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識字神話をよみとく
本体2,700円+税
ISBN 9784750336657
判型・ページ数 A5・256ページ
出版年月日 2012/09/30

識字神話をよみとく

「識字率99%」の国・日本というイデオロギー

日本の教育水準の根拠とされる高識字率という神話、音訓二面性など漢字かなまじり表記の効率性を評価し擁護する漢字の神話、そして識字学習が非識字者の解放につながるという識字学習の神話。識字に関する3つの神話をよみとき、その限界を明らかにする。

序 識字とはなにか
 1.「識字」という用語
 2.文字/よみかき実践/社会関係
 3.漢字かなまじりの成立
 4.就学率と識字率
 5.非識字者と限界的識字者
 6.ローマ字使用者
 7.点字使用者と弱視者
 8.識字権と識字運動
 9.識字神話の分析という方法


第I部 識字率の神話

第1章 公式統計にみる日本の識字率――「識字率99%」は本当か
 1.新聞記事や本にみる識字率
 2.識字率の定義
 3.徴兵検査による識字率
 4.教育統計による識字率
 5.「日本人の読み書き能力調査」による識字率
 6.国勢調査による識字率
 7.「識字率99%」はウソだった
 資料1-1 『成人のための識字と教育』(ユネスコ・国際教育局)にある「文部省の回答」

第2章 新聞をよむ能力――「日本人の読み書き能力調査」(1948)の再検証
 1.「新聞をよめる日本人」の伝説
 2.「日本人の読み書き能力調査」の概要
 3.テスト問題とその結果
 4.調査結果をめぐるふたつの解釈
 5.「新聞をよむ」からみた「48年調査」
 6.調査の限界
 資料2-1 「日本人の読み書き能力調査」のテスト問題

第3章 限界的識字者のプロフィール――日米の識字調査から
 1.限界的識字者とはなにか
 2.識字調査と限界的識字者
 3.「国民の読み書き能力調査」(日本・1955年)
 4.「国民成人識字調査」(アメリカ・1992年)
 5.ふたつの調査結果から


第II部 漢字の神話

第4章 漢字は意味をあたえるか――学術基本用語の場合
 1.漢字と意味
 2.漢字の音訓二面性
 3.日常用語による意味づけ
 4.学術基本用語集の作成
 5.訓による意味づけの判定
 6.日常用語による意味づけの判定
 7.学力テストの結果から
 8.意味の透明性をたかめるには
 資料4-1 学術基本用語(訓と日常用語による意味づけ)

第5章 教科日本語における漢字のカベ
 1.外国人生徒・学生の学力
 2.学習言語について
 3.教科用語とその表記
 4.コーパス・ツールによる教科書の難易度の測定
 5.教育現場での対応
 6.多様な表記の認知にむけて

第6章 漢字イデオロギーの構造
 1.漢字を論じる立場
 2.「ことばの階級闘争」
 3.識字からみた漢字
 4.現代の漢字擁護論
 5.漢字擁護論――だれが、だれに?


第III部 識字学習の神話

第7章 識字研究法としてのエスノグラフィー
 1.「literacy」の二義性
 2.「よみかきイベント」と「よみかき実践」
 3.社会的ネットワーク
 4.エスノグラフィーと権力
 5.識字のエスノグラフィーの可能性

第8章 識字社会における支配と対抗――識字作文をエスノグラフィーとしてよむ
 1.「人間解放の識字」という物語
 2.識字作文とはなにか
 3.識字作文のテーマ
 4.方法としてのエスノグラフィー
 5.よみかき実践/識字イデオロギー/対抗的戦略
 6.よみかき実践の諸相
 7.識字者の識字イデオロギー
 8.非識字者の対抗的戦略
 9.対抗から抵抗へ
 10.小括
 注(=識字作文出典)

 あとがき
 参考文献
 索引(事項/人名)

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