ISBN | 9784750336770 |
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判型・ページ数 | 4-6・192ページ |
出版年月日 | 2012/10/01 |
教育における包摂と排除 もうひとつの若者論
若者にとって何が幸せなのか。繋がりをどのようにつくり、過去の何を記憶し、豊かな生を支える社会をどう構想すべきなのか。教育から排除されるマイノリティに目を凝らしつつ、国民統合を目的とする包摂の論理の外にある、若者の実存的な問いに向きあう試み。
【執筆者一覧】
石川 良子(いしかわ・りょうこ)
日本学術振興会特別研究員。著書に『ひきこもりの〈ゴール〉――「就労」でもなく「対人関係」でもなく』(青弓社、2007年)、論文に「ライフストーリー研究における調査者の経験の自己言及的記述の意義――インタビューの対話性に着目して」(『年報社会学論集』25号、2012年)など。
多賀 太(たが・ふとし)
関西大学文学部教授。博士(教育学)。著書に『男らしさの社会学――揺らぐ男のライフコース』(世界思想社、2006年)、編著に『揺らぐサラリーマン生活――仕事と家庭のはざまで』(ミネルヴァ書房、2011年)など。
末冨 芳(すえとみ・かおり)
日本大学文理学部准教授。著書に『教育費の政治経済学』(勁草書房、2010年)、論文に「義務教育の基盤としての教育財政制度改革」(日本教育学会『教育学研究』第79巻2号、2012年)など。
倉石 一郎(くらいし いちろう)
東京外国語大学大学院総合国際学研究院准教授。京都大学博士(人間・環境学)。著書に『包摂と排除の教育学――戦後日本社会とマイノリティへの視座』(生活書院、2009年。第4回日本教育社会学会奨励賞(著書の部)受賞作)、『差別と日常の経験社会学――解読する〈私〉の研究誌』(生活書院、2007年)。
福間 良明(ふくま・よしあき)
立命館大学産業社会学部准教授。博士(人間・環境学)。著書に『「戦争体験」の戦後史――世代・教養・イデオロギー』(中公新書、2009年)、『焦土の記憶――沖縄・広島・長崎に映る戦後』(新曜社、2011年)など。
井上 義和(いのうえ・よしかず)
帝京大学総合教育センター准教授。著書に『日本主義と東京大学――昭和期学生思想運動の系譜』(柏書房、2008年)、共編著に『ラーニング・アロン――通信教育のメディア学』(新曜社、2008年)など。
第1章 「ひきこもり」の当事者は何から排除されているのか――リアリティ定義の排除という視点(石川良子)
はじめに
1 「ひきこもり」支援の倫理原則とその欺瞞性
2 排除の現場に目を向ける――当事者へのインタビューから
おわりに
第2章 男子問題の時代?――ジェンダー構造の変化と男子論争(多賀太)
1 男子問題の時代?
2 西洋諸国における男子論争――学齢期への関心
3 日本における男子論争――青年期への関心
4 男子論争にどう向き合うか
第3章 学習塾への公的補助は正しいか?――社会的包摂と教育費(末冨芳)
1 問題設定
2 社会的包摂と教育
3 学習塾への公費支援の展開――東京都「チャレンジ支援貸付事業」を対象として
4 考察
第4章 包摂/排除論からよみとく日本のマイノリティ教育――在日朝鮮人教育・障害児教育・同和教育をめぐって(倉石一郎)
はじめに
1 教育制度のレベルでの包摂と排除――その入り組んだ関係
2 「福祉教員」の事例にみる包摂と排除
おわりに
第5章 「教育」「教養」の力学と被爆体験言説――永井隆と山田かんをめぐって(福間良明)
はじめに
1 永井隆作品のブームと山田かんの屈折
2 被爆体験論と教養の力学
おわりに
第6章 低学歴勤労青少年はいかにして生きるか?――「路傍の石」の排除論(井上義和)
1 排除小説としての「路傍の石」
2 昭和10年代の勤労青少年問題
3 排除問題で想定される二つの解
4 「貧乏人同士手をつなぐ」から「金持ちとも手をつなぐ」へ
おわりに