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「辺境」からはじまる
本体1,800円+税
ISBN 9784750335889
判型・ページ数 4-6・364ページ
出版年月日 2012/05/20
フォーマット 価格
単行本 1,800円+税
電子書籍 1,440円+税

「辺境」からはじまる (単行本)

東京/東北論

米、鉄、人材、電力……。これまで東北は、東京の欲望を叶える工場であり続けてきた。それは実際、東北に何をもたらしたのか。また3・11により、そうしたシステムの限界が露呈したとするなら、「辺境」たる東北はどこに展望を見出すべきか。徹底的に考える。

 

【執筆者】

山下 祐介(やました・ゆうすけ)
弘前大学人文学部准教授などを経て、首都大学東京都市教養学部准教授。専攻は都市社会学・地域社会学・環境社会学。著書に『限界集落の真実』(ちくま新書、2012)、『リスク・コミュニティ論』(弘文堂、2008)、編著に『白神学』1・2巻(ブナの里白神公社、2011)、『津軽、近代化のダイナミズム』(御茶の水書房、2007)など。共編著に『「原発避難」論』(明石書店、2012)。

佐藤 彰彦(さとう・あきひこ)
福島大学うつくしまふくしま未来支援センター、復興計画支援部門特任助教。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程。専攻は総合社会科学(地域社会学)。主要論文に「地域担当制度の運用と住民自治の拡大」日本地域政策学会編『日本地域政策研究』8号(2010)、「地縁型住民自治組織の位置づけと地域担当制度に関する研究」日本地域政策学会編『日本地域政策研究』7号(2009)。共著に『「原発避難」論』(明石書店、2012)。

本多 創史(ほんだ・そうし)
東日本国際大学福祉環境学部准教授。専攻は社会思想史(近代日本)。共著に『〈身体〉は何を語るのか(ライブラリ相関社会科学8)』(新世社、2003)、共訳に『ファッションと身体』(日本経済評論社、2005)など。

仁平 典宏(にへい・のりひろ)
法政大学社会学部准教授。専攻は福祉社会学、地域社会学、市民社会論。著書に『「ボランティア」の誕生と終焉』(名古屋大学出版会、2011、損保ジャパン記念財団賞)、共編著に『労働再審〈5〉ケア・協働・アンペイドワーク』(大月書店、2011)、『若者と貧困』(明石書店、2009)など。

大堀 研(おおほり・けん)
東京大学社会科学研究所助教を経て、同研究所特任助教(東京大学・釜石カレッジ推進室担当)。専攻は地域社会学。主要論文に「グリーン・ツーリズムが育てるもの」東大社研・玄田有史・中村尚史編『希望学2 希望の再生』(東京大学出版会、2009)、「ローカル・アイデンティティの複合性」『社会科学研究』61巻、5・6号(2010)、「岩手県釜石市における復興計画の策定過程とその問題」『家計経済研究』93号(2012)など。

小山田 和代(おやまだ・かずよ)
東京学芸大学教育学部環境教育専攻卒業。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程。専攻は地球社会研究(環境教育)。共著論文に「日本の環境教育研究の動向」一橋大学〈教育と社会〉研究会編『〈教育と社会〉研究』(2008)。科研「公害教育運動の基礎的研究 環境教育史研究の構築」にて下北地域を担当。現在は、みずほ情報総研(株)に在籍。

茅野 恒秀(ちの・つねひで)
岩手県立大学総合政策学部講師。法政大学大学院、財団法人日本自然保護協会を経て現職。博士(政策科学)。専攻は環境社会学、政治社会学、政策過程論。共著に『環境社会学』(弘文堂、2011)、主要論文に「河川法改正の政策過程と河川技術官僚の課題意識」『環境社会学研究』17号(2011)、「プロジェクト・マネジメントと環境社会学」『環境社会学研究』15号(2009)。

山内 明美(やまうち・あけみ)
慶應義塾大学環境情報学部卒業。現在、一橋大学大学院言語社会研究科博士課程在学中。専攻は歴史社会学、日本思想史。著書に『こども東北学』(イースト・プレス、2011)。共著に『「東北」再生』(イースト・プレス、2011)。

 まえがき(小熊英二)

I 東京/東北の過去と現在

第1章 東京の震災論/東北の震災論――福島第一原発事故をめぐって(山下祐介)
 1 2011年初夏、東京で
 2 東日本大震災・福島第一原発事故をめぐる東京と東北
 3 地方を蝕む疑似原発群
 4 もう一つの疑似原発としての東京、あるいは疑似東京としての原発

第2章 全村避難を余儀なくされた村に〈生きる〉時間と風景の盛衰(佐藤彰彦)
 はじめに
 1 〈ヨジソウ〉から〈ゴジソウ〉へ
  村民が口にする〈ヨジソウ〉と住民参加
  5次総の策定過程で遭遇した出来事
  5次総がめざしたもの
  〈までい〉に込められたもの
 2 〈生きること〉の表象として彩られた風景
  Iターン者からみた村の暮らし
  地域の暮らしと〈しごと〉
 3 暮らしと政治・行政の交錯
 4 〈村〉の暮らしと〈都会〉の暮らし
  減農薬の実践的研究
  人の姿のない田んぼが意味するもの
  〈自慢〉の米を〈不満〉の米に変える流通過程
 5 原発事故が村から奪ったものと村に生んだもの
  奪われたかけがえのない唯一無二の暮らし
  「公共マナーの遵守」が意味するもの
  国の対応への疑念
  村の人たちの暮らしを脅かす避難生活
  民主主義の存在しない村への変貌
 6 〈東北〉に、〈地方〉に想いを馳せる

第3章 再帰する優生思想(本多創史)
 はじめに
 1 放射能汚染という事態
  その衝撃
  健康確保の行動へ
  要約
 2 「安心」とは何か――日本産婦人科医会
 3 生むか否かという「苦悩」

第4章 〈災間〉の思考――繰り返す3・11の日付のために(仁平典宏)
 はじめに
  〈災間〉を生きる
  〈災前〉の思考と〈災間〉の思考
 1 収縮する「溜め」
  東北の位置
  障害者と「溜め」のある空間
 2 3・11とNPO・ボランティア
  「溜め」を作り出す市民セクター
  ボランティアはなぜ少なかったのか
  贈与経済の二重構造
  〈災間〉期における市民セクターの課題
 3 「よいとり」の社会空間に向けて

第5章 「大きなまちづくり」の後で――釜石の「復興」に向けて(大堀研)
 はじめに
 1 高炉閉鎖と「転機に立つ釜石」
  高炉閉鎖のインパクト
  特集「転機に立つ釜石」の基底
  「市民によるまちづくり」の萌芽
 2 高炉閉鎖後の釜石
  3つの大型公共事業
  誘致企業と新日鐵
  「市民のまちづくり」の行方
 3 震災後の「復興」の方向性
  公共事業と大企業を中心とする復興
  市民の声
  「大きなまちづくり」の後は
 おわりに

第6章 核燃・原子力論の周辺から描く東京/青森/六ヶ所(小山田和代)
 1 3度目の岐路
 2 東京/青森/六ヶ所
  福島第一原子力発電所事故以後の東京/青森
 3 東京/青森の狭間
 4 〈開発・核燃以前の〉六ヶ所/〈今の〉六ヶ所
  今の六ヶ所村の様子
  六ヶ所村とむつ小川原開発計画
  開発・核燃――学校
  開発・核燃――女
5 エネルギーのふるさとを紐解けば

第7章 多様な生業戦略のひとつとしての再生可能エネルギーの可能性――岩手県葛巻町の取り組みを手がかりに(茅野恒秀)
 1 農山漁村に本来的に備わる多様な生業戦略
 2 地域社会の構造変動とリスクの集中をもたらした原子力エネルギー
 3 エネルギー政策の大局的転換
 4 東北に広がる再生可能エネルギー
 5 再生可能エネルギー先進地――葛巻町の取り組み
  再生可能エネルギーの基盤となった第一次産業中心のまちづくり
  再生可能エネルギーへ
  再生可能エネルギー先進地が示す課題
 6 地域に真の利益が落ちる再生可能エネルギー事業へ

第8章 〈飢餓〉をめぐる東京/東北(山内明美)
 はじめに――〈飢餓〉のはじまりに
 1 古くて新しい土地
 2 近代日本の〈稲作ナショナリズム〉
 3 米騒動とアジア
 4 植民地と東北
 5 国有化されるコメ
 6 遍在する〈東北〉
 7 稗の村と文化の闘争
 むすびにかえて――東京なき時代


II 東京/東北の未来へ――赤坂憲雄×小熊英二 対談

 東京/東北の社会構造
 繰り返される公共事業、自立性なきエネルギー構想
 展望なき原子力村
 集中投資というリスク
 潟に戻すという思想
 ノスタルジーからのシフト
 リスク分散、自立、自己革新
 一次産業を奪われた土地の生存戦略
 福島の未来/日本の未来


 あとがき(赤坂憲雄)

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