織(いちまさ〔のむら〕・しおり)
中央大学法学部准教授
専攻:地域研究(北米)、文化研究
主な著書・論文:「越境的な民族意識の形成とアメリカ合衆国への同化――クロアチア民族協会を中心に」(柴宜弘ほか編『東欧地域研究の現在』山川出版社、2012年)、“The ‘voices of women' on birth control and childcare: a Japanese immigrant newspaper in the early twentieth-century USA,” JAPAN FORUM, Vol. 21-2, 2009.

伊東 一郎(いとう・いちろう)
早稲田大学文学学術院教授
主な著書・論文:「スラヴ・フォークロアにおける太陽と月の性別」(『ロシア・フォークロア研究』12、2006年)、「緑のゲオルギウス――クロアチアとスロヴェニアの儀礼より」(『東西南北 2002』和光大学総合文化研究所年報、2004年)、「スラヴ民衆文化における聖ゲオルギウス――イコン・儀礼・フォークロア」(聖心女子大学キリスト教研究所編『東欧・ロシア――文明の回廊』春秋社、1994年)。

猪瀬 敦(いのせ・あつし)
日本国際政治学会会員
専攻:日本外交史、国際交流
主な著書:「クロアチア独立国の日本公使館」(柴宜弘、佐原徹哉編『叢書東欧10 バルカン学のフロンティア』彩流社、2006年)、『独立国家クロアチア公使館設置問題――日独関係における満州国とクロアチアの役割』(東洋英和女学院大学大学院現代史センター、2003年)。

遠藤 嘉広(えんどう・よしひろ)
東京大学大学院総合文化研究科博士課程
専攻:ユーゴスラヴィア現代史
主な著書・訳書:「ユーゴスラヴィア解体と人民軍――1980年代後半以降の国内政治の関わりを中心に」(『年報地域文化研究』第12号、2008年)、「教科書の中の地域史――アルバニアの事例」(翻訳、柴宜弘編『バルカン史と歴史教育』明石書店、2008年)。

大野 和士(おおの・かずし)
指揮者
1988~1996年、ザグレブ・フィルハーモニー管弦楽団で音楽監督を務める。以後、バーデン州立歌劇場音楽総監督、ベルギー王立歌劇場(モネ劇場)音楽監督を歴任し、2008年9月よりフランス国立リヨン歌劇場首席指揮者に就任。国内では東京フィルハーモニー交響楽団常任指揮者を経て、現在同楽団桂冠指揮者。2015年4月より東京都交響楽団音楽監督に就任予定。

奥 彩子(おく・あやこ)
共立女子大学文芸学部専任講師
専攻:ユーゴスラヴィア文学
主な著書・訳書:『東欧地域研究の現在』(共編著、山川出版社、2012年)、『境界の作家ダニロ・キシュ』(松籟社、2010年)、ダニロ・キシュ『砂時計』(翻訳、松籟社、2007年)。

長 有紀枝(おさ・ゆきえ)
立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科・同社会学部教授、特定非営利活動法人難民を助ける会理事長
専攻:国際政治、国際人道法
主な著書:『入門 人間の安全保障――恐怖と欠乏からの自由を求めて』(中央公論新社、2012年)、『スレブレニツァ――あるジェノサイドをめぐる考察』(東信堂、2009年)。

亀田 和明(かめだ・かずあき)
在セルビア日本大使館公使参事官
外務省入省後、在クロアチア大使館勤務を含め旧ユーゴスラヴィア関係の職務を歴任。

亀田 真澄(かめだ・ますみ)
日本学術振興会特別研究員
専攻:ロシア東欧文化、表象文化論
主な論文:“Visual Framing of Red Martyrs: Soviet and Yugoslav Partisan Propaganda Compared,” Kultura, br. 138, 2013; “Representation of Collective Memory of Communism: Analysis of Grande Narrative and Contemporary Arts in Croatia,” History of Communism in Europe, vol. 1, 2010、「グラフ誌『ソ連邦建設』と『ユーゴスラヴィア』――社会主義リアリズムの対照比較」(『ロシア語ロシア文学研究』43号、2011年)。

久保 慶一(くぼ・けいいち)
早稲田大学政治経済学術院准教授
専攻:比較政治学、旧ユーゴスラヴィア地域研究
主な著書:『民主化と選挙の比較政治学――変革期の制度形成とその帰結』(共編著、勁草書房、2013年)、『引き裂かれた国家――旧ユーゴ地域の民主化と民族問題』(有信堂高文社、2003年)。

小宮山 英明(こみやま・ひであき)
国際協力機構長期専門家
クロアチアで災害軽減プロジェクトに従事。専門はプロジェクト管理・防災。

小山 洋司(こやま・ようじ)
新潟大学名誉教授
専攻:比較経済体制論、東欧経済論
主な著書:『南東欧経済図説』(東洋書店、2010年)、『EUの東方拡大と南東欧――市場経済化と小国の生き残り戦略』(ミネルヴァ書房、2004年)、『ユーゴ自主管理社会主義の研究――1974年憲法体制の動態』(多賀出版、1996年)。

齋藤 厚(さいとう・あつし)
在クロアチア日本大使館一等書記官
専攻:政治社会論、バルカン地域研究
主な論文:「スロヴェニアにおける政党政治とポピュリズム――スロヴェニア社会民主党の右派政党化をめぐって」(『スラヴ研究』第52号、2005年)、「現代クロアチアの文化ナショナリズム」(『ロシア研究』第34号、2002年)、「ボスニア語の形成」(『スラヴ研究』第48号、2001年)。

定形 衛(さだかた・まもる)
名古屋大学大学院法学研究科教授
専攻:旧ユーゴスラヴィア外交史
主な著書:「戦争の記憶と子ども」(初瀬龍平ほか編『国際関係の中の子ども』御茶の水書房、2009年)、「西バルカンとEU/NATO」(羽場久美子ほか編『ヨーロッパの東方拡大』岩波書店、2006年)。

柴 宜弘(しば・のぶひろ) ※編著者紹介を参照(個別ページリンク)

下岡シティグリッチ万寿美(しもおか・してぃぐりっち・ますみ)
1970年秋からザグレブで暮らす。1992年のクロアチア独立、その後の内戦期も現地で経験。生け花を教えたり、通訳の仕事などを経て、現在は主婦業のかたわらツアーガイドやテレビ番組のコーディネーターの仕事をしている。

鐸木 道剛(すずき・みちたか)
岡山大学大学院社会文化科学研究科教授
専攻:美術史
主な著書・論文:『山下りん研究』(岡山大学文学部研究叢書、2013年)、「スラヴ文化のなかのイコン」(原暉之編集代表『講座スラヴの世界1 スラヴの文化』弘文堂、1996年)、『イコン――ビザンティン世界からロシア、日本へ』(共著、毎日新聞社、1993年)。

玉木 修(たまき・おさむ)
京都大学大学院博士後期課程、元ザグレブ大学講師
専攻:旧ユーゴスラヴィア地域を中心とした近現代教育史
主な論文:「19世紀クロアチア教育界におけるヨシップ・クリジャンの活動と思想の意義」(『東欧史研究』33号、2011年)。

月村 太郎(つきむら・たろう)
同志社大学政策学部教授
専攻:国際政治史
主な著書:『民族紛争』(岩波書店、2013年)、『ユーゴ内戦――政治リーダーと民族主義』(東京大学出版会、2006年)、『オーストリア=ハンガリーと少数民族問題――クロアティア人・セルビア人連合成立史』(東京大学出版会、1994年)。

戸谷 浩(とや・ひろし)
明治学院大学国際学部教授
専攻:近世ハンガリー史
主な著書:「帝国の南辺が作られる――軍政国境地帯の性格の転換と近代」(篠原琢・中澤達哉編『ハプスブルク帝国政治文化史――継承される正統性』昭和堂、2012年)、「ハプスブルクとオスマン」(南塚信吾編『ドナウ・ヨーロッパ史』山川出版社、1999年)、『ハンガリーの市場町――羊を通して眺めた近世の社会と文化』(彩流社、1998年)。

三谷 惠子(みたに・けいこ)
東京大学大学院人文社会系研究科教授
専攻:言語学・スラヴ語学
主な著書・訳書:メシャ・セリモヴィッチ『修道師と死』(翻訳、松籟社、2013年)、『スラヴ語入門』(三省堂、2011年)、ミロラド・パヴィッチ『帝都最後の恋』(翻訳、松籟社、2009年)。

ミルナ・ポトコワツ・エンドリゲッティ(Mirna Potkovac-Endrighetti)
日本文学研究家・翻訳家
島崎藤村、大江健三郎、吉本ばなな等の作品、ならびに田中一生編集による「日本現代文学短編集」を日本語からクロアチア語に翻訳、2012年には夏目漱石『草枕』を翻訳・出版した。

門間 卓也(もんま・たくや)
在クロアチア日本大使館専門調査員、東京大学大学院総合文化研究科博士課程
専攻:大戦間期クロアチア政治文化
主な論文:「ユーゴスラヴィア王国における『農民』の表象――クルスト・ヘゲドゥシチの『ポドラヴィナのモティーフ集』の分析から」(『スラヴ学論集』第16号、2013年)、「『第一のユーゴスラヴィア』における『暴力の文脈』――議会闘争内部におけるナショナリズムの政治的機能(1918-1928年)」(『ロシア・東欧研究』第41号、2012年)。

安江・グムホルド・レナータ(やすえ・ぐむほるど・れなーた)
東京大学教養学部非常勤講師

矢田 侑三(やだ・ゆうぞう)
元ザグレブ大学哲学部日本学科講師
専攻:日本語教育

山崎 信一(やまざき・しんいち)
東京大学教養学部・東京外国語大学非常勤講師
専攻:旧ユーゴスラヴィアを中心とするバルカン地域の現代史
主な著書・論文:「イデオロギーからノスタルジーへ――ユーゴスラヴィアにおける音楽と社会」(柴宜弘ほか編『東欧地域研究の現在』山川出版社、2012年)、「ナショナリズムとユーゴスラヴィア理念の相克――『セルビア・クロアチア語』を中心に」(桑野隆、長與進編著『ロシア・中欧・バルカン世界のことばと文化』成文堂、2010年)、『映画『アンダーグラウンド』を観ましたか?――ユーゴスラヴィアの崩壊を考える』(共著、彩流社、2004年)。

 はじめに


Ⅰ 国土と民族の成り立ち

第1章 国土とシンボル――歴史的・地理的な多様性
第2章 首都ザグレブ――900年の歴史を誇る「中欧」の古都
 【コラム1】鉄道事情―歴史と課題
第3章 アドリア海――観光資源としての海岸と島々
第4章 民族的起源にまつわる諸学説――クロアチア人のルーツを求めて
第5章 「民族王朝」の時代――トルピミロヴィチ朝の盛衰
第6章 ドゥブロヴニク共和国――中世都市国家の興亡
第7章 ズリンスキ兄弟とイェラチッチ――ハンガリーに奉じた英雄とハンガリーに抗した英雄
 【コラム2】セニのウスコクと軍政国境
 【コラム3】石の壁・人の壁・文明の壁――クロアチアとオスマン帝国の間にあったもの
第8章 フランス統治下のクロアチア――ナポレオンとイリリア諸州


Ⅱ クロアチアの近現代

第9章 イリリア運動――クロアチア民族再生の時代
第10章 1848年革命期のクロアチア――イェラチッチ総督と「諸国民の春」
第11章 「ナゴドバ」期のクロアチア――ハンガリーの辺境からユーゴ王国の建国へ
第12章 南スラヴ統一主義とユーゴスラヴィア建国――集権制成立の経緯
第13章 ラディチとクロアチア問題――「民族問題」を問いかける
第14章 クロアチア自治州――連邦的再編の試み?
第15章 「クロアチア独立国」――傀儡国家の実態
第16章 チトーとパルチザン――社会主義ユーゴスラヴィアの基礎
第17章 社会主義建設とクロアチア――ナショナリズムの抑圧と反発
 【コラム4】トリエステ問題とクロアチア
第18章 「クロアチアの春」――ユーゴスラヴィアに対するクロアチア人の民族運動


Ⅲ 政治・経済・国際関係

第19章 体制転換とクロアチア・ナショナリズム――トゥジマン政権の成立とその権威主義化
第20章 クロアチア内戦の末――クロアチア民族主義とセルビア人
第21章 「ザグレブ危機」――地方自治制度と分権化問題
第22章 政権交代と民主化――トゥジマン体制の崩壊と民主制の定着
 【コラム5】独立後の政治と歴史教科書
第23章 EU加盟問題――「バルカン」から「ヨーロッパ」へ
第24章 国防とNATO加盟――「祖国戦争」から国際協力へ
第25章 対外政策――EU・NATO加盟と南東欧地域協力
第26章 スロヴェニアとの海洋境界――独立以前にはなかった新たな問題
第27章 ICTYへの対応――クロアチア民族主義とヨーロッパ・アイデンティティー
第28章 産業構造と経済の諸問題――第二のギリシャ?


Ⅳ 人々の暮らし

第29章 人の一生――通過儀礼と教会
第30章 祝祭日――伝統の祭日と現代の祝日
第31章 歌と踊り――「ウ・ボイ」からドルメシュまで
第32章 宗教と俗信――スラヴ語典礼と自然崇拝
第33章 民具と民俗衣装――素朴と洗練
第34章 食文化――無形文化財の日常食
第35章 家族――家庭生活の今昔
 【コラム6】市民の生活
第36章 教育事情――高等教育の標準化と多極化
 【コラム7】ザグレブ大学窓便り


Ⅴ 言葉と文化

第37章 言語――標準語と方言
第38章 文字と言語文化――三文字文化の歴史と伝統
第39章 文学は国境を越えて――クロアチアと文学史
第40章 クロアチアの5人の魔女――現代クロアチアの女性作家たち
 【コラム8】クロアチアの俳句
第41章 マスメディア――東欧諸国から10年遅れた自由化
第42章 映画――遠く離れた国を知るための方法
第43章 音楽――多様性の豊かさ
第44章 ザグレブ・フィル、今昔物語――ユーゴからクロアチアへ。激動の中を生きるオーケストラ
第45章 美術――近代クロアチアの国民画家ヴラホ・ブコヴァツ
第46章 「ザグレブ派」のアニメーション作家たち――小さなザグレブから世界へ
第47章 世界に広がる「チェスボード模様」――スポーツ大国クロアチア
 【コラム9】クロアチア発のファッション?―ネクタイ


Ⅵ マイノリティとディアスポラ

第48章 クロアチアの少数民族――概観と法的地位
第49章 「共存」と「対立」のタペストリー――「セルビア人問題」の歴史と現状
第50章 イストリア地域運動――イストリア民主会議とアドリア海ユーロリージョン
 【コラム10】ブルゲンラント・クロアチア人
第51章 ディアスポラ――世界に広がるクロアチア系の人々のコミュニティ
第52章 ボスニア・ヘルツェゴヴィナのクロアチア人――異なる宗教会派と家族形態
第53章 越境する人々――移民と難民を中心に


Ⅶ 日本とのかかわり

第54章 明治以前の日本・クロアチア交流史――イエズス会と日本
第55章 明治・大正期のクロアチアと日本――文化交流の黎明期
第56章 「ウ・ボイ」をめぐって――男声合唱団の愛唱歌
第57章 「クロアチア独立国」日本公使館――戦時下に架けられた同盟の絆
 【コラム11】クロアチアにとっての日本
第58章 日本研究――沿革と現在
 【コラム12】クロアチアにおける日本文学の受容
 【コラム13】クロアチアと日本の架け橋として
第59章 日本のNGOの活動――ジェン(JEN)と難民を助ける会(AAR)の活動から
 【コラム14】国連平和維持活動の思い出
第60章 貿易と経済交流――マグロと観光が結ぶ絆

 クロアチア略年表
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