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現代イラクを知るための60章
本体2,000円+税
ISBN 9784750337777
判型・ページ数 4-6・368ページ
出版年月日 2013/03/15

現代イラクを知るための60章

権威主義が潰えた一方、国際社会からの孤立、うち続いた戦闘やテロによって、イラクは“ポテンシャル”開花の機会を失っていた。大河が育んだ文明、多様な民族が織りなす歴史と文化、生産力の高い灌漑農業、石油が支える経済、高度な教育。この国のもつ可能性と希望ある未来を多面的に描き出す。

 巻頭言
 はじめに
 イラク地図〔都市と地理〕
 イラク地図〔行政区〕


I 国の成り立ち――地誌と歴史

第1章 河と砂と山の国――イラクの地理
第2章 モザイク社会――複雑な民族・宗派構成
第3章 チグリス・ユーフラテス河の恵みとともに――危機にさらされる南部湿原地帯
第4章 乾いた国のアツい農業と水利用――国際河川流域国としてのイラク
第5章 農業国から産油国へ――生業の歴史
第6章 メソポタミア文明とシュメール――古代イラクの文明概観
第7章 メソポタミア考古学の成立――考古地理と諸国の貢献
第8章 黄金期のイスラーム帝国――アッバース朝
第9章 バグダードの栄枯盛衰――多文化社会を生んだ南部移民
第10章 独自性を誇る南と北の都市――バスラとモスル


II 繰り返される戦争と苦難

第11章 不毛な戦争――イラン・イラク戦争
第12章 クウェート解放からアメリカの新世界秩序へ――湾岸戦争
 【コラム1】捕虜になった日本人――湾岸危機のエピソード
第13章 解除されなかった制裁――1990~2003年の国連経済制裁
第14章 イラク戦争と泥沼化する米国の対イラク政策――踏みにじられた国際法
第15章 消えない負の遺産――経済制裁の今日的影響
第16章 向けられた大きな期待――イラクの戦後復興と日本の役割
第17章 劣化ウラン弾被害者に支援の手を――声なき声に耳を澄まして
第18章 政治に翻弄される文化遺産――アイデンティティの保存と継承


III 建国から現在まで

第19章 脆弱な国家の始まり――英国の委任統治とイラク建国
第20章 翻弄された王制――激動の中東政治とファイサル政権
 【コラム2】砂漠の女王――ガートルード・ベル
 【コラム3】作られた英雄像――アラビアのロレンス
 【コラム4】流浪の王――ファイサル国王
第21章 1958年共和革命とカーシム政権――軍人政治の始まり
第22章 一党独裁制からフセインの個人独裁へ――バアス党政権
 【コラム5】イラクの独裁者――サダム・フセイン
第23章 革命と亡命、そして地下活動――イスラーム主義運動の政治史
第24章 トロイの木馬――戦後イラクのイスラーム主義政権の現状と課題
 【コラム6】ムクタダ・サドル――戦後イラク政治を左右する男


IV 文化と生活

第25章 黄金時代を取り戻せ――イラク近現代教育史序説
第26章 大統領の芸術家――芸術と映画
第27章 歌曲の匠――イラク音楽概観
第28章 アラブらしさとらしくなさ――イラクの料理
第29章 詩の国の作家たち――現代の文学
第30章 都市の住まい、地方の住まい――近代化と都市化が変える建築様式
第31章 スポーツの新しい幕開け――イラク戦争後の変化と新たな課題
第32章 国家に支配されたメディア――新聞・テレビ事情
 【コラム7】インターネットとSNS――膨張する公共空間


V 社会の基層にあるもの

第33章 政治的安定の鍵を握る部族――イラク社会における位置づけとその変容
第34章 砂漠の民――政治を動かした西部地帯の部族・遊牧民
第35章 「人工国家」――宗派と民族は本当に対立しているのか
第36章 イマームに思いをはせて――シーア派宗教行事の政治社会的役割
第37章 台頭するシーア派宗教界――その政治社会的役割
第38章 女性の社会進出――宗教、そして戦争
第39章 政治に向かう青年――ナショナリズム、左派運動、イスラーム主義


VI 統治機構

第40章 よみがえった亡霊――「人工国家」と国民はいかに統合されてきたのか
第41章 2つのナショナリズム――汎アラブとイラク一国主義の間で
第42章 「恐怖の共和国」――バアス党政権の支配メカニズム
第43章 イスラーム国家を樹立せよ――オルタナティブな国家構想
第44章 権威主義体制の遺産――戦後イラクの民主主義体制


VII クルド民族の歩んだ道

第45章 豊かなる辺境――クルディスタンの地理概観
第46章 辺境の歴史――クルディスタンの近現代
第47章 クルディスタンの山に抱かれて生きる――人々、生活、文化
第48章 契約を求め続けた民族闘争――クルドと中央政府の軋轢の歴史
第49章 もうひとつのイラク――戦後の繁栄とその影


VIII 石油に支えられた経済

第50章 列強支配からの脱却――石油が国有化されるまで
第51章 飛躍できなかった石油産業――戦争と制裁に阻まれた開発
第52章 石油は誰のものか――中央政府と地域政府の熾烈な綱引き
第53章 「最後の楽園」での石油開発――イラク石油開発の現状
第54章 石油依存と負の遺産――直面する経済課題


IX 外交

第55章 イラクを取り巻く国際関係――米国の「くそったれの息子」
第56章 孤立するイラク――冷え切ったアラブ諸国との関係
第57章 近くて遠い隣国どうし――イランから見たイラク
第58章 超大国との複雑で特別な関係――米国とイラク
第59章 経済復興への貢献が最優先――戦後イラクの外交政策
第60章 「友好の貯金」を胸に――日本とイラク
 【コラム8】活躍した日本企業――1970~1980年代のイラク進出
 【コラム9】Imagine IRAQ '70s――写真展「イマジン・イラク」プロジェクト
 【コラム10】アカデミアの架け橋――日本とイラクの学術交流


 あとがき
 現代イラクを知るための文献案内

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