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医療アクセスとグローバリゼーション
本体4,300円+税
ISBN 9784750337951
判型・ページ数 A5・200ページ
出版年月日 2013/03/29

医療アクセスとグローバリゼーション

フィリピンの農村地域を事例として

フィリピン中山間地域における調査をもとに、低所得層の人びとが生活基盤の剥奪によって健康を蝕まれるのみならず、医療のグローバル化により構築された収奪システムに組みこまれ、医療市場内でいっそう困窮し、健康回復が困難となる現状を鋭く分析する。

 まえがき
 フィリピン全土図
 略語一覧

序章
 はじめに
 第1節 フィリピンそしてトリニダッド村との出会い
 第2節 村人たちが抱える苦悩
 第3節 通説と現実の相違
 第4節 本書の構成

第1章 グローバリゼーション研究と平和学的視点
 はじめに
 第1節 用語の確認
  1 「医療」
  2 「医療アクセス」
  3 健康
  4 経済のグローバル化
 第2節 構造調整プログラム(SAPs)の「医療」への影響
  1 フィリピンに導入されたSAPs
  2 SAPsの問題点と提案される政策
  3 SAPs・地方分権化・「医療」制度改革
 第3節 TRIPS の「医療」への影響
  1 TRIPS・TRIPS-plus とは
  2 TRIPS・ジェネリック法・医薬品販売戦略
  3 医薬品価格是正と並行輸入
  4 医薬品価格是正と地場産業育成
 第4節 フィリピン人看護師国際労働移動の「医療」への影響
  1 通説となっている看護師国際労働移動の問題点
  2 看護師国際労働移動の現状
  3 看護師国際労働移動の背景
  4 フィリピン国内の看護師需給
  5 看護師国際労働移動への対応策
  6 通説の検討:現地調査から
 第5節 経済のグローバル化の「医療」への影響はどのように語られてきたか
 第6節 平和学的視点からみる理由
  1 なぜ平和学的視点なのか
  2 平和学のキーワード
  3 具体的な研究方法
 第7節 研究の範囲
 第8節 小括

第2章 「医療アクセス」の検討
 はじめに
 第1節 「ケイパビリティ・アプローチ」と「医療アクセス」
  1 「ケイパビリティ・アプローチ」
  2 「ケイパビリティ・アプローチ」と人間開発指数
  3 なぜ農村地域低所得層の実態は不可視化されたのか
 第2節 政治的道具としての「医療」の進展
  1 反共政策としての「医療」・反体制側による「医療」
  2 政治的立場によって左右される農村地域低所得層の生命
 第3節 「医療」提供体制の構築
  1 「医療」提供体制における中央政府・地方自治体の役割
  2 病院分類と「医療」従事者数基準
  3 「医療」保険制度と健康保険証保有率
  4 低所得層「医療」費免除制度
  5 「医療」提供のしくみ
  6 「医療」機器・技術の高度化
  7 地域初期「医療」病院(Community Primary Hospital)
  8 バランガイ薬品店(Botika ng Barangay)
 第4節 「医療アクセス」推進の結果
  1 受診行動の変化
  2 「医療」施設利用状況の変化
  3 「医療」費患者負担額の変化
 第5節 小括:「医療アクセス」は農村地域低所得層に何をもたらしたのか

第3章 「医療」にまつわる神話の真実:トリニダッド村の人びとの事例から
 はじめに
 第1節 東ネグロス州ギフルガン市トリニダッド村の概要
  1 地理・人口・仕事
  2 トリニダッド村の歴史
  3 トリニダッド村の行政と公共機関
  4 紛争・国軍から一般市民への暴力
  5 トリニダッド村の農業
  6 トリニダッド村の人びとの借金
 第2節 健康指標と環境要因
  1 健康指標
  2 結核罹病率と妊産婦死亡率の増加傾向
  3 「医療」施設分娩推進の信憑性
  4 健康保持が困難な環境
 第3節 暴力と化した「医療」
  1 村人の経験
  2 「腐敗システム」
  3 「高額医薬品・サプリメント販売システム」
  4 「非公式高利貸しシステム」
 第4節 トリニダッド村の人びとの抵抗
  1 マウンテン・クリニックの歴史:支援から自力更生へ
  2 マウンテン・クリニックと村人の活動
  3 自力更生努力を阻止するもの
 第5節 小括

終章
 第1節 各章の概要
 第2節 結論
 第3節 なぜこんなことになったのか
 第4節 エクスポージャーの可能性

 あとがき
 【参考文献】

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