本体8,800円+税
ISBN | 9784750337340 |
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判型・ページ数 | A5・592ページ |
出版年月日 | 2012/12/10 |
セネガル・漁民レブーの宗教民族誌
スーフィー教団ライエンの千年王国運動
盛 恵子 著
19世紀末に出現したスーフィー教団ライエンの歴史的背景から、それを生み出したレブーの社会の文化的特徴を微視的系譜分析から検討する。筆者は通算21カ月にも及ぶ一部現地語のウォロフ語を用いた詳細な調査から、その出現・発展を「千年王国運動」と評価する。
序
1 研究の視点と目的
2 レブーの宗教的便宜主義
3 研究の方法――微視的系譜分析
4 構成
第Ⅰ部 ライエン教団
第1章 セネガルのイスラームとレブー
1節 セネガルのイスラーム
1 セネガルのイスラーム化とその歴史的背景
2 スーフィズムとスーフィー教団
3 セリニュ・聖者崇拝・護符・イスラームの魔術
2節 レブー
1 レブーの歴史
2 レブーの移住
3 レブーのイスラーム化
3節 レブーの先祖であるウォロフとセレール
4節 ライエン教団成立の地ヨフ
第2章 ライエン教団の概要
1節 ライエン教団の成立
1 ライエン教団に関する基本文献
2 リマーム・ライの生涯
3 リマームという名の由来にまつわる伝承
4 リマーム・ライの後継者たち
2節 聖域ライエン街区
3節 ライエン教団の規模と勢力範囲
第3章 ライエン教団の信仰内容
1節 マフディズム
1 終末のマフディー
2 厳格主義
2節 レブーの伝統文化との連続性が認められる要素
1 預言者ムハンマドの転生
2 レブーとレブーの土地の聖化
3 レブーのラップ信仰と共通する要素
3節 キリスト教の要素
1 イエス・キリストの転生
2 イサ・ライとキリスト教徒の出会い
3 イスラームとキリスト教の統合・止揚の表象としての親子
第4章 ライエン教団の宗教活動
1節 ジャング―「歌合戦」を伴う宗教集会
1 ジャングの概要
2 ンドゥップ儀礼における歌・踊り・失神
3 ライエン教団の「歌合戦」とンドゥップ儀礼に共有されるもの
2節 祭りと聖地参詣
第5章 ライエニズムに先行する信仰復興運動の歴史
1節 信仰復興運動
2節 ジハード
1 信仰復興運動の手段としてのジハード
2 リマーム・ライに到る西アフリカのジハード
3節 軍事的ジハードの実際
4節 イマームとアミール・アル=ムウミニーン
5節 マフディーの待望
6節 ヒジュラ
7節 信仰復興運動とヨーロッパ勢力
第Ⅰ部のまとめ
第Ⅱ部 ゲイ家の微視的系譜分析
第1章 レブーの親族名称と二重単系出自
1節 レブーの親族名称
2節 レブーの二重単系出自
1 ヘート
2 アスカン
3 ビールとメーン、ゲニョ
4 レブー社会の母系的要素と父系的要素
第2章 ゲイ家のファミリー・ヒストリー(1)
はじめに
1節 ヨフ、ンデナット街区のゲイ家
2節 ゲイ家の住人とその素描
1 マタール・ゲイとママドゥ・ガイ、そして二人の妻
2 マタール・ゲイの子供たち
3 マタール・ゲイの孫たち
4 ゲイ家の婚入女性たち
5 ゲイ家を取り巻く人たち
第3章 ゲイ家のファミリー・ヒストリー(2)―ゲイ家の六〇年
1節 六〇年前のゲイ家
2節 ゲイ家の居住
1 母方オジの家屋敷への息子の移動
2 母系社会の「難題」
3 婚出しない妻たちを介する居住様式の交代
4 家屋敷の長
5 人口の増大
3節 マタール・ゲイとその子孫たちの職業
1 男性の職業
2 女性の職業
4節 レブーと土地
1 伝統的な土地所有
2 ネーグ・ンデイからアラル・バーイへ
3 植民地時代における土地
4 「登録されていない土地」の国有化
5 土地問題の解釈をめぐって
第Ⅱ部のまとめ
第Ⅲ部 親族集団の過去・現在・未来を結ぶ二つの紐帯
第1章 親族関係とその伝達・維持・更新
1節 レブーの系譜
1 ウォロフの系譜とレブーの系譜
2 系譜をめぐる状況
3 系譜記憶の実際
4 レブーの伝統的な型の系譜
5 父系をたどる系譜
6 系譜を記憶することの意義
7 系譜を記憶する方法と記憶する意志
8 レブーの系譜は神話的ではない
まとめ
2節 ニジャーイ=ジャルバート関係
1 ニジャーイとジャルバート
2 ヨフにおけるニジャーイ=ジャルバート関係
3 重層的なニジャーイ=ジャルバート関係
まとめ
3節 レブーの結婚
1 レブー同士の結婚
2 レブーの語る結婚
3 外婚について
4 親族内の結婚
5 繰り返される結婚
4節 命名システムとトゥランドー関係
1 命名式
2 トゥランドー(turandoo)
3 名付けのシステムとその意味
4 ゲイ家の事例
5 友好関係を結ぶ積極的手段としての名付け
まとめ
5節 子供の委託
1 子供の委託の型
2 子供の委託の事例
3 ライエン聖者をめぐる子供の委託
第2章 親族集団と精霊ラップ
1節 レブーのラップ信仰(1)
1 ラップとトゥール、ジネ、セイターネ
2 ラップと人間の関係
3 レブーのラップ像
4 ラップに与えられる供物
5 カプ・ベール半島の守護トゥールたち
6 ラップと人間の出会い
7 誉め歌
8 ラップに攻撃される場合
9 ラップの病気の症状
10 ラップの病気の治療
11 ラップの祭壇ハンブ
12 祭壇ハンブの管理
13 ラップの祭司ンドゥップカット
14 ラップに対する供物提供の儀礼トゥールー
15 ラップ信仰に対する態度
2節 レブーのラップ信仰(2)――マム・ンゴール・ジューフの祭壇をめぐって
1 ゲイ家の祭壇ハンブに祀られるラップたち
2 発端
3 マム・ンゴール・ジューフの攻撃
4 マム・ンゴール・ジューフの継承
5 ラップ継承のいろいろ
6 ゲイ家の祭壇ハンブの管理者
7 ゲイ家の「親族集団のトゥールー」
8 ゲイ家の「親族集団のトゥールー」の参加者について
3節 ヨフの守護トゥールと共同体のトゥールーの司宰権
1 ヨフの守護トゥール、マム・ンジャレにまつわる伝承
2 共同体のトゥールーの司宰権の継承が喚起する問題
レブーのラップ信仰のまとめ
4節 転生
1 転生する先祖
2 ゲイ家とその周囲の人々が語る転生
第Ⅲ部のまとめ
第Ⅳ部 親族集団と役職の継承
第1章 レブーの伝統的役職とその継承
1節 ヨフの伝統的な役職
1 ヨフの政治組織の起源
2 政治的役職の母系クラン、ヘートへの割り当て
3 三つの政治的役職と三つの議会
4 現在の役職者たち
5 役職者の就任儀礼
6 役職候補者の指名
7 母系におけるタイトルの継承――スンバール・ヘートのサルティゲの事例
8 伝統的政治組織と土地問題
9 「共和国」としての村落
まとめ
2節 セリニュ・ンダカルとその継承
1 レブーの独立戦争とセリニュ・ンダカルの創設
2 「レブー共和国」
3 「レブー共和国」は「神権国家」だったのか?
4 セリニュ・ンダカルの選出とその権力の制限
5 セリニュ・ンダカルとフランス人
6 セリニュ・ンダカルの継承
7 セリニュ・ンダカルの就任儀礼
8 セリニュ・ンダカルはなぜ創設されたか
9 ライエン教団との関係
まとめ
3節 金曜モスクのイマーム・ラーティブの継承
1 ヨフのレイ家の起源
2 イマーム・ラーティブの継承
3 イスラームとラップ信仰の間を行き来する人々
まとめ
第2章 レブーの二重単系出自と宗教的便宜主義
1 イサ・ライの擬制的息子となったイサ・チャウ
2 イマーム・ラーティブであるエリマン・レイとンドゥップカット集団の長アラム・レイ
3 二重単系出自と「リネージの遺産」
4 母を同じくする兄弟姉妹の団結が意味するもの
まとめ
第3章 ライエン教団をめぐる系譜
1節 リマーム・ライの系譜的背景
1 リマーム・ライの先祖と両親
2 リマーム・ライの妻たち
2節 リマーム・ライの息子たち
1 カリフ・ジェネラルのヘート
2 父を共有する兄弟(doomu-baay)の間の関係
3 母系リネージを共有するキョウダイ(doomu-ndey)の間の関係
3節 カリフ・ジェネラルの継承
1 カリフ・ジェネラル
2 カリフ・ジェネラルの継承規則
4節 ライエン聖者の結婚
1 セリニュにとっての結婚の重要性
2 聖者の親族関係に対する一般信徒の関心
3 ライエン聖者の結婚の事例
5節 慣習的な教団所属とライエン教団への宗旨替え
1 宗旨替えとは何か
2 宗旨替えの動機と事例
第Ⅳ部のまとめ
結論 千年王国運動としてのライエニズム
1 千年王国運動
2 レブーの千年王国運動
3 ライエニズム出現の背景
4 ライエニズムがもたらす救済
5 ライエニズムの今日的意義
6 セイディナ・リマーム・ライ・アル・マフディー
(資料1)精霊ラップの誉め歌バック(bakk)
(資料2)ゲイ家の「親族集団のトゥールー」
(資料3)年表
あとがき
参照文献
図表一覧
索引
1 研究の視点と目的
2 レブーの宗教的便宜主義
3 研究の方法――微視的系譜分析
4 構成
第Ⅰ部 ライエン教団
第1章 セネガルのイスラームとレブー
1節 セネガルのイスラーム
1 セネガルのイスラーム化とその歴史的背景
2 スーフィズムとスーフィー教団
3 セリニュ・聖者崇拝・護符・イスラームの魔術
2節 レブー
1 レブーの歴史
2 レブーの移住
3 レブーのイスラーム化
3節 レブーの先祖であるウォロフとセレール
4節 ライエン教団成立の地ヨフ
第2章 ライエン教団の概要
1節 ライエン教団の成立
1 ライエン教団に関する基本文献
2 リマーム・ライの生涯
3 リマームという名の由来にまつわる伝承
4 リマーム・ライの後継者たち
2節 聖域ライエン街区
3節 ライエン教団の規模と勢力範囲
第3章 ライエン教団の信仰内容
1節 マフディズム
1 終末のマフディー
2 厳格主義
2節 レブーの伝統文化との連続性が認められる要素
1 預言者ムハンマドの転生
2 レブーとレブーの土地の聖化
3 レブーのラップ信仰と共通する要素
3節 キリスト教の要素
1 イエス・キリストの転生
2 イサ・ライとキリスト教徒の出会い
3 イスラームとキリスト教の統合・止揚の表象としての親子
第4章 ライエン教団の宗教活動
1節 ジャング―「歌合戦」を伴う宗教集会
1 ジャングの概要
2 ンドゥップ儀礼における歌・踊り・失神
3 ライエン教団の「歌合戦」とンドゥップ儀礼に共有されるもの
2節 祭りと聖地参詣
第5章 ライエニズムに先行する信仰復興運動の歴史
1節 信仰復興運動
2節 ジハード
1 信仰復興運動の手段としてのジハード
2 リマーム・ライに到る西アフリカのジハード
3節 軍事的ジハードの実際
4節 イマームとアミール・アル=ムウミニーン
5節 マフディーの待望
6節 ヒジュラ
7節 信仰復興運動とヨーロッパ勢力
第Ⅰ部のまとめ
第Ⅱ部 ゲイ家の微視的系譜分析
第1章 レブーの親族名称と二重単系出自
1節 レブーの親族名称
2節 レブーの二重単系出自
1 ヘート
2 アスカン
3 ビールとメーン、ゲニョ
4 レブー社会の母系的要素と父系的要素
第2章 ゲイ家のファミリー・ヒストリー(1)
はじめに
1節 ヨフ、ンデナット街区のゲイ家
2節 ゲイ家の住人とその素描
1 マタール・ゲイとママドゥ・ガイ、そして二人の妻
2 マタール・ゲイの子供たち
3 マタール・ゲイの孫たち
4 ゲイ家の婚入女性たち
5 ゲイ家を取り巻く人たち
第3章 ゲイ家のファミリー・ヒストリー(2)―ゲイ家の六〇年
1節 六〇年前のゲイ家
2節 ゲイ家の居住
1 母方オジの家屋敷への息子の移動
2 母系社会の「難題」
3 婚出しない妻たちを介する居住様式の交代
4 家屋敷の長
5 人口の増大
3節 マタール・ゲイとその子孫たちの職業
1 男性の職業
2 女性の職業
4節 レブーと土地
1 伝統的な土地所有
2 ネーグ・ンデイからアラル・バーイへ
3 植民地時代における土地
4 「登録されていない土地」の国有化
5 土地問題の解釈をめぐって
第Ⅱ部のまとめ
第Ⅲ部 親族集団の過去・現在・未来を結ぶ二つの紐帯
第1章 親族関係とその伝達・維持・更新
1節 レブーの系譜
1 ウォロフの系譜とレブーの系譜
2 系譜をめぐる状況
3 系譜記憶の実際
4 レブーの伝統的な型の系譜
5 父系をたどる系譜
6 系譜を記憶することの意義
7 系譜を記憶する方法と記憶する意志
8 レブーの系譜は神話的ではない
まとめ
2節 ニジャーイ=ジャルバート関係
1 ニジャーイとジャルバート
2 ヨフにおけるニジャーイ=ジャルバート関係
3 重層的なニジャーイ=ジャルバート関係
まとめ
3節 レブーの結婚
1 レブー同士の結婚
2 レブーの語る結婚
3 外婚について
4 親族内の結婚
5 繰り返される結婚
4節 命名システムとトゥランドー関係
1 命名式
2 トゥランドー(turandoo)
3 名付けのシステムとその意味
4 ゲイ家の事例
5 友好関係を結ぶ積極的手段としての名付け
まとめ
5節 子供の委託
1 子供の委託の型
2 子供の委託の事例
3 ライエン聖者をめぐる子供の委託
第2章 親族集団と精霊ラップ
1節 レブーのラップ信仰(1)
1 ラップとトゥール、ジネ、セイターネ
2 ラップと人間の関係
3 レブーのラップ像
4 ラップに与えられる供物
5 カプ・ベール半島の守護トゥールたち
6 ラップと人間の出会い
7 誉め歌
8 ラップに攻撃される場合
9 ラップの病気の症状
10 ラップの病気の治療
11 ラップの祭壇ハンブ
12 祭壇ハンブの管理
13 ラップの祭司ンドゥップカット
14 ラップに対する供物提供の儀礼トゥールー
15 ラップ信仰に対する態度
2節 レブーのラップ信仰(2)――マム・ンゴール・ジューフの祭壇をめぐって
1 ゲイ家の祭壇ハンブに祀られるラップたち
2 発端
3 マム・ンゴール・ジューフの攻撃
4 マム・ンゴール・ジューフの継承
5 ラップ継承のいろいろ
6 ゲイ家の祭壇ハンブの管理者
7 ゲイ家の「親族集団のトゥールー」
8 ゲイ家の「親族集団のトゥールー」の参加者について
3節 ヨフの守護トゥールと共同体のトゥールーの司宰権
1 ヨフの守護トゥール、マム・ンジャレにまつわる伝承
2 共同体のトゥールーの司宰権の継承が喚起する問題
レブーのラップ信仰のまとめ
4節 転生
1 転生する先祖
2 ゲイ家とその周囲の人々が語る転生
第Ⅲ部のまとめ
第Ⅳ部 親族集団と役職の継承
第1章 レブーの伝統的役職とその継承
1節 ヨフの伝統的な役職
1 ヨフの政治組織の起源
2 政治的役職の母系クラン、ヘートへの割り当て
3 三つの政治的役職と三つの議会
4 現在の役職者たち
5 役職者の就任儀礼
6 役職候補者の指名
7 母系におけるタイトルの継承――スンバール・ヘートのサルティゲの事例
8 伝統的政治組織と土地問題
9 「共和国」としての村落
まとめ
2節 セリニュ・ンダカルとその継承
1 レブーの独立戦争とセリニュ・ンダカルの創設
2 「レブー共和国」
3 「レブー共和国」は「神権国家」だったのか?
4 セリニュ・ンダカルの選出とその権力の制限
5 セリニュ・ンダカルとフランス人
6 セリニュ・ンダカルの継承
7 セリニュ・ンダカルの就任儀礼
8 セリニュ・ンダカルはなぜ創設されたか
9 ライエン教団との関係
まとめ
3節 金曜モスクのイマーム・ラーティブの継承
1 ヨフのレイ家の起源
2 イマーム・ラーティブの継承
3 イスラームとラップ信仰の間を行き来する人々
まとめ
第2章 レブーの二重単系出自と宗教的便宜主義
1 イサ・ライの擬制的息子となったイサ・チャウ
2 イマーム・ラーティブであるエリマン・レイとンドゥップカット集団の長アラム・レイ
3 二重単系出自と「リネージの遺産」
4 母を同じくする兄弟姉妹の団結が意味するもの
まとめ
第3章 ライエン教団をめぐる系譜
1節 リマーム・ライの系譜的背景
1 リマーム・ライの先祖と両親
2 リマーム・ライの妻たち
2節 リマーム・ライの息子たち
1 カリフ・ジェネラルのヘート
2 父を共有する兄弟(doomu-baay)の間の関係
3 母系リネージを共有するキョウダイ(doomu-ndey)の間の関係
3節 カリフ・ジェネラルの継承
1 カリフ・ジェネラル
2 カリフ・ジェネラルの継承規則
4節 ライエン聖者の結婚
1 セリニュにとっての結婚の重要性
2 聖者の親族関係に対する一般信徒の関心
3 ライエン聖者の結婚の事例
5節 慣習的な教団所属とライエン教団への宗旨替え
1 宗旨替えとは何か
2 宗旨替えの動機と事例
第Ⅳ部のまとめ
結論 千年王国運動としてのライエニズム
1 千年王国運動
2 レブーの千年王国運動
3 ライエニズム出現の背景
4 ライエニズムがもたらす救済
5 ライエニズムの今日的意義
6 セイディナ・リマーム・ライ・アル・マフディー
(資料1)精霊ラップの誉め歌バック(bakk)
(資料2)ゲイ家の「親族集団のトゥールー」
(資料3)年表
あとがき
参照文献
図表一覧
索引